クリストファー・ノーラン監督によるバットマンを主人公にした“ダークナイト・トリロジー(3部作)”。その真ん中にあたる2作めで、タイトルも『ダークナイト』とトリロジーの中心になっている本作。ちなみに“ナイト”は夜(Night)ではなく、騎士(Knight)の意味。『バットマン ビギンズ』を撮っていた頃のノーランは、続編の構想はなかったそうだが、3年後に完成。ゴッサムシティで闇の騎士、バットマンのあまりに劇的な運命が展開していく。
冒頭から異様なテンションに引き込まれる。あのジョーカーとその一味が銀行を襲撃。容赦なく人々の命を奪い、大金を持ち去るまでが、息もつかせぬスピード感と巧みなカット割り&編集で演出されるからだ。ジョーカーの卑劣さ、不気味さに、観ているわれわれもゴッサムシティの住民になった気分で戦慄をおぼえる。
そのジョーカーに対し、バットマンは、ゴードン警部補、新たに赴任してきた地方検事のハービー・デントと手を組むも、凶悪事件は次々と続いていた。ジョーカーはマフィアも操り、一般市民も殺害。その後、ハービーはジョーカーの仕掛けた作戦で、顔の半分を損傷する大火傷を負い、ブルース(=バットマン)が愛するレイチェルも信じがたい悲劇に見舞われることに……。
逮捕されたにもかかわらず、凶悪な罠を仕掛けるなど、最初から最後までジョーカーの恐ろしさが作品全体を支配。以前のジャック・ニコルソン版とは違って、道化師のメイクも薄汚れている。演じたヒース・レジャーが、本作公開の半年前に28歳の若さで急死したことで、このジョーカー役は“伝説”と化した。実質的な遺作として、一般人の感覚を超える狂気、その凄みは何度観ても圧倒される。ヒースは本作でアカデミー賞助演男優賞を受賞。死後にオスカーを受け取った2人めの俳優となった。
そのアカデミー賞では8部門にノミネートされながら、作品賞にノミネートされなかったことで多くの批判の声も上がった。それまでアメコミヒーロー映画が作品賞に絡むことはなかったが、この『ダークナイト』は観客、批評家の両方から大絶賛を受けていたからだ。2008年の世界興収でもぶっちぎりのトップ。当時は史上4位の記録となった。
ジョーカーの描写以外にも、ハービー・デントの顔面の損傷など衝撃的シーンは多数。ハービーはそのケガによって、『バットマン フォーエヴァー』にも登場したトゥーフェイスへと変貌する。さらにバットマンのスーツの新たな装備や、オートバイを変形させたバッドポッドなど、ガジェットの新たな魅力がたっぷり。悲壮な決意を胸に、バットマンがバットポッドで街を駆け抜けるラストシーンは、映画史に残るカッコよさだと断言したい。
また本作は、劇場用の長編映画としては初めて、IMAXカメラを使って撮影された(全編の中の約30分)。その後、クリストファー・ノーラン監督は『ダンケルク』(17)、『TENET テネット』(20)などで、このIMAXカメラを多用することになる。キャストの渾身の演技も、容赦ないストーリーも、そして重厚な映像も、あらゆる点でアクション映画の歴史を変えた『ダークナイト』は、後に続く多くの作品に影響を与えたのだ。
『ダークナイト』
原案・監督・脚本/クリストファー・ノーラン 脚本/ジョナサン・ノーラン 出演/クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、ゲイリー・オールドマン、アーロン・エッカート、マギー・ギレンホール、モーガン・フリーマン
2008年/アメリカ/152分
世界興行収入/10億597万3645ドル
※Box Office Mojo調べ
ふりかえっておきたい! 1989年『バットマン』
ふりかえっておきたい! 1992年『バットマン リターンズ』
ふりかえっておきたい! 1995年『バットマン フォーエヴァー』
ふりかえっておきたい!1997年『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』
ふりかえっておきたい!2005年『バットマン ビギンズ』
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『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
監督/マット・リーヴス 脚本/マット・リーヴス、マットソン・トムリン 出演キャスト/ロバート・パティンソン、コリン・ファレル、ポール・ダノ、ゾーイ・クラヴィッツ、ジョン・タトゥーロ、アンディ・サーキス、ジェフリー・ライト
photo by AFLO