CHARLIZE THERON[シャーリーズ・セロン]
『モンスター』
製作年/2003年 監督・脚本/パティ・ジェンキンス 共演/クリスティーナ・リッチ
圧巻の演技でオスカーを獲得!
カラダを売って生活する道を歩んできたアイリーンは、バーで出会った女性セルビー(クリスティーナ・リッチ)と惹かれ合う。人生で初めて安らぎを感じたアイリーンはセルビーと生活していくため、再びカラダを売ることに。そんな中、トラブルに見舞われ客の1人を殺してしまい…。
アメリカ犯罪史上初の女性連続殺人犯として、“モンスター”と呼ばれたアイリーン・ウォーノスの実話を映画化。それまでは美人女優として型にはめられがちだったシャーリーズが体重を増量し、特殊メイクの力も借り、切なくも不気味な“モンスター”を熱演。惨めに生きるしかないアイリーンの心の叫びを全身で表現し、アカデミー賞主演女優賞に輝いた。女優シャーリーズ・セロンの演技派ぶりが広く知られた記念すべき1作。
『スタンドアップ』
製作年/2005年 監督/ニキ・カーロ 脚本/マイケル・サイツマン 共演/フランシス・マクドーマンド、ジェレミー・レナー
男社会に立ち向かう姿がかっこいい!
女手ひとつで子供たちを育てるため、故郷の炭鉱で働き始めたシングルマザーのジョージー。だが、男社会の炭鉱は働き手の女性に厳しく、ジョージーは職場の男たちから執拗な嫌がらせを受けるようになる。現状に耐えかねたジョージーは訴訟を起こすが、その道のりは想像以上に険しいものだった…。
1980年代に行われた世界初のセクシャルハラスメント訴訟にまつわる実話をベースに、主人公の苦闘を描いた社会派ヒューマンドラマ。『モンスター』でアカデミー賞主演女優賞に輝いたシャーリーズが、演技派ぶりを発揮して再び主演女優賞にノミネート。持ち前の華やかなオーラを封印し、炭鉱での仕事と子育て、そして世紀の訴訟に悪戦苦闘するシングルマザーの折れない心を、力強く演じている。
『ヤング≒アダルト』
製作年/2011年 製作・監督/ジェイソン・ライトマン 製作・脚本/ディアブロ・コーディ 共演/パットン・オズワルト、パトリック・ウィルソン
コメディエンヌとしても高評価!
ヤングアダルト(少女向け)小説のゴーストライターとして活動するバツイチの37歳、メイビスのもとに、高校時代の元恋人とその妻から赤ちゃん誕生の知らせが届く。元恋人との復縁を期待してしまったメイビスは、意気揚々と故郷に向かうが…。
『JUNO/ジュノ』で高い評価を受けたジェイソン・ライトマン監督、ディアブロ・コーディ脚本のコメディで、イタすぎる勘違いヒロイン、メイビスをシャーリーズが熱演。なりふり構わず自分本位に周囲を巻き込んでいくヒロイン像は好き嫌いが分かれるところだろうが、大人になりきれない大人の心の奥まで繊細に表現したシャーリーズの女優魂が光る。コメディエンヌとしての評価も高く、ゴールデン・グローブ賞で主演女優賞にノミネートされた。
『スウィート・ノベンバー』
製作年/2001年 監督/パット・オコナー 共演/キアヌ・リーヴス
美しくロマンティックなシャーリーズが堪能できる!
広告業界のエリートとして仕事優先で生きてきたネルソン(キアヌ・リーヴス)の前に、美しく風変わりな女性サラが現れる。「11月だけ、私の恋人にならない?」というサラの奇妙な提案を受け、2人の期間限定の恋が始まるが……。
自由奔放に生きる女性と彼女を本気で愛するようになる男性が、サンフランシスコの街を舞台に繰り広げるラブストーリー。実は大きな秘密を抱えたヒロイン、サラをシャーリーズがチャーミングに好演。
強くたくましいイメージが定着し、ロマンス映画のヒロインに留まることの少ない現在のシャーリーズ・セロンから考えると、今や少々変わり種となった1本といえる。キアヌ・リーヴスともお似合いで、とにかく美しくロマンティックなシャーリーズを堪能したいならコレ!
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
製作年/2015年 製作・監督・脚本/ジョージ・ミラー 共演/トム・ハーディ、ニコラス・ホルト
強くて美しいシャーリーズ最大のハマり役!
『マッドマックス サンダードーム』以来、30年ぶりとなるシリーズ第4作。妻子を殺された男マックス(トム・ハーディ)が、資源が枯渇し、法も秩序も崩壊した世界で壮絶な復讐劇を繰り広げる。シャーリーズが演じるのは、荒野をさまようマックスと出会い、やがて共闘していくことになる女戦士フュリオサ。
髪を短く刈り込んだクールな外見に片腕の欠損を感じさせない戦闘能力など、精神的にも肉体的にも強く美しい現シャーリーズ・セロン最大のハマリ役で、彼女にしか演じられない役どころ。邪悪な支配者の打倒を誓うマックスとのカップリングも相性よく、強く美しいシャーリーズを堪能するなら何はなくともコレから。続編はもちろん、フュリオサを主人公にしたスピンオフも熱望されている。
SCARLETT JOHANSSON[スカーレット・ヨハンソン]
『ロスト・イン・トランスレーション』
製作年/2003年 製作・監督・脚本/ソフィア・コッポラ 共演/ビル・マーレイ
演技派として開花!
CM撮影のため東京にやって来た中年のハリウッド俳優(ビル・マーレイ)と、カメラマンの夫に同行して東京を訪れるも、ホテルの部屋で孤独に過ごすはめになった若妻。同じホテルに泊まっていた2人が偶然知り合い、時間を共にすることに…。
ソフィア・コッポラ監督が自身の体験をもとに撮り上げ、アカデミー賞脚本賞に輝くなど、各映画賞を席巻したヒューマンストーリー。主人公の若妻を演じたスカーレットにも絶賛評が集まり、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞にノミネートされた。
それまでは注目の子役、期待の若手としてキャリアを築いていたが、見知らぬ街に佇む“異国人”の孤独を控えめだが深みのある演技で表現し、演技派として一躍開花。若手実力派女優のトップに躍り出る。
『真珠の耳飾りの少女』
製作年/2003年 監督/ピーター・ウェーバー 共演/コリン・ファース、キリアン・マーフィ
ただただ美しいスカヨハ!
『ロスト・イン・トランスレーション』が評価された同年に公開され、若手実力派女優スカーレット・ヨハンソンを印象づけた1作。17世紀オランダで活躍した画家ヨハネス・フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』を題材に、創作に執念を燃やすフェルメール(コリン・ファース)とそのモデルになった下働きの少女の物語が展開する。
『真珠の耳飾りの少女』から抜け出てきたかのようなヒロインを、スカーレットが危うくも静謐な雰囲気を湛えながら好演。ゴールデン・グローブ賞では『ロスト・イン~』でミュージカル・コメディ部門の主演女優賞、本作でドラマ部門の主演女優賞にノミネートされる快挙となった。
視覚的な美しさも印象深い作品世界の中で、ただただスカーレットの美しさが光る。
『マッチポイント』
製作年/2005年 監督・脚本/ウディ・アレン 共演/ジョナサン・リース=マイヤーズ
世界一セクシーな女優の面目躍如たる演技!
野心家の元テニス選手クリス(ジョナサン・リース=マイヤーズ)は、上流階級への憧れを胸にハンサムな金持ち青年トムと友人関係に。トムの妹クロエと付き合い、足場を固めていく。しかし、トムの美しい婚約者ノラの存在が、クリスの運命を次第に狂わせていき……。
ウディ・アレンがロンドンを舞台に撮り上げたサスペンスに、スカーレットは主人公を惑わせるアメリカ人女性ノラ役で登場。欲望と衝動がスリリングに交錯する展開の中で、エロティックな存在感を放つスカーレットのナチュラルな色気が炸裂する。
と同時に、人間の愚かさを不格好に体現する役割も担っており、シニカルなブラックコメディ的ヒロインとしても見事。この頃から、世界一セクシーな女優と呼ばれるようにもなった。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
製作年/2015年 監督・脚本/ジョス・ウェドン 共演/ロバート・ダウニー・Jr、クリス・ヘムズワース、クリス・エヴァンス
アクションもこなせるのが魅力的!
『アイアンマン2』以降、マーベルコミックのヒーローたちが活躍する大ヒットシリーズの一員に。ロシアの謎多きスパイ、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフを演じている。
ヒーロー集団“アベンジャーズ”の中心人物として平和のために戦うブラック・ウィドウは、今や女優スカーレット・ヨハンソンを代表するキャラクターに。タイトなコスチュームに身を包み、華麗なアクションを繰り広げる姿が世界中のファンを魅了している。
本作ではブラック・ウィドウの過去について若干の言及があるほか、アベンジャーズの仲間であるハルクことブルース・バナー(マーク・ラファロ)とのロマンスも。
『マリッジ・ストーリー』
製作年/2019年 製作・監督・脚本/ノア・バームバック 共演/アダム・ドライバー、ローラ・ダーン
スカヨハ史上、最高の演技!
愛し合って結婚し、息子にも恵まれたものの、離婚を選択することになった女優の妻ニコールと舞台演出家の夫チャーリー。当初は円満な協議離婚を望んでいた2人だったが、次第に双方の怒りと不満が噴出し、弁護士を立てて争うことになってしまう……。
『イカとクジラ』のノア・バームバック監督が自身の体験にもヒントを得て、離婚に向かう夫婦の心情を見つめたヒューマンストーリー。スカーレットが妻を、アダム・ドライバーが夫を演じ、共にアカデミー賞主演賞にノミネートされた。
心情を切々と吐露する、あるいは相手に思い切りぶつける際の長台詞など、その女優力を実感できるシーンが多く、スカーレット・ヨハンソン史上最高の演技との呼び声も高い。30代になった彼女の今に相応しい傑作。
NATALIE PORTMAN[ナタリー・ポートマン]
『レオン』
製作年/1994年 監督/リュック・ベッソン 共演/ジャン・レノ、ゲイリー・オールドマン、ダニー・アイエロ
少女ながら、その存在感に唸る!
家族を殺された12歳の少女マチルダと孤独な殺し屋レオン(ジャン・レノ)が、奇妙な共同生活を送ることに。女優の道を歩み始めたばかりのナタリー・ポートマンが、2000人におよぶ候補者の中からマチルダ役を勝ち取った。華奢であどけないが眼差しは鋭く、言動も大人びたマチルダを魅力たっぷりに演じたナタリーは、本作を経てたちまちブレイク。経験の浅さを感じさせない演技力で、若手実力派の道を進んでいくことになる。
家族の復讐を遂げるためレオンから暗殺技術を学ぼうとするマチルダと、彼女から読み書きを学ぶレオン。“父と娘”に留まらず、“男と女”と呼ぶには危うすぎる両者の関係を、ナチュラルに成立させた若きナタリーの存在感に唸らされる。監督はリュック・ベッソン。
『地上より何処かで』
製作年/1999年 監督/ウェイン・ワン 共演/スーザン・サランドン
知性派の一面が垣間見える!
退屈な田舎暮らしに飽き飽きした母アデル(スーザン・サランドン)は、優等生の娘アン(ナタリー・ポートマン)を連れてハリウッドへ。引っ越し早々に生活は困窮するが、アデルは金にも男にもルーズな毎日を続けるばかりで…。公開当時、ナタリーは18歳。『スター・ウォーズ』シリーズでパドメ・アミダラを演じる一方、オスカー女優サランドンを相手に、性格の正反対な母親に振り回される真面目な娘を繊細に演じ切った。
ハーバード大学に進学するなど、一時期は女優業より学業を優先し、知性派としても知られるナタリーらしさが役柄にも作品にも表れている。『スモーク』などを手掛けた名匠ウェイン・ワンの下、ゴールデン・グローブ賞で助演女優賞にもノミネートされた。
『クローサー』
製作年/2004年 製作・監督/マイク・ニコルズ 共演/ジュリア・ロバーツ、ジュード・ロウ、クライヴ・オーウェン
名演技でオスカー候補に!
小説家志望のダン(ジュード・ロウ)、ストリッパーのアリス(ナタリー・ポートマン)、写真家のアンナ(ジュリア・ロバーツ)、皮膚科医のラリー(クライヴ・オーウェン)が複雑な恋愛模様を展開。心と心、肉体と肉体の出会い、別れが描かれていく。
パトリック・マーバーの戯曲を『卒業』の名匠マイク・ニコルズが映画化した作品で、品行方正なイメージのナタリーがストリッパーを演じたことも話題に。過度なヌードシーンは本編からカットされたというが、それでも思わせぶりな誘惑のパフォーマンスを披露し、赤裸々な言葉を口にするアリスからは、20代になった“第2期ナタリー・ポートマン”のはじまりが感じられる。出演者の中でも特に高く評価され、アカデミー賞助演女優賞候補となった。
『ブーリン家の姉妹』
製作年/2008年 監督/ジャスティン・チャドウィック 共演/スカーレット・ヨハンソン、エリック・バナ、ジム・スタージェス
悲痛なヒロイン役で新境地!
国王ヘンリー8世(エリック・バナ)が君臨する16世紀イングランド。新興貴族のブーリン家は世継ぎに恵まれないヘンリー8世に長女アン(ナタリー・ポートマン)を差し出す。だが、王が惹かれたのはアンの妹メアリー(スカーレット・ヨハンソン)だった…。野心と策略を武器に王妃の座を目指すものの、やがて運命を狂わせていくアン・ブーリンをナタリーが大熱演。
『クィーン』などの名脚本家ピーター・モーガンが実話を基に紡ぐ物語世界を、イギリス英語にも挑戦しながら泳ぎ切る。がむしゃらすぎて悲痛なヒロイン役は好き嫌いが分かれるところかもしれないが、サンディ・パウエルの豪華な衣装に身を包んだナタリーは美しく、女優としての幅を大胆かつ果敢に広げていることもうかがえる。
『ブラック・スワン』
製作年/2010年 監督/ダーレン・アロノフスキー 共演/ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、ウィノナ・ライダー
ナタリー史上、最高の演技!
『白鳥の湖』の主役に抜擢されたバレリーナが、徐々に精神を崩壊させていくサイコスリラー。監督は『レスラー』のダーレン・アロノフスキー。ナタリーは主人公のニナを演じ、約10kgの減量を経てバレリーナのリアルな肉体を作り上げた。
自我を混乱させる主人公の悪夢がスリリングに描かれていく中、追い詰められるニナの心情を巧みに表現したナタリーに絶賛評が集中。アカデミー賞主演女優賞をはじめ、いくつもの映画賞に輝いた。また、本作で共演したフランス人ダンサー兼振付師バンジャマン・ミルピエと婚約し、妊娠を発表。アカデミー賞授賞式では、ふっくらしたお腹で受賞トロフィーを受け取った。かつての天才子役から大女優へと成長したナタリー・ポートマンの20代を締めくくる作品の1本。
PENELOPE CRUZ[ペネロペ・クルス]
『バニラ・スカイ』
製作年/2001年 製作・共演/トム・クルーズ 監督・脚本/キャメロン・クロウ 共演/キャメロン・ディアス
キュートな魅力に誰もが恋する!
出版界に君臨するハンサムな富豪デヴィッドは、自動車事故で重体に。目覚めた彼の顔は、以前の容貌からは程遠い無残なものになっていた…。アレハンドロ・アメナバール監督のスペイン映画『オープン・ユア・アイズ』に惚れ込んだトム・クルーズが、製作と主演を務めてリメイク。『オープン・ユア・アイズ』のヒロインだったペネロペが、こちらでも同じ役を演じている。
事故前のデヴィッドと恋に落ち、彼の不可解な運命に関わっていくヒロインのソフィアは可憐で美しく、オリジナル版でもリメイク版でも魅力を発揮。オリジナル版を見たころからペネロペに心を奪われていたであろうトム・クルーズとは、実生活でも恋人同士になった。ペネロペいわく「オリジナル版のソフィアとは別の人間として役作りをした」そうだが、どちらもキュートなのは確かで、見比べてみるのも面白い。
『ボルベール<帰郷>』
製作年/2006年 監督・脚本/ペドロ・アルモドバル 共演/カルメン・マウラ
演技派としての名声を獲得!
スペインの名匠ペドロ・アルモドバルが、自身の故郷ラ・マンチャの女性たちの生き様を見つめたヒューマンドラマ。ペネロペ演じる気丈な女性ライムンダは夫や娘たちと共にマドリードで暮らしていたが、ある事件が彼女と一家の日常を狂わせていく……。
カンヌ映画祭で、ペネロペを含む出演女優6人に女優賞が贈られたことも話題に。また、ペネロペ個人としては、アカデミー賞主演女優賞、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞などにもノミネートされた。
監督のペドロ・アルモドバルとは『ライブ・フレッシュ』『オール・アバウト・マイ・マザー』などでも組んでいて、ペネロペはいわばアルモドバル監督のミューズ。強さも弱さもあり、絶対的な母性を武器に突き進むも打ち砕かれそうになるライムンダを演じ上げたペネロペが、アルモドバル作品の中で輝いている。
『それでも恋するバルセロナ』
製作年/2008年 監督・脚本/ウディ・アレン 共演/ハビエル・バルデム、レベッカ・ホール、スカーレット・ヨハンソン
コメディエンヌとしてのセンスを発揮!
親友同士のアメリカ人女性ヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)が、旅行でバルセロナへ。そこでセクシーな画家と彼の元妻に出会い……。ウディ・アレンがスペインを舞台に撮ったラブコメディで、ペネロペは画家のエキセントリックな元妻マリア・エレーナ役で出演。
どこか不思議な魅力を持ち、同性異性問わず魅了する天才肌のアーティスト、マリア・エレーナ役が大いにはまり、アカデミー賞で助演女優賞に輝いたほか、その年の映画賞を総なめにする勢いを見せた。バカンス先の開放感をユーモラスに描いた作品世界で、戯画化されたスペイン美女を振り切って演じ、コメディエンヌとしてのセンスも発揮。後に実生活の夫となる画家役ハビエル・バルデムとは、1992年の『ハモンハモン』以来久々の共演だった。
『抱擁のかけら』
製作/2009年 監督・脚本/ペドロ・アルモドバル 共演/ルイス・オマール
愛にもがく美女を好演!
ある事件ですべてを失った映画監督の男(ルイス・オマール)が、封印した過去と向き合うラブストーリー。視力を失い、本名を捨て、今は脚本家として生きる男の現在と過去が描かれ、彼の事情が徐々にひもとかれていく。ペネロペが演じるのは、男が映画監督だった14年前に知り合う女優志望のレナ。監督と主演女優の立場になった2人はたちまち惹かれ合うが、レナには嫉妬深い実業家の愛人がいて……。
出会いの瞬間をとらえたシーンのレナが無性に可愛らしく、男がひと目で激しい恋に落ちたのも頷けるほど。さらに、男との愛を貫こうともがくレナの痛々しいまでの一途さが、観る者の心を揺さぶってくる。まさにペネロペを堪能するのにもってこいの1作だが、そんな彼女をカメラに収めたのはもちろんペドロ・アルモドバル。本作が4度めのタッグとなった。
『NINE』
製作年/2009年 監督/ロブ・マーシャル 脚本/アンソニー・ミンゲラ 共演/ダニエル・デイ=ルイス、マリオン・コティアール、ニコール・キッドマン
艶っぽい演技にゾッコン!
フェデリコ・フェリーニの名作映画『8 1/2』を原作にした大ヒット・ブロードウェイミュージカルを映画化。新作のクランクインを控えているにもかかわらずスランプに陥ってしまった映画監督のグイド(ダニエル・デイ=ルイス)が、彼を取り巻く女性たちとの関係に翻弄されながら夢と現実を交錯させていく。
ペネロペが演じるのは、グイドの情熱的な愛人カルラ。ニコール・キッドマンからケイト・ハドソン、マリオン・コティヤールまで、美声自慢の人気女優たちが歌い、踊り、熱演する中、ほかを蹴散らすセクシーな歌とダンスをダイナミックに披露したペネロペにひと際注目が集まり、アカデミー賞助演女優賞にもノミネートされた。色っぽいランジェリーに身を包んだカルラがグイドを誘惑するくだりは、本編を代表する名場面の1つにもなっている。
Anne Hathaway[アン・ハサウェイ]
『プリティ・プリンセス』
製作年/2001年 監督/ゲイリー・マーシャル 共演/ジュリー・アンドリュース、マンディ・ムーア
あどけない表情がかわいらしい!
サンフランシスコで画家の母と暮らす冴えない女子高生ミア(アン・ハサウェイ)。ある日、祖母が女王だったと知らされる。皇太子の父は亡くなってしまったため、なんとミアが次の女王になるという。祖母であり、欧州の小国の女王でもあるクラリス(ジュリー・アンドリュース)から、早速プリンセスになるための教育を受けるよう言われるのだが……。
本作で映画デビューを果たしたアン・ハサウェイは、当時19歳。どの瞬間も若くてピチピチ。まだあどけなさが残っている表情がいい。普通の内気な女子高生が、一国の王女になるというシンデレラストーリーにはぴったり存在。ミアが王女を継承するかを発表するラストのドレス姿は、気品があふれていて魅了されるはず。本作は大ヒットを記録し、2004年に続編も公開された。
『ブロークバック・マウンテン』
製作年/2005年 監督/アン・リー 共演/ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、ミシェル・ウィリアムズ
体当たりの演技で女優魂を見せつけた!
1963年、ワイオミング州。山で羊の放牧を行う季節労働者のイニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ギレンホール)は、厳しいキャンプ生活の中で互いを愛し合うように。それぞれ結婚した後も密かに2人は愛を貫いていく。保守的なアメリカの西部で、20年以上にも渡る男同士の愛を貫いた人間ドラマ。2005年のヴェネチア国際映画祭で、最高賞の金獅子賞を受賞。
アンは、のちにジャックの妻となる、地元の大金持ちの娘ラリーンを演じた。クラシックなヘアスタイルがよく似合い、テキサス美人のロデオクイーンをセクシーに演じた。夫が自分を好きではないと知り、苦悩する妻役をまさに体当たりで熱演。それまでのアイドル女優のイメージを払拭する女優魂を見せつけた。
『プラダを着た悪魔』
製作年/2006年 監督/デヴィッド・フランケル 共演/メリル・ストリープ、スタンリー・トゥッチ
大人の女性へと成長する姿にドキッ!
大学を卒業し、NYにやってきたジャーナリスト志望のアンディ(アン・ハサウェイ)。お洒落に興味のない彼女だが、ひょんなことから一流ファッション誌のカリスマ編集長ミランダ(メリル・ストリープ)のアシスタントとして働くことに。朝から晩まで鳴り続けるケータイと横暴な命令の数々に、振り回されてしまうアンディ。私生活もめちゃくちゃで、彼氏にも愛想をつかされてしまう。
今でも世の女性たちのバイブルとなっている大ヒット映画。ダサダサファッションだった田舎娘が、仕事に奮闘しながら〈ティファニー〉や〈シャネル〉などハイブランドのファッションを着こなすデキる女へと成長していく。どんどん大人の女性になっていくアンの姿に、思わずドキッとさせられるはず。明るく元気でかわいいアンドレア役は、当時23歳だった彼女のまさにハマり役。この映画を観れば誰もがアンの虜になっちゃう!?
『レ・ミゼラブル』
製作年/2012年 監督/トム・フーパー 共演/ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ
丸刈りも披露!
ヴィクトル・ユゴーによる傑作小説を原作に、1985年の初演以来、世界43か国、21か国語で上演され、世界最大のロングラン記録を誇るミュージカルの金字塔を映画化。
19世紀フランス。元囚人のジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、たびたびの脱走から情け容赦ない警官ジャベール(ラッセル・クロウ)に何十年にもわたり執拗に追われる身となる。そんなバルジャンは、不遇の女工ファンテーヌ(アン・ハサウェイ)に彼女の幼い娘コゼットの面倒を見ると約束するが、それが彼らの運命を大きく変えていく……。
アンは娘のために体を売る悲劇の母ファンテーヌ役。この作品の撮影中、2週間で7kg減量し、丸刈りも披露した。彼女が涙を流しながら歌う“夢やぶれて”は、映画の中で最も胸に迫る見せ場のひとつ。難しい役柄を見事に演じきり、この演技で第85回アカデミー賞助演女優賞を受賞した。
『オーシャンズ8』
製作年/2018年 監督・脚本/ゲイリー・ロス 共演/サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット
嫌味な役を好演!
犯罪ドリームチーム“オーシャンズ”のリーダー、ダニーの妹デビー(サンドラ・ブロック)が刑務所から出所する。彼女は服役中にメトロポリタン美術館でのファッションの祭典、メットガラで高級な宝石を盗み出すという計画を立てていた。早速、かつての仲間のルー(ケイト・ブランシェット)と共に、次々と仲間をスカウトしていく。が、真の目的は宝石を盗み出すことだけではなかった……。
アンは、チームの標的にされる女優ダフネ・クルーガーを演じている。タブロイド誌を騒がせるワガママ女で、今まで彼女が演じてきた役柄にはなかった高飛車で傲慢な役どころ。でも、正統派が多かっただけに、本人もノリノリで演じているのが面白い。メットガラのシーンでは1億5000万ドル相当の宝石を散りばめたネックレスを着用。アンの美しさがいっそう引き立っている。
ANGELINA JOLIE[アンジェリーナ・ジョリー]
『ボーン・コレクター』
製作年/1999年 監督/フィリップ・ノイス 共演/デンゼル・ワシントン、クィーン・ラティファ
アンジーの初主演作品!
脊髄の損傷により寝たきりの身体になってしまったNY市警のライム(デンゼル・ワシントン)。現在は優秀な犯罪学者として活躍する彼が、無残な男の死体の捜査に乗り出す。ベッドから動けない自分の代わりとして、現場に残された証拠をカメラに収めた青少年課の警官アメリア(アンジェリーナ・ジョリー)を助手に指名。ベッドから無線で指示を送り、事件の捜査にあたる。
ベッドから動けない刑事リンカーン・ライムと、彼の代わりに動く相棒アメリアが、お互いに欠けていた部分を補うように高め合いながら犯人を追い詰めていくサイコスリラー。当時24歳で、まだ無名だったアンジーの初主演作。捜査に参加したがらない、警官役を初々しく演じている。透明感があって、かわいらしく笑う姿はかなり貴重。
『17歳のカルテ』
製作年/1999年 監督・脚本/ジェームズ・マンゴールド 共演/ウィノナ・ライダー、クレア・デュヴァル、ブリタニー・マーフィ
エキセントリックで繊細な演技が光る!
17歳のスザンナ(ウィノナ・ライダー)は、アスピリンを大量に飲んで自殺を図り、精神科に入院。医師の診断は、自分の心をコントロールできなくなる“境界性人格障害”だった。常に監視される病院生活の中で絶望感を感じていたスザンナは、病棟のリーダー格であるリサ(アンジェリーナ・ジョリー)に惹かれ次第に仲良くなっていく。
病棟のボス的存在で、反社会性人格のリサは、自由奔放でかつ凶暴性のある性格。実生活でも、10代の頃に人生の苦しさを味わっていたアンジーのハマり役。他を圧倒する色気や迫力、なげやりな態度、眉毛の微妙な動きなど、抜群の存在感を発揮。この卓越した演技で映画賞を総ナメにし、第72回アカデミー賞助演女優賞も獲得。一躍、名を世界中に広めた。
『トゥームレイダー』
製作年/2001年 監督/サイモン・ウェスト 共演/ジョン・ヴォイト、イアン・グレン、ダニエル・クレイグ
二丁拳銃がよく似合う!
世界中でヒットした人気ゲームを映画化。類まれな才能を持つ美しきトレジャーハンターのララ・クラフトは、ある日20年前に失踪した父の隠し部屋で謎の時計を発見する。さっそくララは時計の謎を調べはじめるが、ある組織の奇襲を受けて時計を奪われてしまう。実はその時計には、時空を支配できる秘宝のありかが隠されていた……。
冒頭のロボットとの闘いや、屋敷でロープを使ったアクションと本題に入る前からアクションがふんだんに展開する。二丁拳銃を使ってバンバン敵を倒す姿は、誰がみても惚れるほど魅力的。アンジーほど銃火器を構えたポーズがさまになる女優はいないはず。それでいて、ナイスバディなので、美しさも保たれているのだから、恐れ入る。
『Mr.&Mrs.スミス』
製作年/2005年 監督/ダグ・リーマン 共演/ブラッド・ピット、ヴィンス・ヴォーン、アダム・ブロディ
ブラピと恋に落ちた作品!
建築設計事務所を経営するジョンと、サーバの管理会社を経営するジェーンは、コロンビアのボゴタで出会い、わずか6週間で結婚。NYで暮らしている。しかし結婚から6年が経ち、お互い忙しくすれ違うことも増え、それぞれ隠し事をしていることが発覚。改めてカウンセリングを受けることになるが、実はふたりはそれぞれプロの暗殺者という裏の顔を持っていた……。
クルマをぶつけ合い、ナイフを振り回し、家中に隠してあった武器で銃撃戦をするという、激しすぎる夫婦喧嘩が楽しい本作。アクションだけでなく軽妙な掛け合いも見どころ。この撮影でブラピと出会い、恋に落ちたといわれている。『ボーン・アイデンティティ』のダグ・リーマン監督によるテンポのよい演出が際立つ。
『マレフィセント』
製作年/2014年 監督/ロバート・ストロンバーグ 共演/シャルート・コプリー、エル・ファニング
美魔女のオーラで圧倒!
ある王国のプリンセス、オーロラ姫(エル・ファニング)の誕生パーティに現れた邪悪な妖精、マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)。彼女は、オーロラ姫に永遠の眠りにつく呪いをかけてしまう。マレフィセントは何者なのか? なぜマレフィセントは呪いをかけたのか?
黄色い瞳、悪魔のような角、尖った頬など、迫力満点の魔女マレフィセント。その力強い女性像はまさしくアンジーにぴったり。彼女自身も“ディズニーで一番好きなキャラクター”と語っていただけに、生き生きと魔女役を演じている。恐ろしいビジュアルをしているが、家族思いというギャップも魅力のひとつ。役の背景にアンジー自身の生き方や苦悩が垣間見えるため、実は彼女の一番のハマり役なのかもしれない。
photo by AFLO