エンタメ感あふれる、幸せな911!〈ポルシェ〉911 タルガ4
3月に入った途端に、白々しいほどにいきなり春の陽気! もちろん寒の戻りはあるけれど、暖かくなるとともに、気持ちもハッピーになってくるから不思議。そんなときは外の風を感じながらドライブしたい、でしょ? ただ、「ありきたりなオープンカーではもの足りない」、「しっかり“スポーツ”も楽しみたい!」な〜んて欲張りなアナタ。こういう選択肢はどうでしょう。〈ポルシェ〉911 タルガ4だ。
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911 シリーズの中でも、オープンモデルは2つある。911カレラカブリオレと、そしてこのタルガだ。カレラカブリオレはソフトトップのルーフを備え、スイッチひとつでガバッとキャビンの上半分を丸裸にする。対してタルガのルーフは同じくスイッチひとつで開閉するものの、オープンするエリアはドライバーの頭上だけというユニークさ。堅牢なリアウィンドウは、タルガトップのオープンを待って、ぴっちりとボディに戻る仕組みとなっている。
この水槽のようなルーフこそが“タルガトップ”と呼ばれる最大の特徴だ。タルガ4にはサイドウインドウの後方に“Targa”の刻印がされたシルバーのピラーがあるが、この“タルガバー”はロールオーバー・プロテクションの役割を果たしている。
〈ポルシェ〉タルガは初代登場が1967年。当時は〈ポルシェ〉最大のマーケットであった米国で、オープンカーの安全性を求める声が高まっていた時代。そんな要求に応え、高い乗員への安全性と、オープンカーの開放感を両立したのがタルガだったというわけだ。
さて、現在のタルガトップは先述のとおり、電動で軽々と開閉する。その開閉時間はわずか19秒。リアのガラス部分が後方に一度大きく開き、ドライバーの頭上部分のルーフがリアのガラスエリアの下に収納され、またリアガラスが大仰に戻ってきてピッチリとハマる、という動作だ。
19秒という時間をあまり感じないのは、このルーフの一連の動きが実にダイナミックだから。女性を隣に乗せていても、ちょっとした出し物(?)として喜んでくれそうな気がする。さらに言うなら、タルガこそ最もデート向けのオープンカーかも。だって開いているのは頭上だけ。風の巻きこみもカブリオレよりも抑えられ、ロングヘアの乱れも気にならない、かも!
そんなエンタメ感あふれるパッケージでありながら、走りはきっちり911ファミリーそのものなんだから贅沢だ。3ℓツインターボの水平対向エンジンは、実に水平対向らしいなめらかな吹け上がりで、至高のアクセルレスポンスをもたらしてくれる。
ステアリングはスポーツカーらしくややずっしりとした手応え。こちらも〈ポルシェ〉らしい重厚感を、握った瞬間からもたらしてくれるもの。いったん走りはじめると、このロードホールディング性、そしてライントレースの正確さに心がときめく。走るということの純粋性を、アクセルを踏むごとに噛みしめるような、そんな経験は911にしか用意されていない喜びかもしれない。しかもタルガなら四輪駆動なので、多少ラフに乗っても挙動を乱すことはない。911らしさの美味しいところをオープンループで味わえる、実に幸せなモデルなのだ。
★DATA 〈ポルシェ〉911 タルガ4
●全長×全幅×全高:4530×1850×1300mm
●車両重量:1680kg
●ホイールベース:2450mm
●エンジン:3.0ℓ水平対向6気筒ツインターボ
●最高出力:283kW(385PS)/6500rpm
●最大トルク:450Nm/1950~5000rpm
●トランスミッション:8速PDK
●駆動方式:四輪駆動
●税込み価格:1760万円