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2022.10.08


時計界では若手の〈ベル&ロス〉が存在感を放つ理由。

航空機の計器から着想を得た独創的なデザイン。そして、世界の時計通に加え、あのラルフ・ローレン氏の愛用でも話題になった〈ベル&ロス〉。高級時計業界では少数派のフランスブランドで歴史も浅いブランドが、なぜここまで愛される存在になったのか? 創業者とともにブランドを育ててきたキーパーソンに聞いてみた。

時計界では若手の〈ベル&ロス〉が存在感を放つ理由。〈ベル&ロス〉ジェネラルマネージャー
ファビアン・ドゥ・ノナンクール[Fabien De Nonancourt]
父が勤めたフランス最大手のシャンパーニュメゾン、ローラン・ペリエ社でのインターン時代にラグジュアリーな世界に惹かれ、時計業界へ。14年間在籍した〈タグ・ホイヤー〉でジェネラルマネージャーを務め、アジアを担当した4年間は日本在住。2010年に販売部門トップとして〈ベル&ロス〉に入社し市場開拓に貢献。2017年より現職。

航空機と腕時計という共通の趣味を持つブルーノ・ベラミッシュ氏とカルロス=アントニオ・ロシロ氏が、〈ベル&ロス〉をパリで創業したのは1994年のこと。200年以上の歴史を持つ老舗も珍しくない高級時計業界においてはまだまだ新参者だ。しかし、同社の時計はほかに類を見ない存在感を放ち、目の肥えた時計愛好家の心を掴んでいる。果たして、その秘密はどこにあるのか? 2010年に販売部門トップとして入社し、2人の創業者とともにブランドを育ててきた、ジェネラルマネージャーのファビアン・ドゥ・ノナンクール氏に話を聞いてみた。

「アビエーション(航空学)を着想源とする時計ブランドは、決して珍しいものではありません。それだけでアイデンティティを確立するのは、難しいことだといえるでしょう。しかし、〈ベル&ロス〉はコックピットの計器そのものをインスピレーション源としています。“インストゥルメント・ウォッチ(計器としての腕時計)”というコンセプトは非常にユニークなものであり、それが魅力となっているのです。加えて、ブランドの世界観を“BR 03”と“BR 05”という2つのピラー(柱)となるコレクションで楽しめることも、強みといえるでしょう」

前者の“BR 03”は、コックピットの計器がそのまま時計になったような迫力ある正方形ケースを特徴とし、ひと目で〈ベル&ロス〉だとわかるアイコニックなコレクション。これに対して後者は、“BR 03”を“都会の中の探索者”というコンセプトで再解釈したもの。四角と丸を合わせた、ブランドのアイコンともいえるケースと美しいブレスレットを一体化させ、都会的なスタイルに落とし込んだラグジュアリースポーツウォッチだ。

「“BR 03”は力強さが魅力の時計ですが、実はブティックには“大きすぎて合わせる装いや人を選ぶ”というお客様からの声も寄せられていました。こうしたことを受け、シーンを選ばずに身につけられ、ビジネスでも使いやすい時計として、デザイナーのブルーノが提案してきたのが“BR 05”です。どちらも同じ世界観を持つ時計ですが、“BR 05”が加わったことで新しいお客様が来てくださるようになりました。当初は2つのコレクションがお客様を取り合ってしまうのではと心配でしたが、幸いなことにそれはありませんでした(笑)。双方のモデルがカバーしきれないものを補完し合うことで、ビジネスの面でも広がりが生まれています」

腕時計のブランドを成長させ、ビジネスを成功に導くうえで大切にしてきたことを尋ねると、“原点に忠実であること”と即答した。

「自分たちが決めたことに対し、一貫性を持ち続けること。非常に時間がかかることではありますが、自分たちの道というものを一途に守りながら展開することで、継続的に成長できると考えています。もちろんビジネスという側面を見れば、私たちは時計で売り上げを作っているわけですが、だからといってニッチなマーケットを設定し、そこで喜んでもらえる製品を作るという考え方はしていません。2つのピラーである“BR 03”と“BR 05”でブランドのストーリーを紡ぎ、それを潜在的なお客様に語りかけていく。年月がかかってもいいんです。そういった手法で前に進んでこられましたから」

また、ブランドのストーリーを語りかけるための場所として大切にしているのが、ブティックの存在。この夏には、東京・銀座ブティックに続き、国内2店舗めとなる大阪・心斎橋ブティックをオープンしたばかりだ。

「コロナ禍によって“eブティック”がお客様とのタッチポイントとしてより重要なものになり、インターネットを通じてブランドや製品のことをよく調べてくださる方も増えました。しかし、私としては、そういったお客様の満足度をさらに上げるためにも、実店舗のあり方がこれまで以上に重要になってきたと感じています。実は、私は〈ベル&ロス〉のブティックと時計は同じようなものであるべきだと思っているんです。私たちの時計は無駄な装飾を省き、機能を前に立たせることが基本コンセプトですが、ブティックの設計コンセプトも全く同じもの。だからこそ、この空間に来ていただくお客様にブランドのストーリーを感じてもらえ、〈ベル&ロス〉でしか提供できない購入体験を作り出すことができると思っています」

ブティックを通じ、培ったファンベースをより強固にすることにも力を注いでいるという。

「ブティック限定モデルのような付加価値のある製品で、新しいものを待ってくださっているお客様に応えていく。これも大切にしていることのひとつです。ある時計ブランドは200年かけて強固な世界観を確立しました。私たちの歴史はまだ30年程度。ゆっくり時間をかけて、ファンの輪を広げていきたいですね」

BR 05 GMT WHITE
[BR 05 GMT ホワイト]


時計界では若手の〈ベル&ロス〉が存在感を放つ理由。ケースサイズ41×41mm、自動巻き、SSケース&ブレス、100m防水。64万9000円(ベル&ロス/ベル&ロス 銀座ブティック)

ジェットセッターにふさわしい都会派GMTモデル。


2022年6月発売の新作は、オパラインホワイトの文字盤が美しいGMTモデル。2つの異なる時間帯を表示し、海外出張をこなすビジネスマンにはうってつけ。ケースと一体感のあるしなやかなブレスレットが良好な装着感を叶える。


時計界では若手の〈ベル&ロス〉が存在感を放つ理由。〈ベル&ロス〉心斎橋ブティック
住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-10-12
営業時間:11:00~19:30
TEL:06-6786-8993

 
Information

●ベル&ロス 銀座ブティック
TEL:03-6264-3989

『Urban Safari』Vol.29 P32掲載

写真=正重智生 文=遠藤 匠 photo : Tomoo Syoju(BOIL) text : Takumi Endo
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