時計とクルマは、スケールの違いはあれど“歯車やギアで駆動する”という原理が共通するため一般的にすこぶる相性がいい。時計マニアが高級スポーツカーに憧れたり、ヴィンテージカーを手塩にかけて整備して乗り続けたり。その逆も然りで、生粋のカーマニアが時計に並々ならぬ関心を抱くことも珍しくない。
と、いうわけで時計シーンにおいてはクルマ関連のあれこれと連携した、いわゆる“カーコラボモデル”がいつだって花盛り。なかでも揺るぎない地位を得ているのが、〈ショパール〉のミッレ ミリア。
表題の“ミッレ ミリア”は毎年イタリアで開催される、クラシックカー限定の公道レース。ブレシアからローマへ、往復1000マイル(イタリア語でミッレ ミリア)を4日間かけて走破するこのレースは同国の風物詩で、もともと1927年から1957年にかけて行われていたプロ指向のラリーが、1977年に手綱を緩めたクラシックカーの祭典として復活したもの。参加できるのは当初のレースが行われた1927年〜1957年に生産された車両に限られ、古き良き時代の名車が400台以上も連なり、風光明媚なイタリアの街道を駆け巡る。
このレースの公式計時を担当しているのが、〈ショパール〉。両者の関係はそれだけに留まらず、メゾンの共同社長カール‐F・ショイフレも自らステアリングを握って毎年参戦する。これらの一環として都度、多彩なオフィシャルウォッチがリリースされるというわけ。
その由緒正しきコレクションに、魅力的な新作が加わった。ミッレ ミリアGTS パワーコントロール バンフォード エディション “デザートレーサー”は、英国のライフスタイルブランド、〈バンフォード ウォッチ デパートメント〉とのコラボレーションで、2021年に続く第2弾。そもそもベースが〈ショパール〉とミッレ ミリアのコラボなので“トリプルコラボ”といえるのかもしれないが、果たして充実度はしっかり3倍。幅広いユーザーにフィットする、汎用性も際立っている。
ところがこちら、世界限定50本という希少なアイテムだっただけに、発売後に即完売してしまったとのこと。今から手に入れるのは難しいので、ここでは即完するほどの魅力をお伝えしていきたい。
一見して、フェイスの基調をなすモノトーンとビビッドな“フレームオレンジ”の取り合わせがイイ。くだんのオレンジはバンフォードのコーポレートカラーで、外観上のポイントであるだけでなく、文字盤の視認性を高めるという機能面において多大な貢献を果たす。ダイヤルは表面に精細なエンボス処理を施したフロステッドブラック。ケースはビーズブラスト加工を施したチタニウム製で、マットな質感の中に浮かぶ色鮮やかなインデックスや日付表示、9時位置に配された、燃料計を思わせるパワーリザーブ表示の目盛、ブラックアルミニウムのベゼルに配されたミニッツ・スケールがファッショナブルな魅力たっぷり。一見テキスタイルかと思しきストラップは実はラバー製で、装着感を高めるとともに、スポーティなテイストに拍車をかけている。
洒脱な審美性の奥に潜むのが、自社製のCal.Chopard 01.08-Cだ。時計の精度規格の世界的権威COSC(スイス公認クロノメーター検定協会)の基準に準拠し、最大連続駆動時間は約60時間。防水性は100mで、先述の視認性の高さやチタン製ケースのタフネスなどと相まって、実用性が抜群。
世界限定50本。ケース径43mm、自動巻き、チタニウムケース、ラバーストラップ、100m防水。146万3000円:完売(ショパール/ショパール ジャパン プレス)
このモデルは、全米オフロードレース協会の最終大会で、メキシコ北部の砂漠を疾走するバンフォードの創業者、ジョージ・バンフォードの腕に装着され耐久性が実証された。つまり、オフロードでの実用性を意図した、ミッレ ミリアの新機軸といえる。普段使いにおいてはアウトドア系などのカジュアルコーデとの相性は申し分ないし、同社は世界的なジュエラーでもあるだけに内から滲み出すエレガンスもひとしおで、とりすましたジャケットなどの装いにも華を添えることだろう。
これはまさに、エキサイティングな日々をオーナーと一緒に駆け抜ける、人生のドライビングウォッチ。う〜ん、完売とはなんとも残念。入手した人が実に羨ましい!?
●ショパール ジャパン プレス
TEL:03-5524-8922
URL:www.chopard.jp