もしも、A.I.が発達したらどうなる?
参考になる!? 近未来SF映画5選!
ニューノーマル時代となり、何かと注目を浴びているA.I.=人工知能。ライフスタイルや働き方を変えてくれると期待されている一方で、どう変わるのか不安に思っている人も多いはず。そこで参考になるのが、A.I.を題材にしたSF映画。様々なパターンのA.I.が登場しているので、これからの暮らしを理解できるに違いない。果たして、どんな世界が待っているのか、セレクトした5本から想像してみて!
『her/世界でひとつの彼女』
製作年/2013年 製作・監督・脚本/スパイク・ジョーンズ 出演/ホアキン・フェニックス、エイミー・アダムス、スカーレット・ヨハンソン
人間とA.I.が恋したら、こうなる!?
舞台は、そう遠くない未来のロサンゼルス。手紙の代筆ライターをしている男セオドアは、人工知能を備えた最新鋭OSを手に入れてインストール。音声で答えるこのOS、サマンサには人間の感情を理解し、学習する機能が。離婚の痛手を引きずっていたセオドアは“彼女”に心惹かれ、強い絆を感じるようになる。サマンサも、そんな彼の思いに応えるが、彼らのロマンスは予期せぬ方向へと向かっていく。
人間はA.I.と恋に落ちることが可能なのか? そんな疑問に『かいじゅうたちのいるところ』のスパイク・ジョーンズが答えたユーモラスで切ないラブストーリー。多くのプログラマーの人格情報を集積したことで、人間の心理を知るサマンサは恋をすることもできるのだから驚き。それどころが、バーチャルセックスもしてしまうのだから、コンピューターとの恋愛も可能に思えてくる。学習の速度が人とは異なる驚速ぶりなので、同じ速度で人生を歩めないのが問題!?
『チャッピー』
製作年/2015年 原作・監督・脚本/ニール・ブロムカンプ 出演/シャルト・コプリー、デーヴ・パテール、ヒュー・ジャックマン
A.I.も育て方次第で悪人にもなる!?
人工知能を持つロボット警官が導入された近未来の南アフリカ。人工知能の開発者は、このロボットをさらに進化させ、人間の感情を模倣するA.I.を作り出すが、採用は見送られた。諦めきれない開発者は、この人工知能を搭載したロボットを秘密裏に制作。しかし、3人組の窃盗団が、これを盗み去る。3人は、学習能力を持つこのロボットをチャッピーと名付けて育てるが、武装機能を備えたチャッピーは思わぬ混乱を引き起こすことに。
『第9地区』などの近未来映画を放ってきたニール・ブロムガンプ監督が描く、このA.I.は人間のような成長を遂げるのが特徴的。最初は赤子のように無垢で、教えたことは猛スピードで吸収し、グレたりしながら“大人”になっていく。これだけならば人間の代わりとしては理想的な存在だが、元々は警備用に作られたので、戦闘能力は超人級。悪い親に育てられたりしたら、最悪の結果にもなりうるのだ。
『トランセンデンス』
製作年/2014年 製作総指揮/クリストファー・ノーラン 監督/ウォーリー・フィスター 出演/ジョニー・デップ、レベッカ・ホール
工学者の頭脳とA.I.を一体化させるとどうなる!?
主人公ウィルは妻エヴリンとともに、世界を理想的なものとするための人工知能を研究していたが、人工知能の発展を危惧する狂信的なテロ集団の凶弾に倒れる。彼と死別したくないイヴリンは、ウィルの意識をA.I.にアップロード。これにより、人工知能は、とてつもない進化を遂げ、あらゆる情報を取り込み、ついには難病をも治療可能にしてしまう。だが、この人工知能は、またしてもテロの標的に。ウィルの意識を宿したA.I.は、人類に何をもたらすのか?
『TENET テネット』のクリストファー・ノーラン監督が製作、ノーラン作品で撮影監督ウォーリー・フィスターの演出による近未来スリラー。高い理想を持つ工学者の意識が、最先端のA.I.と一体化したとき、何が起こるのかをシミュレートする。地球のために人類は滅ぶべきか? テーマはそんな領域にもおよぶが、面白いのはウィルの意識がA.I.化してもなお妻を愛していること。人工知能となっても、愛ゆえの行動をとるのが面白い。
『ロボコップ』
製作年/1987年 監督/ポール・バーホーベン 出演/ピーター・ウェラー、ナンシー・アレン
人間の良心が備わっていることが大事!?
舞台は荒廃しつつある近未来のアメリカ、デトロイト。犯罪を抑制するべく、当局はハイテク企業が開発したロボット刑事の起用を検討。その初号機は、殉職した善良な警官マーフィの脳が埋め込まれていた。このロボコップは治安維持に大きく貢献し、一躍注目の的になる。だが、これを快く思わない悪党たちが暗躍。一方では、ロボコップの中で抑圧されていたマーフィの意識が少しずつ芽生えつつあった。
ロボット刑事の活躍を描いて大ヒットを飛ばし、シリーズ化&リメイクに発展した定番SFアクション。人間の意識とテクノロジーが一体となるのは、今となってはありがちだが、その主体はA.I.ではなく人間にあり、サイボーグと表現するのが正しいのかもしれない。ともかく、このロボコップは人間が持つ良心を失っておらず、あくまで法と道徳に基づいて行動し、必要に応じた武装を備えている点がユニーク。こんな警官ばかりなら、世の中も平和になる!?
『エクス・マキナ』
製作年/2015年 監督・脚本/アレックス・ガーランド 出演/アリシア・ヴィキャンデル、ドーナル・グリーソン、オスカー・アイザック
見た目がよいA.I.には、ご注意を!?
検索エンジンの最大手企業で働く若きプログラマー、ケレイブは、ある日、雇い主にして天才的な工学者の人里離れた別荘に招かれる。そこで新たに与えられたのが、A.I.を搭載した新開発の女性型ロボット“エヴァ”が実用可能かどうかを判定する仕事。別荘内でエヴァと接触し、会話を重ねるケレイブは、人間のように話すばかりか、セクシーな肢体を持つエヴァに恋焦がれるようになる。しかし、そこには何者かの驚くべき策略が潜んでいた!
『28日後…』の脚本家として映画ファンにはおなじみの人気作家アレックス・ガーランドが気鋭のスタジオ、A24の製作下で監督デビューを飾ったスリラー。本作のA.I.=エヴァの特色は、あらゆるデータにアクセスできる優秀さもさることながら、ビジュアル的な“色気”を持っていること。オタクなプログラマーを手玉にとるのは容易く、これを利用して“自由”を手に入れようとする。
photo by AFLO