都会的にアップグレードした〈キャデラック〉の世界。
エスカレードの快適な居住空間を体験する。
クルマヒエラルキーに頓着せず、自由な存在であるキャデラックは今なお独自の進化を遂げている。いい意味でアメリカ車らしくない、モダンさと先進性を兼ね備えている。とりわけエスカレードはその象徴ともいえる。走りも居住性もラグジュアリーを叶えた一台。
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室内のシートはしなやかで耐久性のあるセミアニリンレザー製。ヘッドライトは5つのクリスタルを使用したLED製。ドアを開けると乗降時にのみ自動的にサイドステップが展開されるなどラグジュアリーな世界観を実現
シートは2列めをキャプテンタイプにしているのが美点。VIP用としても機能する。そのシートをスライドさせ足元を広くして座ってもいいし、3列めに座って前列をオットマンにしても快適
品よくデザインされたインパネまわりも高級感に満ちあふれている。ウッドパネルとデジタルモニターをこれほどうまくマッチングさせたインパネは見たことがない。まさに大人だ
エスカレードには高級車にふさわしい装備が多数付いている。オーディオは、AKG Studio Referenceスピーカーサウンドシステムが搭載される。36個の埋め込みスピーカーでキャビンを360度サラウンドで取り囲む。クラス最高峰のスピーカーであるのはいわずもがなである
●全長×全幅×全高:5400×2065×1930㎜
●ホイールベース:3060㎜
●エンジン:V型8気筒 OHV/L87
●車両重量:2740kg
●最高出力:306kW(416PS)/5800rpm
●最大トルク:624N・m(63.6kg・m)/4000rpm
●駆動方式:セレクダブル四輪駆動
●乗車定員:7~8名(※プレミアムは8人乗り)
●価格:1640万円~(※写真はプラチナム1740万円)
進化を止めないアメリカの象徴、新しい100年を紡ぐキャデラック。
キャデラックのイメージは人それぞれ異なると思う。オールドスクールなアメリカをイメージする者もいれば、アメリカ大統領をはじめとする要人の専用車を思い浮かべる者もいるだろう。100年を超える歴史あるブランドだけに、そういった様々な使われ方をしてきたのは確かだ。ニュース画像もそうだし、映画などでもそんな場面をよく観る。また、アメリカの音楽シーンに詳しい人ならメジャーなラッパーを思い浮かべるに違いない。彼らの中には成功者の証としてエスカレードに乗る風習がありそうだ。
とはいえ、その足跡を紐解くとこのブランドは常に挑戦の歴史といえる。スターターの開発やV8エンジンの量産化、シンクロメッシュ機構付きの開発など、「自動車はじめて物語」が多い。今日では当たり前の技術を先駆者となって導入してきた。いってしまえば、エスカレードもそのひとつといえる。1999年にリリースされたこのクルマこそ、ラグジュアリーSUVの元祖に値するからだ。
そんなブランドだけに、電動化真っ盛りの今、しっかりその準備も進めている。エスカレードのピュアEV版エスカレードIQをイメージリーダーに、リリック、オプティック、ビスティックを計画中。リリックはすでに本国で販売を開始しており、2025年には日本での販売を予定している。キャデラックのEVビジネスはグローバルで展開されることがすでにアナウンスされている。
そんな中、個人的に興味を持ったのはレース活動。ここ数年のニュースを読み込むと、これまで以上にそれを活発化させているのを感じる。
具体的には、昨年からスタートしたル・マン24時間レースへの参戦がある。ハイブリッドレーシングカー“キャデラックVシリーズ.R”を3台体制でエントリーしている。WECへのシリーズ参戦なので、年間でいろいろな耐久レースに出場するようだ。その意味では技術開発に一役買っているのは間違いない。モーターの開発が電動市販車にフィードバックされるのは明白だ。
さらにいえば、その後F1参戦計画を発表。アンドレッティ・グローバルという会社とレーシングチームの結成を決めた。そして昨年末にはそのチームにGM側がパワーユニットを供給することをリリースしている。キャデラックのさらなる挑戦だ。EV用パワーユニットと高効率のガソリンエンジンを同時に手掛けるのだからじつに興味深い。
といったように多面的に展開するキャデラックではあるが、ずっと変わらないイメージがある。それはアーバンテイスト。牧歌的なカントリーサイドが大半を占めるアメリカにおいて、キャデラックはずっと都会的な雰囲気を持ち続けている。エスカレードひとつとってもそうで、そもそもレジャーユースを目的として生まれたSUVではあるが、山間や草原より高層ビル街がよく似合う。シボレーやGMCと同じGMグループの一員でありながら一時期デトロイトではなくマンハッタンにオフィスを構えていたのもそんな理由だからだろう。
キャデラックのラインナップは現在エスカレードのほかは下記のようになる。日本仕様は4つのSUVとひとつのセダンという構成だ。SUV大国アメリカの産物だけにそこにチカラが入るのは当然のこと。そのニーズに応えるようにバラエティに富んだモデルが並ぶ。特徴はその先進性で、どのモデルにもグローバル基準の運転支援装備や安全装備が用意される。と同時に、シートを震えさせるなど彼ら独自のワーニングなど見るべきポイントは多い。自動車大国アメリカならではの手法をしっかり取り入れている。
そしてすべてのモデルにいえるのはデザインがアーバンテイストであること。 どれもマンハッタンの摩天楼が似合うのは想像しやすい。きっと日本でもそんな シーンに溶け込むだろう。丸の内、銀座、六本木にマッチしそうだ。
ということで、今キャデラックを選択するのをおすすめする。ヨーロッパ車のヒエラルキーに当てはまらない自由さがそこにあるからだ。特にエスカレードは唯我独尊の代表格。存在がオンリーワンである。広々したキャビンに大柄のシートは常に快適で、パワフルな心臓はスポーティな走りを楽しめる。416PS/624N・mの6.2リッターV8エンジンは時に荒々しく時にジェントルだ。これぞまさに大海原を疾走するラグジュアリー大型クルーザー。頼もしさはハンパない。このクルマに乗り込めばほかにはない快適なカーライフが手に入れられること間違いなしだ。
セダンからSUVまで最強のラインアップが揃う。
●全長×全幅×全高:4605×1875×1625㎜
●ホイールベース:2775㎜
●エンジン:水冷サイクル4気筒直列/LSY
●車両重量:1760kg
●最高出力:169kW(230PS)/5000rpm
●最大トルク:350N・m(35.6kg・m)/1500~4000rpm
●駆動方式:全輪駆動(選択式)
●乗車定員:5名
●価格:679万円~(※写真はスポーツ759万円)
●全長×全幅×全高:4825×1915×1700㎜
●ホイールベース:2860㎜
●エンジン:V型6気筒DOHC/3L
●車両重量:1990kg
●最高出力:231W(314PS)/6700rpm
●最大トルク:368N・m(37.5kg・m)/5000rpm
●駆動方式:全輪駆動(選択式)
●乗車定員:5名
●価格:795万円~(※写真はプレミアム)
●全長×全幅×全高:5060×1960×1775㎜
●ホイールベース:2860㎜
●エンジン:V型6気筒DOHC/3L
●車両重量:2110kg
●最高出力:231kW(314PS)/6700rpm
●最大トルク:368N・m(37.5kg・m)/5000rpm
●駆動方式:全輪駆動(選択式)
●乗車定員:6名
●価格:1030万円
●全長×全幅×全高:4925×1895×1445㎜
●ホイールベース:2935㎜
●エンジン:水冷4サイクル4気筒直列/LSY
●車両重量:1680kg
●最高出力:177kW(240PS)/5000rpm
●最大トルク:350N・m(35.6kg・m)/1500~4000rpm
●駆動方式:後輪駆動(※スポーツは全輪駆動)
●乗車定員:5名
●価格:690万円~(※写真はプラチナム)
●GMジャパン・カスタマーセンター
TEL:0120-711-276
URL:https://www.cadillacjapan.com/
『Urban Safari』Vol.40 P16-17掲載
※記事内で紹介している商品はすべて税込みの価格です。
photo:Tomoo Syoju(BOIL) text:Kushima Office composition:Hiroyuki Horikawa