
2023年11月下旬頃撮影
かつて関西の実業家・加賀正太郎が、大正から昭和にかけて築き上げた英国風の山荘。その気品ある佇まいを舞台に、自然と建築、そしてアートが見事に調和する“静寂の名館”。それが、京都・大山崎町、天王山の南麓に佇む『アサヒグループ大山崎山荘美術館』だ。
現在開催中の企画展『美術館で大航海! ~コレクションをたどって世界一周~』(12月7日まで)では、世界各地の美術品を通して“時空を超える旅”を体験できる。紅葉が色づく季節と重なり、まさに今が訪れるベストタイミング。
大正から昭和初期にかけ建設された『大山崎山荘』の保存再生・活用を目指し1996年に開館
本館『大山崎山荘』は、ヨーロッパから取り寄せたというステンドグラスが印象的な築100年を超える英国風建築。本館をはじめとしたいくつかの建物は登録有形文化財にも指定されており、安藤忠雄設計による展示空間『地中の宝石箱』(地中館)とともに、芸術と建築が融合した独特の美しさを放っている。
クロード・モネ《睡蓮》連作 ※展示作品は展覧会によって異なる
地中館には、印象派の巨匠クロード・モネによる《睡蓮》連作を常設展示。静謐な光に包まれる空間で、モネの世界観をゆったりと堪能できるのも、この美術館ならではの贅沢だろう。
2023年11月下旬頃撮影
約5500坪の敷地には、季節ごとに姿を変える植物が生い茂る。特に11月中旬から12月上旬にかけては、モミジとイチョウが織りなす赤と黄のコントラストが庭園全体を染め上げる。池の水面や洋館の壁面に反射する紅葉のグラデーションは、息をのむ美しさ。
『アサヒグループ大山崎山荘美術館』は、2026年に開館30周年を迎える。節目を前にした今回の企画展『美術館で大航海! ~コレクションをたどって世界一周~』では、日本から西欧、アメリカまで、時代も地域も超えた100点以上の作品を一挙公開。ポール・シニャック『ヴェネツィア』(1908年)をはじめ、初出品作も登場し、まさに“コレクションの世界一周”を体験できる内容となっている。
また、館内の喫茶室ではリーガロイヤルホテル京都とのコラボスイーツも登場。紅茶のロールケーキ『お茶会への招待』や、中近東の伝統菓子をアレンジした『アラビヤからの風』など、展覧会テーマと呼応する上品な味わいが楽しめる。
京都駅から電車で気軽にアクセスできる場所に、これほど静寂で心が整う空間があるとは思わないだろう。
紅葉と芸術、建築と美食——すべてが融合した『アサヒグループ大山崎山荘美術館』で、“大人の秋旅”を楽しんでみてはいかがだろうか。
●アサヒグループ大山崎山荘美術館
住所:京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3
開館時間:午前10時~午後5時 ※入館は午後4時30分まで
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜)、臨時休館、年末年始
URL: https://www.asahigroup-oyamazaki.com/







































































