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CULTURE カルチャー

2023.11.18


ヒリヒリ感が味わえる骨太サスペンス映画5選!



『ヒストリー・オブ・バイオレンス』

製作年/2005年 監督/デヴィッド・クローネンバーグ 出演/ヴィゴ・モーテンセン、マリア・ベロ、エド・ハリス

知的かつ魅力的な語り口で“暴力”の本質に迫る
そこは小さな田舎町。ダイナーを営むトムは家族思いの優しくて穏やかな男だ。ある日、営業中の店内で二人組が乱暴を働こうとしたところ、彼の体が咄嗟に反応し、瞬く間に撃退してしまう。一躍、街のヒーローとして大注目を集めるトム。しかし後日、彼のことを「ジョーイ」という全くの別名で呼ぶ怪しげな男が店を訪れ、封印されたはずの過去が徐々に明かされはじめる……。

“バイオレンス”と銘打っているからといって、決して暴力三昧というわけではない。いわば知的な探究を秘めたサスペンス。奇才クローネンバーグは、目の前で進行する暴力そのものをスリリングに描きつつ、さらにそれを俯瞰するような形でこの概念やシステムそのものを寓話的に描こうとする。強さとは何か。他者を力で屈させるとはどういうことか。暴力は何を生むのか。はたまた、男は過去のしがらみや連鎖を断ち切ることができるのか。太古の昔から人類が身を浸してきたであろう、生きていくため、生き残るための葛藤が克明に描かれた秀作だ。
 

  

 


『ゼロ・ダーク・サーティ』
製作年/2012年 監督/キャスリン・ビグロー 出演/ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク

現代史の重大局面を映像化した逸品サスペンス!
この映画は、真っ暗闇の中で9.11の壮絶な状況が音声のみで紡がれるという演出で幕が上がる。あれから10年近く。アメリカの出口なき戦いがなおも一進一退の混沌とした状況を漂う中、一人のCIA女性分析官が長きにわたり辿り続けてきた糸口によって、ついにオサマ・ビン・ラディンのアジトにまつわる有力な手がかりが浮上し……。

『ハート・ロッカー』(2008年)でオスカー受賞したコンビが、取材で得た証言とフィクションを織り交ぜて描くアクション・サスペンス。もともと'11年に特殊部隊による殺害作戦成功のニュースが世界を駆け巡った際、二人は別のビン・ラディン追跡作戦に焦点を当てた企画を準備中だったとか。そこで方針転換し、これまでに得た知識、人脈を最大限活用し、本作をゼロから構築していったと言われる。2時間37分、肌身で感じる途方もない緊張感。まとわりつく砂塵。時に襲われる無力感と絶望。見終わった後、乾ききった心に複雑な感情が込み上げ、深いため息をつかずにいられなくなる作品だ。
 

  

 


『レッド・オクトーバーを追え!』
製作年/1990年 監督/ジョン・マクティアナン 出演/ショーン・コネリー、アレック・ボールドウィン、スコット・グレン

国際情勢の駆け引きと密室劇をダイナミックに紡ぐ!
時は冷戦末期。ソ連が誇る最新鋭の原子力潜水艦”レッド・オクトーバー”の艦長、マルコ・ラミウス大佐は処女航海の途中で不測の行動に打って出る。それを察知したCIA上級分析官のジャック・ライアンは相手が亡命を望んでいるのではないかと推測。極秘裏にラミウスの意志を確認すべく、オクトーバー号への接触を試みるのだが……。

トム・クランシー原作による”ジャック・ライアン”シリーズ、初の映画化作。ボールドウィンがフレッシュな主演を果たす一方、コネリーの重厚感あふれる演技も際立ち、国、年齢、イデオロギーの異なる主人公らが互いに相手の出方を読み合いながら、ひとつの目的を達成しようとする様は見応えたっぷり。そういえば、マクティアナン監督の前作『ダイ・ハード』(1988年)も顔の見えない二人が無線で繋がりながら事態打開を目指す映画だったのを思い出す。『スピード』(1994年)を生み出す4年前のヤン・デ・ボンによる閉所をうまく捉えたカメラワークも冴え渡り、あらゆるピースが巧みにハマった潜水艦&国際政治サスペンスと言えよう。 

  

 


『バウンド』
製作年/1996年 監督/ウォシャウスキーズ 出演/ジェニファー・ティリー、ジーナ・ガーション、ジョー・パントリアーノ

斬新なビジュアル感覚が貫かれた伝説的一作!
アパートの壁塗装や配管修理を担うコーキー(ジーナ・ガーション)は、前科者ながら腕の立つ職人だ。ある日、作業中の部屋の隣に住むヴァイオレット(ジェニファー・ティリー)に甘く誘われ、二人はすぐさま愛し合う関係に。ベッドで「新しい人生を送りたい」と語り合う中、ヴァイオレットはマフィアの裏金200万ドルを奪って逃げる大胆な計画を持ち出すのだが……。

ご存知『マトリックス』の監督コンビによる独創的なノワール・ムービー。90年代半ば、大手スタジオは同性愛を盛り込んだ企画にまだ臆病で、脚本のクオリティを評価しつつ「性別を変更するなら……」と条件を出してくるところもあったとか。だが監督らはいっさい妥協せず、低予算と持ち前の信念と唯一無二の感性を武器に、本作をあっと驚く逸品へと孵化させてみせた。ヒロインの関係性やマフィア相手の強奪計画を大胆に描きつつ、他方で美術や衣装に黒と白を多用し、部屋の壁を超越していくカメラワークも極めてユニーク。初長編監督作にしてビジュアル感覚の斬新さを世に突きつけた一作だ。 

 
 

 


『ビューティフル・デイ』
製作年/2017年 監督/リン・ラムジー 出演/ホアキン・フェニックス、ジュディス・ロバーツ

フィジカルとメンタルに深く突き刺さる!
元軍人の経歴を持ち、今では行方不明の少女たちを探す仕事を請け負うジョー。危険な闇社会に踏み込むことも多く、決して無傷ではいられない生業だ。そんなある日、ニューヨーク市議から「娘を救い出してほしい」との依頼が。いつもながらに場所を特定し、周到に準備し、見張りを殲滅させ、少女を救い出した彼。難なく任務成功かと思われた矢先、何やら恐ろしい事態が動きはじめていることに気づき……。

ラムジー監督といえば手掛けた作品こそ少ないが、大衆迎合することなく一貫してアーティスティックな映画を作り続ける人だ。そのこだわりは、この手のジャンルとしては珍しく主演にホアキン・フェニックスを据えたところにも如実に現れている。寸胴型の生々しい肉体を駆使したアクションとバイオレンスを描きつつ、その折々に主人公が持つ痛々しいまでの幼少期のトラウマを融合させ、ほんの90分足らずを複層的、立体的にじっくりと掘り下げていくその手腕。カンヌ映画祭で脚本&男優賞に輝いたのも納得である。 

 

 
文=牛津厚信 text:Atsunobu Ushizu
Photo by AFLO
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