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CULTURE カルチャー

2024.09.21


【映画】設立30周年のサーチライト・ピクチャーズは何がすごい!? ①クオリティの高さと賞レース狙いの戦略


『スラムドッグ$ミリオネア』(2008年)

観たい映画をどんな基準で選ぶか? ストーリーや、出演している俳優、監督、あるいは原作などアピールする要素はいくつもあるはず。その要素の中に“スタジオ”を加えてもいいかもしれない。“あの会社の作品なら、ちょっと観てみてみたいかも”という映画ファンの間で、人気が高いスタジオのひとつがサーチライト・ピクチャーズだ。

『フル・モンティ』、『リトル・ミス・サンシャイン』、『(500)日のサマー』、『ブラック・スワン』、『グランド・ブダペスト・ホテル』、『シェイプ・オブ・ウォーター』……。サーチライトが手がけたタイトルを挙げていくと、多くの人が“思いれが深い”、“インパクトに圧倒された”、“その仕上がりに感服”といった作品を見つけられるだろう。

サーチライト・ピクチャーズは、今から30年前の1994年に設立された。当時の正式名称は、フォックス・サーチライト・ピクチャーズ。ハリウッドのメジャースタジオである20世紀フォックスが、小規模予算のインディペンデント映画を製作・配給する部門としてサーチライトを立ち上げた。フォックス作品は、“20”という数字がそびえ立つロゴにファンファーレが重なるオープニングでおなじみだが、サーチライト作品はそのロゴの一部が“SEARCHLIGHT”にアレンジされている。巨大なスタジオをバックに、儲けは度外視。作り手に自由な作風、独自のセンスを発揮させ、珠玉の一本を送り出すのがサーチライトの理念で、そのスピリットを30年後の現在まで維持しているのである。
 

  

 

『ノマドランド』(2020年)

一年の中でもサーチライトの名前をよく耳にするのが、アカデミー賞の時期。なぜかというと他のスタジオに比べ、サーチライト作品がアカデミー賞に絡む確率は抜きん出て高いから。サーチライト設立から現在までの30年間で、同社作品がアカデミー賞作品賞、つまり年間で最高の栄誉に輝いた回数は5回。単純に計算すれば6年に1回の高確率だ。初めての作品賞が2008年の『スラムドッグ$ミリオネア』で、そこから2013年の『それでも夜は明ける』、2014年の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』、2017年の『シェイプ・オブ・ウォーター』、2020年の『ノマドランド』が作品賞。過去15年だけなら5回も受賞と、さらに確率がアップする。

作品賞ノミネートに関しては、もはや“常連”。昨年(2023年)は『哀れなるものたち』、2022年は『イニシェリン島の精霊』、2021年は『ナイトメア・アリー』……と、毎年のように入っている。2010年以降で、サーチライト作品がノミネートされなかったのは、わずかに2回のみ。2017年などは『シェイプ・オブ・ウォーター』と『スリー・ビルボード』というサーチライトの2作品が、最後の最後まで2強として作品賞争いを繰り広げ、前者が受賞した。他にも作品賞ノミネートに複数入った年もある。サーチライトは“アカデミー賞請負人”のスタジオなのだ。

つまり俳優にとっても、サーチライト作品への出演は、アカデミー賞への近道となる。サーチライトが初めて俳優にアカデミー賞をもたらしたのは、1999年の『ボーイズ・ドント・クライ』。ヒラリー・スワンクが主演女優賞を獲得した。スワンクは、この5年後に『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年)で2度目の同賞受賞。これはサーチライト作品ではないが、彼女の躍進を築いたのがサーチライトなのは間違いない。このスワンクの受賞で、サーチライトの幹部は“俳優にアカデミー賞をもたらす作品”を意識的に手がける方向に舵を切ったという。演技者の個性を引き出し、あるいは新境地を拓く作品を用意することで、俳優の野心もかき立てる。その結果、奇跡のような名演技が生まれる。こうした好循環をサーチライトは狙い、それが成功している。
 

  

 

『ブラック・スワン』(2010年)

サーチライト作品での俳優のアカデミー賞受賞は、『クレイジー・ハート』(2009年)のジェフ・ブリッジス、『ブラック・スワン』(2010年)のナタリー・ポートマン、『スリー・ビルボード』(2017年)のサム・ロックウェル、『スリー・ビルボード』と『ノマドランド』(2020年)で2回のフランシス・マクドーマンド、昨年度『哀れなるものたち』のエマ・ストーンなど多数。ノミネートを挙げればキリがない。なかでも主演女優賞は、20172023年の7年間で、なんと5回がサーチライト作品での受賞。俳優の中でも女優にとって、サーチライト作品はキャリアを築き上げるうえで理想のスタジオだと言えそう。

アカデミー賞の常連になるということは、それだけクオリティの高い作品を送り出しているわけだが、“下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる”の言葉があるように、多く作れば、いくつかは傑作が生まれるもの。しかしサーチライトは年間に10本前後という基準を設け、それ以上に作品数を増やさない。つまり少数精鋭。スタジオの規模が大きくないので当然の論理ではあるが、少ない作品で、ひとつひとつのクオリティを意識するサーチライトのポリシーは、見事に実を結んでいる。そして10作前後の中から、アカデミー賞に近づきそうな作品の劇場公開を、賞レースがはじまる秋〜冬に設定。キャンペーンを展開して、各賞へのノミネートを導こうとする。毎年の実績により、その戦略が磨かれているのも、これまた事実。結果的に映画ファンにとって、サーチライトは信頼のブランドとなったのだ。
※続きは、②新人にチャンスを与え、ベテランには独自世界を追及させる
 

  

 

 
文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
Photo by AFLO
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