【映画まとめ】エド・ハリス出演映画7選
『Safari Online』で配信してきた記事の中からエド・ハリスの出演映画をまとめてご紹介!
『ライトスタッフ』
製作年/1983年 監督/フィリップ・カウフマン 出演/サム・シェパード、エド・ハリス、デニス・クエイド
人類が月を目指した原点はロマンがいっぱい!
地球と月は38万4400km離れている。地球一周の約9.5倍の距離を、ただただ上へ、上へと到達するまでには、飽くなき探求と挑戦が幾度となく繰り返されてきた。『ライトスタッフ』は、まさにその出発点を空と宇宙のロマンたっぷりに描いているのだ。
人間が宇宙に行くことが、まだ夢みたいな絵空事だった時代。アメリカとソ連は初の有人宇宙飛行実現を目指して熾烈な競争をはじめていた……。『ライトスタッフ』は、アメリカ最初の宇宙飛行士になるべく選抜された7人のパイロットたちの物語だ。
ひと癖もふた癖もあるパイロットたちは、最初はまるで実験用モルモットのような扱いだった。「人間が宇宙に行きさせすればいい」と窓のないロケットが作られていると知り、彼らは団結してNo!を突きつける。宇宙に行って、宇宙を見ることもできないロケットに夢を託せるか? 現実味を帯びてきた月旅行。そこで見える景色は、彼らが勝ち取った“夢の景色”でもあるのだ。
『ザ・ロック』
製作年/1996年 出演/ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー、エド・ハリス
サンフランシスコで銃撃&爆破!
脱獄不可能な監獄島、“ザ・ロック”として知られたアルカトラズ島に、化学兵器を所持したテロリスト集団が立てこもる。リーダーは、戦死した軍人への国の対応に怒りを覚える海兵隊の英雄・ハメル准将(エド・ハリス)。FBIの化学兵器専門家グッドスピード(ニコラス・ケイジ)は准将を止めるため、アルカトラズから脱獄した経験を持つ男メイソン(ショーン・コネリー)に協力を仰ぐが……。
サンフランシスコ市街でのカーチェイス、銃撃戦や爆破はもはやお約束とも言えるアルカトラズでの攻防など、ありったけのアクションを次から次へと連投。それでも荒唐無稽な作品に陥っていないのはそれぞれの登場人物を丁寧に演じた名優たちの存在が大きく、マイケル・ベイの最高傑作に挙げる声も多い。
『ビューティフルマインド』
製作年/2001年 原作/シルビア・ネイサー 監督/ロン・ハワード 脚本/アキバ・ゴールズマン 出演/ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス
夫婦の絆に涙する!
すべての真理を見つけるという、理想を追い続ける数学者の卵ジョン。名門大学院を卒業した彼は米国防省の暗号解読員として活躍するが、敵国の刺客の影に、つねに怯えていた。そんな彼の救いとなったのが、かつての教え子アリシアの存在。ジョンの不安定な精神状態は、やがて統合失調症と診断され、その病状は日増しに悪化していった。彼の妻となったアリシアは辛抱強く彼を救おうとする。
ノーベル賞を受賞した数学者ジョン・ナッシュの伝記に基づくヒューマンドラマ。周囲には変わり者と見られるだけで、じつは精神を深く病んでいた彼が、妻の献身的なサポートによって快方に向かい、絆の大切さを学んでいく。妻アリシアとは実際には離婚していた時期もあり、映画が史実と異なるとの批判も受けたが、離婚しても彼を見捨てなかったアリシアの献身は事実に基づく。主演を務めたラッセル・クロウはもちろん、アリシア役でアカデミー賞を受賞したジェニファー・コネリーの熱演にも注目。
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』
製作年/2005年 監督/デヴィッド・クローネンバーグ 出演/ヴィゴ・モーテンセン、マリア・ベロ、エド・ハリス
知的かつ魅力的な語り口で“暴力”の本質に迫る!
そこは小さな田舎町。ダイナーを営むトムは家族思いの優しくて穏やかな男だ。ある日、営業中の店内で二人組が乱暴を働こうとしたところ、彼の体が咄嗟に反応し、瞬く間に撃退してしまう。一躍、街のヒーローとして大注目を集めるトム。しかし後日、彼のことを「ジョーイ」という全くの別名で呼ぶ怪しげな男が店を訪れ、封印されたはずの過去が徐々に明かされはじめる……。
“バイオレンス”と銘打っているからといって、決して暴力三昧というわけではない。いわば知的な探究を秘めたサスペンス。奇才クローネンバーグは、目の前で進行する暴力そのものをスリリングに描きつつ、さらにそれを俯瞰するような形でこの概念やシステムそのものを寓話的に描こうとする。強さとは何か。他者を力で屈させるとはどういうことか。暴力は何を生むのか。はたまた、男は過去のしがらみや連鎖を断ち切ることができるのか。太古の昔から人類が身を浸してきたであろう、生きていくため、生き残るための葛藤が克明に描かれた秀作だ。
『ウェイバック 脱出6500km』
製作年/2011年 原作/スラボミール・ラウイッツ 製作・監督・脚本/ピーター・ウィアー 出演/ジム・スタージェス、エド・ハリス、シアーシャ・ローナン、コリン・ファレル
砂漠とヒマラヤ山脈の国境越えの旅!
第二次世界大戦下にシベリアの収容所から脱出し、インドまで6500kmにも及ぶ距離を歩き続けた兵士の手記を映画化。『刑事ジョン・ブック 目撃者』などのピーター・ウィアーが監督を務め、過酷な気候条件や飢餓に悶え苦しみながら、国境を1つ、また1つと越えていった者たちの壮絶なサバイバルを描いていく。
スパイ容疑でソ連当局に逮捕されたポーランド軍人のヤヌシュ(ジム・スタージェス)が、仲間とともに極寒のシベリアを脱し、モンゴルへ。灼熱のゴビ砂漠で命の危険にさらされながら、チベットへ。そしてヒマラヤ山脈を越え、インドを目指す彼らの国境越えの旅が、実話ならではの重みとともに得も言われぬ感動をもたらす。
『ゼロ・グラビティ』
製作年/2013年 製作・監督・脚本/アルフォンソ・キュアロン 共演/ジョージ・クルーニ、エド・ハリス
何事も乗り切る“たくましさ”に惹かれる!
スペースシャトルの大事故を描いた本作は、無重力の状態や、少なくなっていく酸素残量、宇宙の果てしない広がりなど、あらゆる要素がセンセーショナル。映像もリアリティ満点で、サンドラ・ブロック主演映画の中でも大ヒットした作品のひとつ。彼女が船外活動をしているオープニングから、宇宙空間に一気に没入させる。ロシアが爆破させた衛星の破片によって、サンドラが演じるライアン・ストーン博士のスペースシャトルが損傷。ジョージ・クルーニーの宇宙飛行士とともに、宇宙へ放り出されてしまう。
ストーン博士は医療用品の開発が専門であり、スペースシャトルの危機にもパワーで対抗するわけではない。だからこそ、観ているわれわれは彼女のサバイバルに感情移入してしまうのだが、サンドラが演じていると、何事も乗り切ってしまう“たくましさ”を感じるのも事実。宇宙空間の信じがたいアクションに説得力が与えられるから不思議だ。クライマックスでは思わぬエモーショナルな瞬間もあり、ほかに類をみない映画体験が待っているという意味で、最も記憶に新しいサンドラの代表作と言えるだろう。
『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』
製作年/2019年 監督・脚本/トッド・ロビンソン 出演/セバスチャン・スタン、クリストファー・プラマー、ウィリアム・ハート、エド・ハリス、サミュエル・L・ジャクソン、ピーター・フォンダ
生々しい戦場シーンに驚愕!
1966年のベトナム戦争下で、空軍落下傘救助隊のピッツェンバーガーが、ヘリから地上に飛び降り、負傷兵たちの救出をはじめる。結局、彼は命を落としてしまい、その勇敢な行動に対し、両親や戦友が名誉勲章の授与を嘆願。しかし、30年以上もその願いが受け入れられなかった。そのことで、新たな調査がはじまる。自らの命を犠牲にして、仲間を助けた英雄のストーリーに、ベトナムでの生々しい戦場シーンが重なり、30年後の物語と行き来していく。生き残った戦友の後悔やトラウマはもちろん、亡き息子にせめてもの勲章を、という老いた両親の苦しみが、過剰にエモーショナルにならず、じっくり迫ってくるスタイルで演出された一作。
この映画、シブい名優たちの豪華共演も見どころ。調査を進める空軍省の主人公こそ、マーベル映画のウィンター・ソルジャー役でお馴染みのセバスチャン・スタンだが、トラウマに苦しみ続ける戦友役のサミュエル・L・ジャクソンに、エド・ハリス、オスカー俳優のウィリアム・ハートと、実力派オールスターがズラリ。さらに遺作となったピーター・フォンダに、2021年2月に亡くなったクリストファー・プラマーが、ピッツェンバーガーの父役で出演。レジェンド俳優の最後の演技に、その役どころが重なり合って、胸が締めつけられるのは確実だ。