Behind the success of businessmen
今、この一瞬にフォーカスする生き方が自分を高める。
ビジネスの世界で結果を出している人は、恐らく日常のどこかで自分を高めるなにかをしているはず。今回は、“日本酒の魅力をお酒を飲まない人にも知ってもらいたい”という思いからスキンケアブランド事業をはじめた中村優志さんに、その原点を語ってもらった。
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「“ピルスナーウルケル”はチェコではポピュラーなビールですが、当時日本ではどこで飲めるのかもわからず。あまりにも美味しかったので、帰国する際、何本もまとめ買いして帰ってきました(笑)」
「日本酒の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい」。そんな思いを、日本酒でスキンケア商品を作るという斬新な発想で叶えようとブランドを立ち上げた中村優志さん。日本酒の持つ底力を多くの人に届ける一方、日本酒業界の発展に寄与したいという一心で昨年起業。第一弾の製品は、日本酒と同様の成分を使ったスキンケア商品“蔵寿”。コンセプトは、“日本酒が飲めない人や触れる機会がなかった人にも、日本酒との新たな出会いを作ること”。しかし、なぜこんなにも日本酒にこだわったのか? そのきっかけは、新卒で入社した銀行勤務時代に遡る。
「配属で長野県に赴任した際、取引先の酒蔵の仕事を見たり、プライベートで地酒を楽しむようになりました。そのとき日本酒は様々なポテンシャルを秘めていると感じたんです」
そんな中村さんには、お酒に興味を持つようになった原体験があるという。
「就職が決まって社会人になる前に海外に行こうと、チェコのプラハに行きました。欧州旅行といえばイタリアやフランスに行く人が多い中、まわりとは違うところに行こうという軽い気持ちで旅先も決めました。そのときに現地で飲んだ“ピルスナーウルケル”というビールが衝撃的に美味しかったんです。それまでお酒といえば酔えればいいという感覚でしたが、このビールではじめて味を楽しむことを知りました。今ならもっと美味しいと思えるビールもあるかもしれませんが、僕にとっては思い出込みでお酒の美味しさを知ったターニングポイント。だから、お酒の仕事に携わるようになった自分の原点となる存在です」
“ピルスナーウルケル”でお酒の美味しさを知り、その後出会った日本酒のポテンシャルの高さを知った中村さん。安定の会社員を辞め、お酒に関わるビジネスを立ち上げようとした、そのきっかけも語ってくれた。
「28歳で転職した際に精巣ガンが発覚しました。闘病生活の中で、『人間はいつ死ぬかわからない。やりたいことがあるなら今やらなければ』という強い思いに駆られたんです。学生時代から起業には興味がありましたし。だから、いつかやろうではなく、今やることに決めたんです。なかでも、頭の中でずっとアイデアを抱えていた日本酒をビジネスにしようと徹底的に調べ、お酒が飲めない人にも使ってもらえる日本酒の化粧品ブランドを立ち上げました。起業したのは、“今この一瞬にフォーカスする生き方”をしたかったから。病気がきっかけでこの考え方が生まれ、起業した現在も自分の軸になっています。仕事自体が自分を高めてくれています」
今の夢は「かつて熱狂したサッカー選手で、現在は日本酒業界に携わる中田英寿さんと一緒に仕事をすること」。毎日を全力で生きる中村さんの日本酒との縁がどこまで広がるのか、楽しみで仕方がない。
サッカーでもビジネスにおいても憧れの存在、中田英寿さん。いつか仕事をしたい
“蔵寿”のスキンケアローションと乳液。既存の日本酒由来スキンケア用品は「匂いが気になる」という声をよく聞くため、日本酒特有の香りを抑えた。発酵工程で生まれるアミノ酸による高い保湿効果で、お肌にうるおいを与える
株式会社リシュブルー
中村優志さん
1992年、東京都生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業後、三井住友銀行に入行。長野支店と本店勤務を経てアクサ生命保険に転職。2021年のガン発覚を機に人生を見直し、2022年6月にリシュブルーを起業。
『Urban Safari』Vol.32 P24掲載
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photo : Tomoo Syoju(BOIL), AFLO text : Takumi Endo