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CULTURE カルチャー

2024.03.31

MLBの挑戦者たち〜メジャーリーグに挑んだ全日本人選手の足跡
Vol.14 石井一久/天然キャラで愛された剛腕


【Profile】石井一久(いしい・かずひさ)/1973年9月9日生まれ、千葉県出身。日米通算182勝137敗、奪三振数2550

現在は東北楽天イーグルスの取締役シニアディレクターという肩書をもつ石井一久。現役時代から少しとぼけた天然キャラで知られ、引退直後には吉本興業に高卒採用枠で入社したユニークな経歴の持ち主だ。投手としては高校時代に頭角を現し、意中の球団であったヤクルト・スワローズ(当時)から単独1位で指名された。本人曰く「知らないうちにプロ野球選手になっていた。両親は喜んでいたけど、僕は嬉しくなかった」と話しており、高校卒業時に野球を辞めるつもりだったという。

ヤクルトに入団した石井は、高卒新人ながらシーズンで12登板。勝敗は付かなかったものの、日本シリーズでの先発登板を果たすなど周囲に存在感を示した。翌年に初勝利を挙げると、3年目に7勝、4年目には13勝と着実に成果を残していく。1998年には自己最多の14勝を挙げ、初の最多奪三振王(241)、日本新記録となる三振奪取率11.047を記録。その一方で最多暴投(20)の日本新記録も残した。以降、奪三振と四死球・暴投という石井の剛腕イメージが定着していった。
 

  

 

2002年4月6日、ドジャースタジアムでメジャー初登板を果たす

その前年の’97年、石井は左肩にメスを入れており、アメリカに滞在して半年間のリハビリを行なった。クリーブランド・インディアンス(当時)や傘下のルーキーリーグに帯同し、通訳なしのアメリカ生活を経験しているのだ。「とにかく身振り手振りでもなんでも、自分の意思を伝えるのに必死でした。それでもまあ、人間なんとかなるものですよ」と、石井は当時を述懐している。この体験を経たことで、「とくに野球を好きでもなかった」石井にメジャー挑戦という大きな夢が生まれたのだろう。

2002年1月、ポスティングシステムでのメジャー移籍を希望していた石井に朗報がもたらされる。希望球団だったロサンゼルス・ドジャースが入札し、同球団と3年契約を締結。同年のスプリングトレーニングに参加したものの、オープン戦では打ち込まれることも多く、地元の報道陣に実力を不安視された。だが4月6日に公式戦初先発を果たすと、6回を2安打に抑える見事な投球を披露。監督のジム・トレーシーも「公式戦を見ろといっただろ?」と上機嫌だった。その後も好調を維持した石井は開幕から6連勝を記録し、4月の月間優秀新人賞を受賞している。
 

  

 

2004年、チームメートの野茂英雄とキャッチボールをする石井。ドジャースの17番は現在、大谷翔平の背番号となっている

ところが後半戦は不安定な投球内容が続く。9月8 日には打球を頭部に受け、頭蓋骨を亀裂骨折。医師に「あと1㎜、亀裂が長かったら出血死していたかもしれない」といわれるほどの大怪我となってしまった。それでもこの年は14勝(10敗)を挙げており、首脳陣の期待に一定の結果を示している。ちなみに石井の与四死球106個はメジャー全体で1位。チームメートの野茂英雄も2位(103個)を記録し、なんとも奇妙な日本人ワンツー・フィニッシュとなった。

翌’03年は前半戦だけで8勝を挙げ、日米通算での100 勝も達成。しかし古傷の左膝を痛めたこともあって成績は伸びず、9勝7敗、防御率3.86という結果だった。続く’04年も前半戦で10勝を挙げたものの、後半戦に調子を崩す悪いパターンを繰り返す。13勝7敗と勝ち星は十分ながら、防御率は4.71と悪化してしまった。この年のオフ、ランディ・ジョンソンとともにニューヨーク・ヤンキースへのトレード話が持ち上がったが、ドジャース側の撤退により実現しなかった。
 

  

 

ニューヨーク・メッツ時代では名捕手マイク・ピアッツァとバッテリーを組んだ

‘05年は交換トレードでニューヨーク・メッツへ移籍。しかし左膝痛が再発し、自身初のマイナー落ちを経験した。9月に再昇格するも、わずか3勝でシーズンを終えてしまう。本人は「こういう苦労をしたくなかったらメジャーに来ていない。貴重な経験だと思って今後の野球人生につなげたい」と語っている。このポジティブ思考こそが、石井という人間の真骨頂といえるかもしれない。

翌年からは日本球界に復帰し、古巣ヤクルトで20勝、FA移籍した西武ライオンズで54勝を挙げている。豪速球とスライダーでねじ伏せるスタイルから、投球術を駆使した技巧派スタイルへと生まれ変わり、2013年に40歳で引退。日米通算の奪三振数2550は、日本歴代で稲尾和久に次ぐ9位。そして通算暴投数137も村田兆治に次ぐ堂々の2位である。

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文=野中邦彦  text : Kunihiko Nonaka
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