PROFILE
1979年、米・ミネソタ州生まれ。『エバーウッド遥かなるコロラド』などに出演した後、コメディドラマ『パークス・アンド・レクリエーション』のアンディ・ドワイヤー役で人気を博す。約6年に及ぶ同作への出演に並行し、映画スターとしてブレイク。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ジュラシック・ワールド』の2大シリーズをはじめ、『マグニフィセント・セブン』『トゥモロー・ウォー』などにも出演する。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』が5月3日より公開。
親しみやすい雰囲気で、ちょっと駄目なところすらあるが、やるときはやってくれる人。そんな役柄がよく似合うからか、映画の中のクリス・プラットが大きな危機から人類を救ってくれる確率は近年とりわけ高い。2015年の『ジュラシック・ワールド』からはじまるシリーズでは、元軍人の動物行動学者として“恐竜大パニック”ともいうべき非常事態の中で頼もしく活躍するのはご存知のとおり。もちろん、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の銀河系ヒーロー、スター・ロードことピーター・クイルとして、マーベル・シネマティック・ユニバースを颯爽と駆け抜けてきたことも忘れてはいけない。また、2021年に配信されたSFアクション映画『トゥモロー・ウォー』ではエイリアンと人類の熾烈な戦いが繰り広げられる中、現在と未来を行き来して奮闘する主人公にもなっている。
いまやすっかり大作映画のヒーローが似合う存在になったが、もともとはコメディドラマでユーモラスな役を演じていた印象が強い。かつてスター・ロードの配役会議が行われた際に彼の名前が挙がるも、「アクションヒーローのイメージじゃない」といわれてしまったのは有名なエピソード。トレーニングを重ねて立派なアクションスターと化し、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を世界的ヒットへ導いた後日談ともども、意外なキャスティング秘話として語られている。おちゃめで、格好よくて、全マーベルファンから愛されるクリス・プラットのスター・ロードが、映画界に誕生しない可能性があっただなんて……。なんともゾッとする話だが、ここはひとつ、クリス・プラットの器用さに感謝すべきところだろう。コメディの人気者からアクションスターへの変身も、今後見られるかもしれない現状からの脱却も、彼の器用さをもってして成され得ることだからだ。
そして“器用”といえば、実写映画での活躍に並行し、声優としての才能をたびたび発揮しているのもクリス・プラットらしさだといえる。2014年の『LEGOムービー』からはじまるシリーズではタイトルどおり、レゴブロックをモチーフにしたアニメーション映画の登場人物に。レゴの世界で戦う主人公エメットの声を、楽しくエネルギッシュに演じた。また、ディズニー&ピクサーのファンタジー『2分の1の魔法』でも再び声優に。こちらでは、マーベル・シネマティック・ユニバースの盟友であり、スパイダーマン役で知られるトム・ホランドと兄弟役を演じている。さらに4月28日には、任天堂の大人気ゲーム『スーパーマリオ』を原作にしたアニメーション映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』も公開。この中でプラットが声を担当しているのは、もちろんマリオだ。
「僕がプロジェクトに参加しはじめた頃は、まだ具体的なストーリーが固まっていなかった。だから、どんな作品になるかわからないところも多く、ワクワクしていたよ。実際、脚本を渡されて読んだときは、『スーパーマリオ』の世界観を見事に表現していて“ワオ! すごいぞ!”と思えた。この映画の中のマリオは双子の兄弟であるルイージとともにニューヨークで配管工を営んでいて、家族と仲がいい。夢見がちでもあるけどね。僕自身、兄とはすごく仲がいいし、夢見がちなところもあるからマリオにはすぐに共感できた。乗り越えられない困難に直面しながら、決して諦めないところも好きだね。彼には正義感があるし、どんなときも努力を惜しまない意志や忍耐力を持ち合わせているんだ」
マリオとの共通点のひとつである「夢見がちなところ」は、プラットが自身の人生の中で長く付き合ってきたパーソナリティだという。
「マリオも僕も家族を感動させたいと願ってきたし、だからこそ夢見がちでもある。夢を追うため、居心地のいい場所から踏み出したところも一緒だね。僕の場合はもう20年前の話になるけど、俳優になるのが当時は怖かったし、夢を馬鹿にする人もたくさんいた。この道を進むのが正しいことかどうか、たびたび考えさせられもしたよ。そういった意味で、マリオと僕の内面は似ていると思う。体格は違うし、僕は口髭を生やしても彼ほど立派にはならないけどね。それに、僕も器用なほうではあるけど、配管工の仕事をするのは無理だと思う。家のリフォームなら得意だけどね。父がリフォーム業者だったから、僕も兄もよく手伝わされていたんだ」
手先の器用さはさておき、役者としての器用さは、役に取り組む際の真摯な姿勢から来るものかもしれない。全身で演じるときも、声で演じるときも、プラットは驚くほどキャラクターと実直に向き合う。であれば、あらゆる役になって、あらゆる作品を生きられるのも納得。大きな危機から人類を救う次はなにをしてくれるだろう? このほかルッソ兄弟が監督するネットフリックスの新作『The Electric State(原題)』が待機中。
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I was thrilled to be Mario.
It's awesome to be part of this project.
マリオになったことに興奮したよ。
このプロジェクトに参加できることは素晴らしいことさ。
クリス・プラット
『Urban Safari』Vol.33 P8~9掲載
photo:Art Streiber /AUGUST/amanaimages(COVER), AFLO text:Hikaru Watanabe