落ち込んだときに観たい!
気分がアガるダンス映画5選!
人生良いことばかりあれば嬉しいけど、ときには残念ながらつまづいてしまうことも。そんなときはクヨクヨせずに、気分転換を図るのが一番。で、オススメなのがダンス映画! ほとばしるエネルギーに、思わず踊り出したくなるはず! 鑑賞後はスカッとした気持ちになること請け合い!
『フットルース』
製作年/1984年 監督/ハーバート・ロス 出演/ケヴィン・ベーコン、ロリ・シンガー、ダイアン・ウィースト
怒りを爆発させる踊りにアツくなる!
『サタデー・ナイト・フィーバー』を皮切りに、『フラッシュダンス』、『ダーティ・ダンシング』など、1970年代後半〜1980年代はダンス映画が一大ブームを起こした時代だった。ブームとはいえ、主人公のように踊り出したくなるかどうかは人それぞれ。
しかし『フットルース』ほど、高い確率で一緒に踊りたくなる映画はないのでは? 主人公がさまざまなシチュエーションで踊り出すこの映画。1984年の公開時は、MTVが隆盛を極め始めた時期でもあったことで、『フットルース』もひとつのカルチャーとして、当時の若い世代を熱狂させた。
ダンスやロックを禁止された田舎町に引っ越してきたレン・マコーミックが、周囲の大人たちの反対を押し切って、高校の卒業パーティを強行しようとする……と、ストーリー自体は、ありきたりの域を出ないレベル。
しかし名曲『ネヴァー』とともに、怒りを爆発させるようにレンが踊るシーンは、いま改めて観ても胸が熱くなる。そのほかにもケニー・ロギンスの主題歌『フットルース』や『ヒーロー』など、色褪せない曲の数々にテンションが上がりっぱなし!
レンを演じたケヴィン・ベーコンは反逆精神を全身で体現して一躍、スターの地位を確立。その後、現在に至るまで長い俳優人生を送っている。2011年には『フットルース 夢に向かって』というリメイクも誕生した。
『ステップ・アップ』
製作年/2006年 監督/アン・フレッチャー 出演/チャニング・テイタム、ジェナ・ディーワン
シリーズが5本も作られた傑作!
1990年代以降、傑作が少なくなってきたダンス映画に、新たなレボリューションを起こしたのが今作。ボルチモアの貧しい家庭で育ち、問題行動ばかり起こす高校生のタイラー。
名門芸術学校への侵入事件を起こした彼は、罰則としてその学校で清掃員としての奉仕活動を命じられる。実はダンスの才能を秘めていたタイラーは、芸術学校でダンスを専攻するノーラのパートナーに抜擢されるのだが……。何か夢中になるものを見つけるという青春映画最大のテーマに、ダンスがぴったりマッチした快作。
タイラー役はチャニング・テイタム。体育会系スターの彼が、その魅力を存分に生かして、今作で大ブレイク。キレのあるストリート・ダンスはもちろん、そのダンスに合った彼のファッションも見どころだ。
監督のアン・フレッチャーは振付家出身ということもあって、タイラーのストリート・ダンスと、クラシックバレエを基本にしたノーラの美しい動きの組み合わせも絶妙。チャニング・テイタムは続編にもサブのポジションで出演し、その後、主人公は交代しながらも、シリーズ5本が作られた。それほどダンス映画として大人気ってこと!
『ヘアスプレー』(2007)
製作年/2007年 監督/アダム・シャンクマン 出演/ジョン・トラボルタ、ニッキー・ブロンスキー、アマンダ・バインズ
個性的なキャラによるダンスが面白い!
映画を観ながら思わず一緒にカラダが動いてしまうジャンルといえば、ミュージカル。歌って踊るシーンが単に多いからだが、心から踊ることの楽しさを伝える作品となると、けっこう限られてくる。
この条件を最高レベルで達成するのが、『ヘアスプレー』だ。元をたどれば、1988年公開のミュージカルコメディ映画。それがブロードウェイで舞台化されて大好評となり、豪華キャスト再映画化。ジョン・トラボルタが特殊メイクで主人公の“お母さん”を演じるなど、強烈インパクトを放つ一作が完成した。
16歳の女子高生トレーシーが、人気テレビ番組にダンサーとして出演することを夢みる物語。舞台は『ステップ・アップ』と同じボルチモアだが、時代は1962年。人種差別が“当然”という状況に、とことん明るく前向きなトレーシーが立ち向かっていく。
その姿に、観ているこちらも元気がもらえるのが、この作品の最大の魅力。個性派キャラクターたちの、さまざまなダンスの妙技に引き込まれ、あまりに楽しすぎるラストシーンからエンドクレジットへの流れも完璧で、観終わってもしばらく、踊り出したい衝動が止まらなくなる!
『マジック・マイク』
製作年/2012年 監督/スティーブン・ソダーバーグ 出演/チャニング・テイタム、アレックス・ペティファー、マシュー・マコノヒー、マット・ボマー
圧倒的なステージに魅了される!
『ステップ・アップ』でスターになったチャニング・テイタムが、そのダンスの才能を再び見せつけたのが『マジック・マイク』。チャニングは大学を中退後、俳優になる前にストリップ・クラブでダンサーをしていた過去があり、その経験をヒントに作られた。
オーダーメイドのインテリアショップを開業したいマイクは、資金を貯めるためにストリッパーなどいくつもの仕事を兼務。別の仕事で出会った19歳のアダムをストリッパーの仕事に誘ったり、ストリップ・クラブの共同経営の話を持ちかけられるなど、マイクのドラマチックな運命が描かれる。
今作を“ダンス映画”と呼ぶには異論があるかもしれないけれど、マイクを中心に鍛えぬかれた肉体の男たちによるステージは圧倒的。ダンスシーン自体、それほど多くはないのに、記憶にはやきつくパターン。
男性のストリップ・クラブはアメリカではひとつのカルチャーになっているので、凝った演出や衣装、女性客たちの熱狂ぶりも大いに楽しめる。そして何より、男が踊ることのカッコよさを、ここまで証明した作品も珍しい。同じく男性ストリッパーの世界を描きつつ、別の意味で共感を誘う『フル・モンティ』と観比べるのもいいかも。
『ハートビート』
製作年/2016年 製作・監督・脚本/マイケル・ダミアン 出演/キーナン・カンパ、ニコラス・ガリツィン、ソノヤ・ミズノ
ダンス映画の隠れた名作!
ここ数年の“ダンス映画”の中で、知る人ぞ知る作品ながら、観た人の多くが意外に高く評価しているのが、この『ハートビート』。奨学金を得てプロのバレエダンサーをめざすルビーが、地下鉄の駅でバイオリンを演奏するジョニーと出会い、弦楽器とダンスを組み合わせたパフォーマンスでコンテストに挑む。やや突飛なストーリーながら、“夢をかなえる”というテーマが世界でいちばん似合うNYが舞台なので、ついつい前のめりで主人公たちに感情移入してしまう。
ダンスに関してはクラシックバレエだけかと思いきや、実はメインとなるのがヒップホップ。地下鉄のホームでの激しすぎるダンス・バトルや、バイオリンの演奏対決に乗って超人技を披露するヒップホップ・ダンサーなど、目もくらむほどの圧巻シーンが連発!
各自の動きはもちろん、フォーメーションや、リズムの取り方まで、すべてがクールなのだ。ヒップホップとバレエの融合は『ステップ・アップ』以上に斬新だし、アイリッシュ音楽に乗ってバーの客全体が踊り出す自由さも含め、新たな“発見”が多いダンス映画の隠れた名作だ。
Photo by AFLO