【まとめ】絶体絶命!パニック映画18本
『Safari Online』で、これまで配信してきた天変地異や巨大生物、災害、事故などで巻き起こるパニック映画をひとまとめにしてご紹介! 絶体絶命の主人公たちがどう危機に立ち向かうのか? 危機管理の面からも、是非ご覧あれ!
『タワーリング・インフェルノ』
製作年/1971年 監督/ジョン・ギラーミン 出演/スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマン
“絶対安全”は信用しないことが生存への第一歩!
地上138階という高層ビルでの火災の恐怖を描いたディザスター大作。全自動化された最新の防火システムを備えた高層ビルだが、電気系統の故障からシステムが作動せず、事態を甘く見ていた人々が最上層に取り残されてしまう。福島第一原発も電気系統のトラブルから大惨事を招いたように、“絶対安全”を謳ったものほど、想定外の出来事には意外と弱いことがわかる。
高層ビル内の火災は、廊下や非常階段が煙突効果を担ってしまい、想像以上に火のまわりが速い。本作を観ると、むやみにドアを開けずに冷静に避難通路を見極めることが重要であることがわかる。高層ビルの設計士を演じたポール・ニューマンが最後まで生き残ったように、巨大施設の構造を理解している人と行動をともにするのも大事なこと。ちなみにファイヤーマンコートを粋に着こなすマックイーンのダンディさにも注目。
『トレマーズ』
製作年/1990年 原案・脚本/S・S・ウィルソン 監督/ロン・アンダーウッド 出演/ケビン・ベーコン、フレッド・ウォード
地底にいる巨大生物には爆弾が効果的!
砂漠の町で何でも屋を営むヴァルとアールのコンビが、謎の死体や羊の死骸を発見。やがてその原因が、地底を這う全長10メートルもの狂暴な巨大生物=グラボイドの存在を知ることに。それも一匹だけではなく、なんと4匹!
町の脅威となった、この獰猛な肉食獣は今や住宅地にも出没して捕食を続けている。生存者たちと合流したヴァルとアールは、グラボイドから町を守るために決死の行動に打って出る!
世界中でヒットを飛ばし、シリーズ化もされた快作。巨大なツチノコともいうべきグラボイドから生き延びるには、まず振動を立てないこと。それを察知するや、怪物は猛スピードで地底を突進し、無数の触手で獲物をとらえたり、または突然地上に現われて丸飲みにしたり。
なにしろ、バスケットボールをドリブルしただけで反応してしまうのだから、慎重な行動が必要だ。倒すには、銃火器よりも爆弾が効果的だが、口から体内にそれを放ることが望ましい。地底からの見えない脅威に備えよ!
『ジュマンジ』
製作年/1995年 監督/ジョー・ジョンストン 出演/ロビン・ウィリアムズ、ジョナサン・ハイド、キルステン・ダンスト
ゲームのクリアを目指すしかない!
異世界は異世界でも、この映画が描くのはボードゲーム(盤上ゲーム)の世界。しかもゲームを始めると、その世界が現実になるという、公開当時は超斬新なシチュエーションで観客を驚かせた。引越し先の屋根裏部屋で見つけたボードゲーム『ジュマンジ』。幼い姉弟が駒を使って遊んでみたところ、ジャングルの動物たちが出現。26年前にジュマンジで遊んで、その世界に取り残されたまま大人になったアランとともに、ゲームを封印しようと奮闘する。
ライオンや象など猛獣が屋敷の中を暴走したりと、90年代の作品としては先進的だったパニック映像は、いま改めて観ても古くささを感じない。そして26年前のアランの運命は、ちょっと心を締めつける部分があったりして、大人のドラマとしても輝きを放っている。26年後のアランを演じるのが、今は亡きロビン・ウィリアムズなのも感慨深いのだ。2017年にはドウェイン・ジョンソン主演でリメイク。こちらはゲーム世界に“入り込む”感覚を強調して映像化。続編も作られた。
『デイライト』
製作年/1996年 監督/ロブ・コーエン 出演/シルヴェスター・スタローン、ヴィゴ・モーテンセン
絶望的な状況下、いかに皆を鼓舞するのかが大事だ!
危険な廃棄物を積んでいる大型運送車に暴走車が激突したことから、海底トンネル内で大爆発が起き、多くの人たちがトンネル内に取り残されてしまう。外部と連絡もとれず、空気もだんだんと薄くなり、誰もが疑心暗鬼状態へと陥るはめに。ヒット作『ワイルド・スピード』で知られるロブ・コーエン監督だけに、パニックシーンはド迫力。
本作で参考にしたいのが、災害下における人間の心理状況。パニックになると、自分の身を守ることしか考えられなくなることもある。それを肝に命じておきたい。そこで理想としておきたいのが、スタローン演じるタクシー運転手ラトゥーラの行動。トンネル内に残された人々に対して「希望はある。諦めちゃダメだ!」とあきらめずに鼓舞するのだ。子の姿を見て、生存者たちは人命救助に尽力するスタローンに協力するようになる。脱出途中では、老人ジョージを連れていくことができない、無念の決断を下すシーンもあるが、それを乗り越えて一致団結し、脱出を目指していく。
『アナコンダ』
製作年/1997年 原案・脚本/ハンス・バウアー 監督/ルイス・ロッサ 出演/ジェニファー・ロペス、アイス・キューブ
超巨大ヘビには火器で対抗すべし!
ブラジル奥地の原住民を取材するために、アマゾンのジャングルを行く撮影クルー。道中、遭難していた温厚な初老男性を助けたことが、彼らの災難の始まりだった。
この男の正体は、実は海千山千の密猟者で、大金欲しさに全長12mもの巨大アナコンダを追いかけていた。老獪な彼の策にはまり、行動をともにせざるをえなくなったクルーに、やがてアナコンダが襲いかかる!
ジェニファー・ロペス&アイス・キューブの、カリスマ・ミュージシャンにして人気俳優が共演した本作は、彼らふんするクルーのサバイバルがドラマの主軸に。なにしろアナコンダは神出鬼没で、地を這っていると思いきや、いきなり木の上から襲ってきて、人間を丸飲みしてしまう。
いうまでもなく、都会からやって来た撮影クルーにとってジャングルはアウェーで、逃げ場がどこにあるのかもわからない。このバケモノを倒すには、やはり火器の使い方がカギとなる。本作も好評を博し、後にシリーズ化された。
『アルマゲドン』
製作年/1998年 監督/マイケル・ベイ 出演/ブルース・ウィリス、ベン・アフレック、ビリー・ボブ・ソーントン、リブ・タイラー
小惑星と地球の各地を破壊!
人類の滅亡を招きかねない小惑星が地球に接近。地球への激突を防ぐ方法はただ1つ、小惑星の内部に核爆弾を設置し、内側から破壊すること。このミッションを成功させるため、石油採掘のスペシャリストとして名高いハリー・スタンパー(ブルース・ウィリス)ら14人の男たちが小惑星へと飛び立つことに……。
人類滅亡へのカウントダウンが刻々と刻まれる中、運命を委ねられた男たちの激闘が展開。破壊王マイケル・ベイの勢いは地球の外でも衰えることを知らず、小惑星爆破にまつわる一連のシークエンスは予想通りダイナミック。そのほか、NYやパリに隕石が降り注ぎ、物語の幕開けとなるパニックシーンでもクライスラービルなどを破壊し、さすがの豪快さを嬉々として見せつけている。
『グエムル 漢江の怪物』
製作年/2006年 監督/ポン・ジュノ 出演/ソン・ガンホ、ぺ・ドゥナ
家族や仲間が結束して立ち向かうことが大事!
米軍の研究施設によって韓国の漢江に廃棄したホルマリンに反応し、川底の一匹の生物が巨大化。エサ、すなわち人間を求めて、やがて地上に姿を現わす。
この怪物=グエムルに最愛の娘をさらわれた、ぐうたらなダメ親父が奮起。老父や妹、弟ら家族の協力を得て、娘の救出に乗り出す。一方で、街はこの怪物と謎のウイルスによってパニック状態に。混乱の中、ダメ親父はグエムルを倒すことができるのか?
『パラサイト 半地下の家族』で今や世界注視の巨匠となったポン・ジュノの監督作品。彼らしい社会風刺やユーモアは宿ってはいるが、モンスター映画としてもよくできていて、とにかくスリリング。
グエムルを倒すために必要なのは、まずグロい容姿にひるまない勇気。さらに火器やアーチェリーの腕前。何より、巧みな連携を可能にする家族間の絆が重要だ。『パラサイト~』にも通じるファミリー連携の妙は見逃せない。“半地下の家族”の父親ソン・ガンホが本作でもダメ親父を妙演。
『サンクタム』
製作年/2010年 監督/アリスター・グリアソン 出演/リチャード・クロスバーグ、リース・ウェイクフィールド
地下洞窟が増水するとこんな危険な目に!
ジェームズ・キャメロン製作総指揮による冒険パニック映画。パプアニューギニアの巨大地下洞窟を調査していた探検隊が豪雨によって閉じこめられ、水没の危機に立ち向かうことに。実はこの作品はキャメロンの仕事仲間で、洞窟探検家でもあるアンドリュー・ワイトの体験談から生まれた作品なのだ。高性能な3Dカメラで撮影された洞窟内の神秘的な美しさにはついつい魅了されてしまう。
タイでの脱出劇も困難を極めていたが、増水した洞窟内を抜け出すのはとても難しいことが本作を見るとよくわかる。水の勢いで大岩が落下して出口をふさいでしまったり、水流によって流され岩肌にカラダを打ちつける、なんてことも。脱出に手こずると当然ながらボンベ内の酸素も少なくなるし、酸素チューブが破裂するといった想定外なトラブルも起こったりする。
確かに本作のような地下洞窟の潜水は、冒険家でなければなかなか行わないことだろう。けれども、台風による増水被害は日本でも発生するし、先日などはヨルダンのペトラ遺跡で観光中に濁流が流れこみ、危機一髪で避難したなんていう出来事もあった。水の怖さを知る上でも、本作を見ておくことをおすすめします!
『ワールド・ウォーZ』
製作年/2013年 監督/マーク・フォースター 共演/ミレイユ・イーノス、ダニエラ・ケルテス
ウイルスからゾンビが生まれる!
謎のウイルスが世界中で蔓延している中、ウイルスに感染したゾンビと人類の戦いを描いたパニック映画。ブラッド・ピットは元国連職員のジェリー・レイン役で、妻と娘を安全な空母に避難させ、自らはワクチン開発と情報収集のために、人類滅亡まであと90日と言われる終末世界へと旅立つ。
死者が蘇ったのではなく、“人間の感染症”という設定なので、本作のゾンビはめちゃくちゃ走る! 攻撃性の高いゾンビが群衆で押し寄せてくる描写は呆気にとられるほどの大迫力! 特にイスラエル‐パレスチナ間にある壁をゾンビが何十万と重なって超えてくるシーンは、民族間で分離している現実問題を彷彿とさせる。
ブラッド・ピットは何があっても妻と娘を守ろうとする父としての頼りがいや安心感、妻を優しくハグ&キスする際の夫としての愛情深さ、命を懸けた戦いに身を投じていく際のクールかつハードボイルドを体現していてかっこいい。
『カリフォルニア・ダウン』
製作年/2015年 監督/ブラッド・ペイトン 出演/ドウェイン・ジョンソン、カーラ・グギーノ
巨大地震での救助はヘリコプターが有効!?
サンアンドレアス断層が縦断するカリフォルニア州は地震多発地帯として知られている。そんな中、いまだ誰も体験したことがないレベルの大地震が襲ってきたら? そんな「もしも」をスペクタクル描写満載で描いたパニック超大作が『カリフォルニア・ダウン』。大都市ロサンゼルスが崩壊、サンフランシスコも崩壊。アメリカが誇るフーバーダムも決壊。そんな中、“ロック様”ことドウェイン・ジョンソン扮するレスキュー隊員が家族を救出するべく大奮闘する。
この作品で描かれる地震は超巨大レベル。想像を超える揺れに、高層ビルは次々と崩れ落ち、中には真ん中から裂けて崩壊するビルまで出てくる。逃げ惑う人々の上には瓦礫が降りかかるなど、さすがに地上では救助どころではなさそう。そうなると、「主人公のようにヘリコプターでのレスキューが現実的なのかもしれない」。実際、我々が住む日本も、南海トラフ巨大地震が懸念されているため、他人事ではない。避難ルートの確認や、食料の備蓄はもちろん備えておくべき。そのうえ、ドウェイン並みにヘリコプターの免許を取得しておけば、これほど“頼りになる男”いないかも!?
『ザ・ブリザード』
製作年/2016年 監督/クレイグ・ギレスピー 出演/クリス・パイン、ケイシー・アフレック、エリック・バナ
救助に大事なことは、“捨て身の覚悟”と“千載一遇の機会を逃さないこと!”
1952年、未曽有のブリザード(暴風雪)がアメリカ東海岸を直撃! 巨大タンカーが座礁して真っ二つになり、32人の生存者が海の只中に取り残されてしまった(コレって実話)。この事故がとんでもなかったのは、あまりにも救出が困難な状況だったこと。風速40mの大吹雪、波の高さは20mもある。通常であれば救助に向かえる天候ではない。が、そんな中救出に向かったのがわずか定員12人の救命艇一艘。しかも、船のコンパスが壊れてしまい、乗りこんだ4人の湾岸警備隊員は運と勘だけで沈みゆくタンカーを見つけなくてはならなくなったのだ!
映画の中で男らしさを感じるのが、救出に向かう湾岸警備隊の勇気。正直、嵐の中でタンカーを探すのは命がけの行為。しかし、沈みゆく命を救うには、無謀ともいえる捨て身さで挑まないとできないことを救助隊は教えてくれる。さらに、12人乗りの救命艇で、生存者32人を救わなければならない窮地では、全員の乗船を即決。最後の1人が救助艇に乗ったあとタンカーが沈没。救助はワンチャンスを掴まなくてはダメ。迷っていてはいけないことを肝に命じておきたい。
そして一方、救助を待つ人たちの機転も胸に刻みたい。救助艇の目印となる灯台が、嵐による停電でダウン。それを知った人々は、クルマを持ち寄り、ライトを点灯させて船の向かう先を誘導したのだ。何が起こるかわからない災害時。頼りになるのは、恐れずに立ち向かう心意気と先を読む発想ということだ。
『オンリー・ザ・ブレイブ』
製作年/2017年 監督/ジョセフ・コシンスキー 出演/ジョシュ・ブローリン、マイルズ・テラー、ジェームズ・バッジ・デール、ジェフ・ブリッジス、ジェニファー・コネリー、テイラー・キッチュ
クライマックスの衝撃度は想像以上!
日本とは違って、毎年のように大規模な山火事が起きるアメリカには、森林専門の消防士たちがいる。“ホットショット(精鋭部隊)”と呼ばれる彼らは、過酷なトレーニングを積んで、果てしない勢いで広がる炎と全身全霊で闘うことになるのだ。この映画は、2013年、アリゾナ州で起こった巨大な山火事に立ち向かった男たちの実話を基にしている。
“ホットショット”と呼ばれるのは、米国農務省の森林局に管轄された部隊のこと。しかし本作の主人公たちは“市”が管轄する消防隊員で、大きな仕事は任せてもらえない。一見、寄せ集めに見える彼らだが、厳しいリーダーの下で、ガッツにあふれたチーム。あざやかな消火活動を地道に続けた結果、“ホットショット”として特別に認定される。そこに新たに加わったのが、麻薬漬けの生活を送り、窃盗事件も起こした問題児のマクドナウだった……。
激しすぎるトレーニングなど、数々の洗礼を受けるマクドナウ。そんな、いわくつきの新メンバーへの、ベテラン隊員たちの“大人”の対応。体育会的な男たちのドラマが展開しながら、要所に山火事発生のシーンが挿入され、規模は様々ながら、CGも駆使した臨場感たっぷりの映像に圧倒される。なんといっても驚くのは、森林消防隊ならではのテクニックの数々だ。延焼を防ぐために手前でわざわざ火を起こす“迎え火”や、現場に急行する途中の近隣邸宅のプールからの給水、防火シートにくるまって500度(!)の炎が通過するのをひたすら耐えるなど、知られざるネタが次々と登場する。
主人公のマクドナウを演じるのは、マイルズ・テラー。あの『セッション』で鬼教官にさんざん傷めつけられた彼が、今回も指揮官や先輩からの熱血指導を受ける役どころ。反発や葛藤を繰り返し、プライドを獲得する姿が、またしても激しく共感を誘うのであった。俳優のハマリ役を実感!
『ランペイジ 巨獣大乱闘』
製作年/2018年 監督/ブラッド・ペイトン 出演/ドウェイン・ジョンソン、ナオミ・ハリス
巨獣同士を戦わせて勝機を探る!
遺伝子実験サンプルの影響を受けた野生動物が巨大化。動物保護区に棲むゴリラ、ジョージが逃走したばかりか、狂暴性を増したオオカミやワニも暴走して大都会シカゴを蹂躙する!
このパニックの背後には、遺伝子研究を主導していた悪徳企業の腹黒い陰謀が。ジョージの世話をしてきた霊長類学者にして元特殊部隊員のオコイエが、この文明社会の危機に立ち向かう!
本作の遺伝子サンプルにはさまざまな動物のDNAが組み込まれており、巨体化はシロナガスクジラのそれによるもの。さらにチーターの敏捷性、カブトムシの装甲も宿り、銃弾も爆弾も通用しない完全戦闘仕様生物に変態する。
こんなバケモノに狙われたら、ひとたまりもない。主人公オコイエの頼みの綱は、”友人”として接していたジョージをなだめて味方に付けること。その作戦の行方がスリリングで、目が離せない。オコイエにふんするタフガイ、ロック様こと、ドウェイン・ジョンソンの巨獣にビビらない戦いっぷりが頼もしい。
『スカイスクレイパー』
製作年/2018年 製作・出演/ドウェイン・ジョンソン 監督・脚本/ローマン・マーシャル・サーバー 出演/ネーヴ・キャンベル、チン・ハン
超高層ビルが襲撃を受けて燃え盛る!
ドウェイン演じるウィルは元FBI人質救出部隊のリーダー。現在は、危機管理コンサルタントとして、香港に新しく建てられた超高層ビル“ザ・パール”の保安査定を担当している。開業を間近に控える中、謎のテロリストがビルを襲撃。上層階は爆破され、炎の海となり、パニック化してしまう。同じ上層階には、運悪く妻と子供たちが滞在中。危険を知ったウィルは、家族を救うため燃え盛るビルへ突入する。
本作を面白くしている仕掛けが、ハイテク制御の超高層ビル。セキュリティの管理をテロリストに奪われたため、外部から容易に侵入ができないというわけ。そこでウィルは、隣の建設中の建物によじ登り、クレーンをつたってビルへ大ジャンプ! 冒頭から手に汗握る展開が繰り広げられる。このほか、イーサン・ハントよろしく窓ガラスに張り付いての移動や巨大風力タービンのすり抜けなど、名作のいいとこ取りな場面も!
ドウェイン作品となると派手な肉弾戦を期待しがちだが、本作ではその怪力を救助に使うことの方が多い。子供を救うため崩れ落ちそうな渡り廊下を支えるなど八面六臂の活躍をする。家族救出劇に加えて、クライマックスにかけてテロリストの本来の目的などが判明するなど物語は急展開。敵の美女コマンドー役のハンナ・クィンリヴァンのクールな魅力にも是非注目してほしい。
『MEGザ・モンスター』
製作年/2018年 監督/ジョン・タートルトープ 出演/ジェイソン・ステイサム、リー・ビンビン、レイン・ウィルソン
巨大ザメだって退治可能!
舞台は中国、上海沖の海中に建設された海洋研究所。海底の調査に向かった探査艇の通信が途絶え、元レスキューダイバーのテイラーら捜索隊が海底へと向かう。そこに現われたのが、200万年前に絶滅したとされていた体長25メートルの巨大生物メガロドン。
サメの元祖ともいわれているこのモンスターは、未知の海溝で種を保存しながら生き延びていた。やがてメガロドンは海底から浮上し、海洋研究所のみならず海水浴客でにぎわうビーチをも襲撃する!
『トランスポーター』『ワイルド・スピード』シリーズでおなじみのアクションスター、ジェイソン・ステイサムが主人公テイラーに扮して、太古の生物とのバトルを体現。メガロドンは架空の生物ではなく、太古の時代に存在していたことが化石学から判明している。
この怪物が現代に現われたら、人類はどうやって戦うべきか? テイラーはグライダーに乗って海中を駆け回り、ポッド上部のエッジを利用して撃退作戦を敢行。痛快にして爽快な結末を見逃すな!
『グリーンランド−地球最後の2日間−』
製作年/2020年 製作・出演/ジェラルド・バトラー 監督/リック・ローマン・ウォー 脚本/クリス・スパーリング 出演/モリーナ・バッカリン、デビッド・マンソン
最大級の彗星が地球とぶつかる!
ジェラルド・バトラーが演じるのは、建築技師のジョン。最初は彗星接近ということで、家族や近所の人たちと“世紀の天体ショー”というノリを楽しんでいたのだが、突如、軌道を変えた彗星が遠く離れたフロリダに激突。やがて48時間後に、最大級の彗星が地球とぶつかることが明らかになる。
この手のパニック映画は、各国のトップや有能なエキスパートが集結して大災害と闘うパターンと、主人公の家族の運命にフォーカスするパターンがある。本作は、明らかに後者。ジョンの一家はアメリカ政府によって数少ない“緊急避難者”に選ばれたのだ。空軍基地へ向かい、そこで輸送機に乗ればいい。つまり“ノアの方舟”のようなもの。しかし基地に行くまでに、想像を絶する試練が待っていた……。
パニック映画なので「これは、ありえない!」という描写があるのは当然だが、本作の場合、観ているこちらに余計なことを考えるスキを与えない。それくらい次々と事態が急展開していくのだ。ジョンの息子が病気でインシュリンの投与が必要な状況や、周囲の“選ばれていない”人との対立もあって、カウントダウンの脱出劇は一瞬も緩みがない。
そして要所に出てくる各地の悲劇も、リアリティ満点のビジュアル。ジェラルド・バトラーは『ジオストーム』で地球全体の自然災害に立ち向かい、『エンド・オブ・ホワイトハウス』などで単身、テロリストから大統領を守ってきたが、今回は徹底して家族の命に集中。しかしまたしても「この人に近くにいれば生き残れる!」という強烈な安心感を与えてくれて、さすがの存在感である。多くの要素で、ディザスター映画への期待をクリアする一作!
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
製作年/2022年 製作総指揮/スティーヴン・スピルバーグ、アレクサンドラ・ダービシャー 製作総指揮・監督・脚本/コリン・トレボロウ 出演/クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム、サム・ニール
恐竜パニックの醍醐味が存分に味わえる!
“パーク”から“ワールド”へ名前を変えつつ、基本的に恐竜たちが生息するテーマパークや島がメインだった『ジュラシック』シリーズだが、今回は舞台が世界規模へと広がる。スケールアップという点では異常事態だ。前作での火山爆発をきっかけに恐竜たちは人間社会に放たれてしまい、日々のニュースでも恐竜と人間の遭遇が報じられ、希少な恐竜は闇取引されるようになった。恐竜のDNAを使った研究で世界を動かそうとする企業も現れ、そのバイオシン社が物語の重要ポイントとなる。前2作からの主人公、オーウェンとクレアは、クローンから生まれた14歳の少女メイジーと山奥で生活していたが、恐ろしい陰謀に巻き込まれていく。アメリカ各地や、地中海のマルタ島での攻防は、想像を超えた場所へたどり着き……。
完結編ということで、シリーズの“レジェンド”が再集結。第1作『ジュラシック・パーク』の3人の博士が、同じキャストで再会を果たし、それぞれの知識と経験を使って大活躍。29年ぶりの3ショットにシリーズファンは胸が熱くなるはず。アクションに関しても雪原や大海原、世界遺産の街並みなど、恐竜たちの出現シーンは、過去のどんな映画でも観たことのないビジュアルに結実。CGはもちろんだが、要所ではアニマトロニクス(動くロボットによる実写)も駆使され、第1作から続くスピリットに感動する。そしてこれまで何度か登場の噂があった“最強”といわれる恐竜、ギガノトサウルスが満を持しての大暴れ! その重量級バトルに圧倒されつつ、恐竜キャラクターにも思わぬ感動が用意されている。
『ムーンフォール』
製作年/2022年 製作・監督・脚本/ローランド・エメリッヒ 出演/ハル・ベリー、パトリック・ウィルソン、ジョン・ブラッドリー、マイケル・ペーニャ、ドナルド・サザーランド
月が軌道を変えて、数週間後に地球に激突!?
地球規模のパニックは、実際に起こってほしくないけれど、映画にとって最高のテーマにもなる。『インデペンデンス・デイ』、『デイ・アフター・トゥモロー』、『2012』……と、パニック映画のタイトルを挙げると、そこには共通点が! 監督がどれもローランド・エメリッヒなのだ。そのエメリッヒの新作では、またもや地球に滅亡の危機が訪れる。
2021年、突如として月が軌道を変えて、数週間後に地球に激突することが判明。その10年ほど前に、月の近辺で事故に遭ったNASAの宇宙飛行士ブライアンとジョー、そして今回の異変に気づいた、自称・天文学博士のK.C.が、この危機を止めるべく信じがたいミッションに挑む。まさにローランド・エメリッヒしか撮れないような物語が展開していくのが、この『ムーンフォール』だ。今はNASAを離れ、息子が起こすトラブルで苦悩するブライアン。元夫が軍の上層部で、強引な作戦に出ようとするのを、NASAの副長官として押しとどめようとするジョー。そしてK.C.と認知症の母など、主要キャラのファミリードラマを地球滅亡のパニックに絡めるのも、これまたエメリッヒ映画らしい。
なぜ月は、軌道を変えたのか? その秘密は冒頭からヒントが示されるが、映画の中盤、そして後半と、目を疑う事実が明らかになっていき、その事実が特大スペクタクル映像とともに迫ってくる印象。月の表面の神秘的なビジュアルも、謎めいた雰囲気を高める。あまりの突飛なアイデアにツッコミを入れたくなる瞬間もあるが、それを力技で跳ね返していくのも、エメリッヒのパニック大作らしいところだ。
text:Hiroaki Saito、Hikaru Watanabe、Mayuko Kumagai、Manabu Souma、Toru Yonehara