光とグリーンと“好き”で満たしたスタイリストの自邸
コロナ禍が長期化し在宅ワークがニューノーマルになりつつある今、落ち着いたインテリアと心地いいソファが醸す安らぎのLDK、そしてビジネスアワーに集中できる自宅オフィスがある住まいは憧れだ。築40年のマンションをリノベーションしたスタイリストの自邸は、ONとOFFのバランスが取れた、新しい住まい方のヒントが詰まっている。
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- 西海岸的なハッピー・ルーム! vol.18
今月の部屋 N邸/2LDK/88.4㎡広い窓には、モダンな縦のラインでインテリアの邪魔をしないバーチカルブラインドを選択。落ち着いた石張りの壁や、後ろ姿まで美しいハンス・J・ウェグナーのソファが、明るい日差しにいっそう映える
スタイリストという仕事柄、洋服や小物などモノが多いN邸。築40年のマンションをリノベーションする際に、「大きな収納と事務作業ができるオフィス空間」は前提条件だった。その一方で、自宅で仕事をするからこそ、リビングは気持ちを切り替えられる場所。ほっと寛げる空間であることが必須だ。
細かな部屋割りをスケルトンにし、天井はむき出しにして開放感のある広さと高さに。日差しがたっぷり入るリビングは、石張りの壁やオークの床を採用し、お気に入りの北欧家具と丹精しているグリーンを配置。自然素材の質感や深みのある色が、落ち着きを生み出している。
収納は、奥行きはハンガーの肩幅サイズ+αの60㎝、壁面約6mの長さを確保。このスペースだからこそ、部屋の広さ感を損なわずに、収納量と管理のしやすさをキープ。コンパクトなオフィスルームは壁の色使いや床の素材も変えて、自然と仕事スイッチが入る工夫をしている。
作家ものからアウトレットまで、ラベルにこだわらず好きなものを探すNさん夫妻の住まい。「自分たちの好きなもの」というフィルターをとおした、異素材ミックスのインテリアや小物が、存在感を放ちながら美しい調和を見せている。
01 クールな素材感と機能美のステンレスキッチン
カウンターキッチンに合わせて冷蔵庫は〈アクア〉のシルバーを選択。食器棚は造作でアンティーク調のガラスを入れている。キッチンタイルの色はソファのカラーと絶妙に呼応
02 アート、本、レコード……“好き”が見える書棚
好きなレコードや家づくりの参考にした『MODEAST』などお気に入りを飾った一角
03 リビングの壁面収納は大容量をひと目で見やすく
玄関ホールまで続く壁面収納は、開けると楽器用のデスクなど、用途に合わせて造作。リビングのドアには、大きなガラスを入れて光が玄関ホールまで届くつくりに
04 オフィスはガラスブロックで仕切り、明るさを確保
玄関左手の部屋をオフィスに。コンパクトながらガラスブロックからの光も入り明るい。一枚板のデスクとパソコンチェアは長年の愛用品。ミシンを使うこともあるためこの部屋だけは、床をカーペット敷きにして階下への音を配慮
05 洗面室はリネン類もホワイト×ブラックで
洗面は白の10㎝角タイルを使い浴室は細かなモザイクタイルに。浴室と洗面室との間に窓をつけ、開放感を演出
ポップなポスターがリビングの一角を彩るドアを開けてリビングに入ると、正面の床に無造作に置かれているのが、イギリスのイラストレーター・ロウ&ムーアによるデヴィッド・ボウイのアートプリントポスターだ。デヴィッド・ボウイのピンクのブーツとリフレインするように、近くにはピンクフラミンゴの木彫りの置物と、ピンクのアンセリウムの鉢を配置している。音楽関係者のスタイリングも多く、イギリスが好きなNさんらしいセレクトだ。落ち着いたインテリアの、いいアクセントになっている。
●ハウストラッド
TEL:03-6412-7406
URL:www.housetrad.com
雑誌『Safari』10月号 P190~191掲載
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photo : Takafumi Matsumura text : Kuniko Nakajo