Safari Online

SEARCH

CULTURE カルチャー

2025.03.22


【追悼】俳優ジーン・ハックマン エネルギーに満ちた破格の演技者【前編】

 

  

 

ジーン・ハックマン
1930年1月30日、カリフォルニア州で生まれ。16歳のときに海兵隊に入隊し、その後様々な職を経験した後、30歳を過ぎてから俳優を目指すように。2025年2月18日に95歳で死去。

遅咲きの60年代編
2025年2月18日、あの俳優ジーン・ハックマンが死んだ。
「苦虫を噛み潰すような」という言葉があるが、筆者はスクリーン上でハックマンのフェイスを仰ぎ見るたびに、いつもこの表現を思い出す。彼が演じるのはそんな一筋縄ではいかない表情の役柄ばかりだった。

笑っているかと思うと次の瞬間には激昂して相手を罵り、怒っているかと思うと途端にジョークを口にしてニヤニヤと笑う。そんな飴と鞭、もしくは剃刀と雷の二刀流だからこそ、いつどこで役が反転するのか予想がつかない。観客にとってこれは気の休まらぬ緊張の連続だ。だからこそ畏怖の念は尽きることなく、ステレオタイプの型にはめられることもなく、この男は全キャリアに渡って破格の存在感を放ち続けた。

とことん回り道してきた人生
2009年ごろのインタビューで彼は、「『私はどこから来たのか?どこへ向かうのか?何を求めているのか?』という自分自身への問いかけこそが俳優として重要」と語っている。

では、その至高の存在感とズバ抜けた演技力を持った男は、どこからやって来たのか。語り継ぐべきポイントは幾つかある。まず13歳の頃、父が突然家から去り、それまで幸せに見えた家庭環境が突如崩れた。残された母が奮闘しなんとか子供たちを養った。そんな姿を見かねてか、ハックマンは16歳で年齢を偽って海兵隊へ入った。4年半に及ぶ軍隊暮らしでは中国や日本を訪れた経験もあるという。

除隊後、大学に入ってジャーナリズムを勉強したり、様々な仕事についたり、はたまたパサデナ・プレイハウスで演技を学ぶも、そこで知り合って仲を深めたダスティン・ホフマン(ルームメイトだったことも)と共に「同級生の中で最も成功しなさそうな人物」として選出されるなど、どうやらネガティブな意味で際立った存在だったようだ。その後はニューヨークで舞台の経験を積むものの、これといってブレイクポイントに恵まれないまま、時は過ぎていく。

結局、彼が正式な役柄で映画出演を果たすのは1964年、ウォーレン・ベイティ主演の『リリス』という作品。それまで何者でもなかった彼は、家を出て18年後にしてようやく映画俳優と呼べる場所にたどり着いたのだ。その2年前には、タバコの不始末が原因の火事で母が逝去。幼少期、一緒に劇場へ足を運んだ際、「いつかあなたが映画に出るのを見てみたい」と口にし、少年の夢を後押しした存在だった。
 

  

 

『俺たちに明日はない』(1967年)

運命を変えたアメリカン・ニューシネマの傑作
転機として押さえたいのが1967年だ。この年に公開された『卒業』はダスティン・ホフマンの名を世界中に知らしめた傑作だが、実はハックマンも当初、ミスター・ロビンソン役としてキャスティングされたものの、マイク・ニコルズ監督から「イメージと合わない」として降ろされたのだとか。またしても不運の極みである。

しかし、もはや一喜一憂している暇などない。当時の彼は、文字通り「時代に見つけられた才能」だった。

そして運命を変えたのが『俺たちに明日はない』(1967年)。ウォーレン・ベイティ演じるクライド率いる強盗団に合流する破天荒な兄役として、ハックマンはこのアメリカン・ニューシネマの傑作に画期的かつユニークなキャラクターをもたらした。これによって彼はアカデミー賞初ノミネート(助演男優賞)を経験することに。
 

  

 

『白銀のレーサー』(1969年)
 

 

『宇宙からの脱出』(1969年)

公民権運動の激動を経て、時代は大きなうねりを迎えていた。彼のキャリアはもう上がることはあっても、そこから二度と落ちることはない。ハリウッドの映画人や目の肥えた観客たちに、決して浮き沈みしない実力派の俳優として太鼓判を押されたのだから……。
中編に続く 
  

 

 
文=牛津厚信 text:Atsunobu Ushizu
photo by AFLO
きっかけは〈MINI〉!“新しい自分”に出会える特別なオーナー体験、募集開始!
SPONSORED
2025.09.04 NEW

きっかけは〈MINI〉!
“新しい自分”に出会える特別なオーナー体験、募集開始!

「今とは“違う自分”に出会ってみたい」あるいは「本当の自分を発見したい」。そんなアナタに必要なのが“遊び心あふれる新しい自分”を探す旅。とはいえ今回は、リゾート地や最果ての土地を目指すのとは違って、“新しい自分”に出会うために新しいクルマ…

いつでもどこでも〈ロンハーマン〉が相棒!オンラインストア5周年記念のスペシャルアイテムは力作揃い!
SPONSORED
2025.09.03 NEW

いつでもどこでも〈ロンハーマン〉が相棒!
オンラインストア5周年記念のスペシャルアイテムは力作揃い!

こだわりの強い男は、ファッションもインテリアも、実際に触れてみてから手に入れたいと思う人は多い。自分の目で確かめることは大切だからね。でも、その目を先見の明を持つ〈ロンハーマン〉がすでにしてくれているとなれば話は違う。要は、その信頼があれ…

TAGS:   Fashion
普段使いにちょうどいい限定バッグ発見!ヴィンテージ感漂う作りで、秋スタイルに男らしさをプラス!
SPONSORED
2025.09.02

普段使いにちょうどいい限定バッグ発見!
ヴィンテージ感漂う作りで、秋スタイルに男らしさをプラス!

休日にウィンドウショッピングに行ったり、彼女と映画デートに出かけたり。こんなふうに気軽に街に出るときは、嵩張らずさっと肩掛けできるようなバッグが便利。といっても、せっかくのお出かけスタイルにそぐわないものでは本末転倒……。というわけで、使…

TAGS:   Fashion
即完売〈ロンハーマン〉の別注アイテム! 大人好みの人気ブランドが、特別仕様になって登場! 
SPONSORED
2025.09.01

即完売〈ロンハーマン〉の別注アイテム! 
大人好みの人気ブランドが、特別仕様になって登場! 

大人には、見た目の落ち着きと品だけでなく、上質な素材による肌触りのよさも大切。その風合いのよさは、醸し出す雰囲気までグッと格上げてくれるから、モノ選びをするときには外せない点。それはカジュアルなアイテムであればあるほど、大事になってくる。…

TAGS:   Fashion
〈フランク ミュラー〉×〈ダナー〉の最新ブーツがお目見え!ワザありデザインが目を引く意外なコラボの1足!
SPONSORED
2025.08.25

〈フランク ミュラー〉×〈ダナー〉の最新ブーツがお目見え!
ワザありデザインが目を引く意外なコラボの1足!

昨年、驚きとともにユニークな取り組みと評判を呼んだ、〈フランク ミュラー〉と〈ダナー〉のコラボブーツ。早くも登場した第2弾はキャラ立ち必至なデザインはそのままに、カラーやディテールでグレードアップ! 質実剛健なアウトドアブーツを、アートな…

TAGS:   Fashion
俳優・竜星 涼がまとう〈ベル&ロス〉の新作!強く輝きを放つ黒スケルトン!
SPONSORED
2025.08.25

俳優・竜星 涼がまとう〈ベル&ロス〉の新作!
強く輝きを放つ黒スケルトン!

航空計器からインスパイアされた四角と丸の組み合わせで唯一無二の地位を築き上げている〈ベル&ロス〉。特に現代的なデザインが人気の"BR-05"シリーズに新加入したのが、シャープな輝きと力強さを秘めたセラミック製の黒スケルトンだ。年々深みを増…

TAGS:   Fashion Watches
屈指の“メイド・イン・ジャパン”デニム〈デンハム〉白澤社長もお気に入り!ヴィンテージ感漂う大人のワイドデニム!
SPONSORED
2025.08.25

屈指の“メイド・イン・ジャパン”デニム〈デンハム〉白澤社長もお気に入り!
ヴィンテージ感漂う大人のワイドデニム!

太めのダメージデニムはストリートなイメージが強く、若者が穿くものと思っている人も意外と多いのでは!? そこでおすすめしたいのが、〈デンハム〉のワイドデニム“ジャンボ”。膝に入った適度なクラッシュや、腿に施された絶妙なバランスのヒゲなど、ま…

TAGS:   Fashion Denim
遊びも食も宿泊も充実の〈インスパイア〉リゾートへ!週末を遊び尽くす大人の韓国!
SPONSORED
2025.08.25

遊びも食も宿泊も充実の〈インスパイア〉リゾートへ!
週末を遊び尽くす大人の韓国!

羽田空港や成田空港から約2時間で行ける〈インスパイア・エンターテインメント・リゾート〉。迫力のウォーターアトラクションを楽しめるプールや贅沢な5ツ星ホテル、きらびやかな韓国最大級カジノ、食欲をそそる韓流の肉料理など、多彩な魅力が集まってい…

TAGS:   Gourmet Stay&Travel
【時計】ブランド刷新の仕掛け人CEOが語る〈オリス〉は、イタリアにおける“ピアッツァ=広場”でありたい
SPONSORED
2025.08.22

【時計】ブランド刷新の仕掛け人CEOが語る
〈オリス〉は、イタリアにおける“ピアッツァ=広場”でありたい

グループに属さない独立系時計ブランドならではの自由な時計作りで、存在感を放つ〈オリス〉。スイスの機械式時計の文化継承に多大な貢献を果たしてきた“正統派の後継者”である一方、1980年代に趣味的な高級品に留まっていた機械式時計を身近な存在に…

TAGS:   Watches
即完売〈ロンハーマン〉の別注アイテム! 大人カジュアル必携の人気のブラックアイテム!
SPONSORED
2025.08.18

即完売〈ロンハーマン〉の別注アイテム! 
大人カジュアル必携の人気のブラックアイテム!

大人になると色あざやかなアイテムを組み合わせてコーデするということを避け、ベーシックカラーを好むようになってくる。そのなかでも黒は、精悍でスマートに見せてくれるから、アラフォーにとって万能色といえるだろう。さらに季節が秋冬に向かえば、それ…

TAGS:   Fashion

NEWS ニュース

More

loading

ページトップへ