『ミッション:インポッシブル』(1996年)
シリーズ誕生以来、スパイものというジャンルを「闇夜にうごめく諜報員たちのエレジー」というイメージから、エキサイティングかつスリリングな冒険活劇へと変貌させた『007』と『M:I』。
両者はともに英米各々の文化的な特色を盛り込みながら対照的な歴史を歩んできた。まずもって007ことジェームズ・ボンドは、あらゆる極限状況において独自の判断を許された英国諜報機関MI6のトップ・エージェント。局内に仲間はいるが、基本的には一匹狼である。
原作者のイアン・フレミング自身がもともと英国海軍情報部やMI6に所属していたこともあり、リアルなスパイの実情を描くことはお手のもの。原作小説の出版時(1953年)はあまり売れ行きが芳しくなかったが、キューバ危機と同じ62年にショーン・コネリー主演の映画版がお披露目されると社会現象ともいうべき熱狂を巻き起こした。ちなみに、私の手元にある原作本の巻末には「ケネディ大統領が愛読した」との触れ込みが記してある。63年に凶弾に倒れた元大統領の貢献も並々ならぬものがあったというわけだ。
対する『M:I』は、1966年にスタートした米テレビシリーズ『スパイ大作戦』が原点。IMF(Impossible Missions Force)に所属するメンバーが各々の特殊技能を駆使し、不可能なミッションをチームプレーで解決していく様が人気を博した。
幼少期からこの大ファンだったのが、ほかならぬトム・クルーズで、96年に彼自身の主演&プロデュース映画を立ち上げるや、一気に“トムの映画”として定着していく。つまり従来どおりのチームプレーではあっても、メインとしては彼自身が不可能なことに挑戦し続けるライフワークとも呼ぶべき主戦場が誕生したのである。(続く)
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