Safari Online

SEARCH

CULTURE カルチャー

2024.11.02


『エイリアン』『エイリアン2』が映画界の残したものとは?【前編】 ツメアト映画~エポックメイキングとなった名作たち~ Vol.30


『エイリアン』(1979年)

今年(2024年)8月16日に全米公開された映画『エイリアン:ロムルス』(監督/フェデ・アルバレス)は、微妙な賛否が巻き起こるのが長年の通例となっていた『エイリアン』フランチャイズにおいて、珍しく概ねの好評を持って迎えられた(日本公開は9月6日)。しかも本作のレビューの多くに共通してあったのが『原点回帰』という評言だ。例えば「初期のエイリアン映画のDNAは、宇宙船の船体に染み込んだ腐食性の異種生物の血のように、このシリーズ最新作にしっかりと刻みこまれている」(英ガーディアン)、「エイリアンとして基本に戻り、宇宙ステーションで人間たちを一人ずつ殺していく」(米フォーブス)、「作品設計はまさに原点回帰」(朝日新聞)といった具合に――。

ただしこの原点とは、リドリー・スコット監督によるオリジナル、シリーズ第1作の『エイリアン』(1979年)だけでなく、ジェームズ・キャメロン監督が手掛けた続編『エイリアン2』(1986年)も含むと考えていい。『エイリアン』というIP(知的財産)の偉大なツメアトは、事実上最初の2作で完成した、と認識している人は実際多いはずだ。それを裏付けるように、『エイリアン:ロムルス』の物語は、『エイリアン』と『エイリアン2』の時系列の間に起こる“1.5”的なスピンオフ(派生形)として紡がれたもので、作風や設計は両作の中間、もしくは合わせ技のアップデート版といった趣であった。
 

  

 

『エイリアン』(1979年)

まず1979年の『エイリアン』に関しては、『SFホラー』というハイブリッドジャンルを本格的に切り開き、新たなステージに押し上げた映画史上の画期点として知られる。原案と脚本を手掛けたのはダン・オバノン(1946年生~2009年没)。彼のキャリアは南カリフォルニア大学映画科に在学中、盟友ジョン・カーペンター監督の長編デビュー作『ダーク・スター』(1974年)のもとになった1971年の同名短編を共同制作し、主演まで務めたのがはじまり。こうしてハリウッド業界入りした若きオバノンは、プロ見習いとして脚本や編集の修行をスタート。最初に評価されたのが学生時代から構想していた『Memory』というスクリプトを発展させた『エイリアン』の脚本だった。ただし決定稿になるまでは、製作のウォルター・ヒルらの猛烈なダメ出しにより改稿を8回も重ねることに。当時のオバノンは周りの業界の大人たちからかなり邪険に扱われていたようで、本当は自分で監督を務めたかったが候補にすら入れてもらえず、後年はインタビューなどで当時の恨み節をこぼしている。結局、監督には『デュエリスト/決闘者』(1977年)で第30回カンヌ国際映画祭新人監督賞を受賞し、一躍注目された英国出身の新進気鋭、リドリー・スコット(1937年生まれ)に白羽の矢が立てられ、彼のハリウッド進出作になったという次第。
 

 
ダン・オバノン本人にとっては決して良い想い出ばかりではない『エイリアン』伝説のはじまりだが、しかしのちにホラーコメディの快作ゾンビ映画『バタリアン』(1985年)で念願の監督デビューを果たし、『スペースバンパイア』(1985年、監督/トビー・フーパー)や『スペースインベーダー』(1986年、監督/トビー・フーパー)、『トータル・リコール』(1990年、監督/ポール・ヴァーホーヴェン)などの脚本を手掛けたオバノンこそが『エイリアン』の基本枠を作ったのは間違いない。もともと異邦人や外国人を指すエイリアン(Alien)を本作のタイトルに考案したのもオバノンで、まさに『エイリアン』が大ヒットしてから、この言葉はSFに登場する異星人(特に凶暴で攻撃的なヤバいやつ)としてイメージされることが世間一般で多くなった。なお『エイリアン』の発想の源泉をたどるなら、宇宙から来た未知の生命体の侵略を描くジャック・フィニィの小説『盗まれた街』を映画化したSFホラーの先駆的名作『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956年、監督/ドン・シーゲル)を挙げることができるだろう。
中編に続く
 
  

 

 
文=森直人 text:Naoto Mori
photo by AFLO
〈アメックス〉のスモール・スポンサーシップ・パートナーズも参加!『サファリ・オープン』で特別な1日を体験!
SPONSORED
2025.12.24

〈アメックス〉のスモール・スポンサーシップ・パートナーズも参加!
『サファリ・オープン』で特別な1日を体験!

今年で3回めの開催となった、本誌『サファリ』主催のゴルフイベント『サファリ・オープン 2025』。毎年、様々なコンテンツやアクティビティでも話題となるこのコンペ。今回はさらに斬新なサービスも加わり、熱い盛り上がりを見せていた。そんな大盛況…

TAGS:   Lifestyle
知的なムードが漂う〈トム フォード アイウエア〉の新作!大人の品格を宿すクラシックな1本!
SPONSORED
2025.12.24

知的なムードが漂う〈トム フォード アイウエア〉の新作!
大人の品格を宿すクラシックな1本!

大人のコーディネートは、小物選びで“品格”が決まる。特に顔まわりの印象を左右するアイウエアは、手を抜けない重要パートだ。そこで注目したいのが〈トム フォード アイウエア〉の新作。繊細でクラシカルなフォルムが目元に知性を添え、冬スタイルを格…

TAGS:   Fashion
今、〈エドウイン〉の名作“505”が見逃せない!デニムにこだわるならメイド・イン・ジャパン!
SPONSORED
2025.12.24

今、〈エドウイン〉の名作“505”が見逃せない!
デニムにこだわるならメイド・イン・ジャパン!

タフで男らしい大人のカジュアルに欠かせないデニムは、今、王道の骨太な1本が人気。なかでも2023年に復活し、昨今のトレンドも相まって注目されている〈エドウイン〉の名作“505”が見逃せない。デニム本来の武骨な魅力やヴィンテージ感を気軽に楽…

TAGS:   Fashion Denim
クオリティにこだわった〈センテナ〉の新作アウター!今、着たいのは大人仕様のミリジャケ!
SPONSORED
2025.12.24

クオリティにこだわった〈センテナ〉の新作アウター!
今、着たいのは大人仕様のミリジャケ!

カジュアル好きの男にとって、ミリタリー系のアウターは昔から定番。とはいえ、いい年の大人になるとガチの軍モノは、マニアックすぎて少々着こなしにくいのも事実。ならば、洗練された大人仕様の1着を。〈センテナ〉のミリジャケなら武骨なデザインはその…

TAGS:   Fashion
創業地“小矢部”の名を冠した〈ゴールドウイン〉のプレミアムな1着!大人のスキーウエアは上質感と快適さで選ぶ!
SPONSORED
2025.12.01

創業地“小矢部”の名を冠した〈ゴールドウイン〉のプレミアムな1着!
大人のスキーウエアは上質感と快適さで選ぶ!

1950年にはじまった〈ゴールドウイン〉のヒストリー。その新作スキーウエアコレクションの名前は、創業地にちなんだ“オヤベ”だ。歴史の深みを感じさせ、エイジレスなスタンダードデザインでありながら、機能は最新鋭。素材はもちろん、ひとつひとつの…

TAGS:   Fashion

loading

ページトップへ