【傑作選】絶対に泣ける感動映画10選③
Safari Onlineで紹介してきた感動映画を10作品ピックアップしてご紹介。今回はその第3弾。
『グリーンマイル』
製作年/1999年 監督/フランク・ダラボン 出演/トム・ハンクス、マイケル・クラーク・ダンカン
スティーヴン・キングの名作を見事に映像化した奇跡の3時間
『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』と共に“泣けるキング映画”として愛される名作。1930年代の刑務所を舞台に、死刑囚と看守との間で巻き起こる忘れ難い日々を、長尺の中でゆったりと描き出した物語だ。”グリーマイル”とは緑色の通路のこと。囚人たちはそこを通って電気椅子へ向かう。いや、死刑囚だけではない。言うなれば看守も、家族や友人、その他のあらゆる人々も、いつの日か人生を歩み終えて死を迎える意味では、みんな似た存在なのかもしれないーーーそんなキングの深遠な問いかけが聞こえてきそうだ。
トム・ハンクス演じる看守は、”壊れたものを直す”という力を持った死刑囚の無罪を確信しながら、彼を救うことができない。それはまるで人間が抱える重い十字架のようでもあり、観るたびに「神よ、私にはこのグリーンマイルがあまりに長く思えるのです」の一言が様々な響きを伴って染み渡ってくる。そして胸に浮かぶのはマイケル・クラーク・ダンカンの無垢なる笑顔だろう。
『I am Sam アイ・アム・サム』
製作年/2001年 監督・脚本/ジェシー・ネルソン 脚本/クリスティン・ジョンソン 出演/ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダコタ・ファニング、ローラ・ダーン
父娘の姿に心を揺さぶられる!
難病モノというジャンルは、基本的に涙を誘うのが目的で作られるが、過剰になったり、あざとくなったりする可能性も高い。そのハードルを軽々と超え、さわやかな感動を届けてくれるのが、この作品。知的障がいのために知能は7歳のままのサムは、スターバックスで仕事をしながら、一人娘のルーシーと生活している。ルーシーの母親は出産後にすぐに失踪しており、サムはシングルファーザー。前半は、周囲の人々の温かいサポートで毎日を乗り越える父娘の姿が誠実に描かれ、観ているこちらは、早い段階から目頭が熱くなってしまう。
やがてルーシーが7歳になり、父よりも“大人”になったことで、サムの養育能力が問われることに。ルーシーがサムの元から引き離されたことで、サムは裁判で訴えるという無謀なチャレンジに出る。サムとルーシーの親子愛、それを取り戻そうとするサムの実直な奮闘と、いくつもの感動のポイントが、登場人物に寄り添うように演出され、名作となった。人気アーティストがカバーした、数々のビートルズの曲もドラマとぴったりで効果的。サムという難しい役をリアルにこなしたショーン・ペンもさすがだが、ルーシー役、ダコタ・ファニングの天才子役ぶりに、心を揺さぶられるのは確実だ。
『ビッグフィッシュ』
製作年/2003年 監督/ティム・バートン 脚本/ジョン・オーガスト 出演/ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム・カーター、マリオン・コティヤール
信じられない話はどこまでホント?
ホラ話を語っては、多くの人々を楽しませ、愛されてきた男エドワード。しかし、息子ウィルだけは嘘ばかりつく父を嫌っていた。そんなある日、エドワードの危篤の報を受けた彼は、妊娠中の妻とともに帰省する。巨人と出会った話、戦地でケタ外れの危険な任務に就いた話、そしてウィルの生まれた日に伝説の魚“ビッグ・フィッシュ”を釣った話。父は相変わらず、つくり物の冒険談を語り、ウィルをウンザリさせるが……。
異才ティム・バートンがダニエル・ウォレスの人気小説を映画化。作り話しばかりで、信じられない……そんな思いを父に抱いていた息子が、父の真意に近づいていく。エドワードの話のどこまでがホラなのか明確にはしていないが、そこには確実に“真実”が含まれている。そういう意味では、父の作り話に翻弄されてきた息子の成長談か。クライマックスからにじみ出る、その感動をじっくりと味わってほしい。
『しあわせの隠れ場所』
製作年/2009年 原作/マイケル・ルイス 監督・脚本/ジョン・リー・ハンコック 出演/サンドラ・ブロック、クィントン・アーロン
幸運な出会いと絆にほっこり
唯一の家族である母が薬物依存更生施設に入れられ、途方に暮れる黒人の高校生マイケル。寒さに震えているところを、裕福な白人の人妻に助けられた彼は、その一家の好意により、家に置いてもらうことに。実の家族のように接してくれる彼らに支えられ、マイケルは学業に励み、一方でアメフト選手としての才能を開花させる。それは後に、彼と一家に、さらに大きな喜びをもたらした……。
スーパーボウルでの優勝歴もある元NFLの人気アメフト選手マイケル・オアーの実体験を元にしたヒューマンドラマ。貧困にあえいでいたところを、慈悲深い一家に助けられた彼の、幸運な出会いを温かみとともに活写。物語の視点は、一家の勝ち気な妻の視点で語られ、彼女とマイケルの疑似親子というべき関係の構築が感動の肝となる。ヒロインを務めたアカデミー賞女優サンドラ・ブロックは、本作でも同主演女優賞候補に。
『最強のふたり』
製作年/2011年 監督・脚本/エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ 出演/フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、オドレイ・フルーロ
思いやりと友情に心があったまる!
頚髄損傷によりカラダを動かせず、介護を必要とする大富豪フィリップ。その新しい介護人に、は貧困街に住む前科者の移民青年ドリスが選ばれた。盗難を働きかねない者を雇ったことに周囲は反対するが、フィリップは障がいを気にせずズケズケとモノを言うドリスを気に入っていた。ともに過ごす時間の中で、彼らは強い絆で結ばれていく。やがてフィリップは文通相手の女性に心を惹かれるが、障がいに負い目を感じて恋に臆病に。ドリスはそんな彼を励まし、応援するのだが……。
世界中で大ヒットを飛ばし、フランス映画の日本での興行記録を塗り替えた好編。障がい者に対して、人は憐れみの目を向けがちだが、本作のドリスは違う。フィリップが車椅子生活者であろうと、大富豪であろうと遠慮せず、ほかの人間に見せる思いやりと同じような気持ちで接する。そんな目線の対等さに、学ぶべきことは多いのでは? 東京国際映画祭では最高賞のサクラグランプリを受賞。
『ザ・ファイター』
製作年/2011年 監督/デビッド・O・ラッセル 出演/マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、メリッサ・レオ
ボクシングを通じた兄弟の絆に泣く!
プロデビュー後、14連勝など華々しい記録を打ち立てた、実在のボクサー、ミッキー・ウォード。一度は引退を考えた彼に、復活のきっかけを与えたのが、兄の存在だった。それは、同じく実力を認められたボクサーながら、麻薬に溺れ、逮捕もされた異父兄のディッキー・エクランド。この『ザ・ファイター』は、複雑な兄弟関係にある彼らが、苦闘を繰り返しながら頂点に立とうとする姿を、ド迫力のボクシングシーンとともに描いていく。強烈でセンセーショナルながら、直球の感動も届ける渾身の“兄弟映画”だ。
闘志ムキだしのスタイルが持ち味のミッキー。ボクシングへの純粋な情熱も劇的に描かれるのだが、それ以上に『ザ・ファイター』が切実なのは、家族ドラマ。彼のファイトマネーを当てにする強烈なキャラの母親、そして姉妹たち。ジャンキーであるディッキーをかばったために、ミッキーが見舞われるアクシデントなど、問題だらけの家族関係に胸を締めつけられる。ディッキーを演じるため15kgも減量したクリスチャン・ベールと、“鬼母”役のメリッサ・レオが、アカデミー賞で助演男優賞&助演女優賞のW受賞を達成。ボクシングと兄弟の絆、その両方でカタルシスがもたらされる骨太な一作。
『ソウル・サーファー』
製作年/2011年 原案・製作・監督・脚本/ショーン・マクナマラ 出演/アナソフィア・ロブ、ヘレン・ハント、デニス・クエイド
左腕を失ったヒロインの復活劇に感動!
不運に巻きこまれても、強い意志さえあれば人生は自分で前に進ませることができる……。そんな事実を教えてくれるのが、実在の人物の再起ストーリー。『ソウル・サーファー』のモデルとなったのは、ハワイのサーファー、ベサニー・ハミルトン。子供時代からサーフィンに親しみ、コンテストでも優勝を重ねた彼女が、13歳の時にサメに襲われて左腕切断という大ケガを負ってしまう。退院して間もなくサーフィンを再開するという不屈の闘志をみせるベサニーだが、かつてのような実力は取り戻せない。しかしタイの津波の被災地でボランティアを行うなど、多くの経験を通して彼女はプロサーファーとして復活する。
青春映画として素直に感動させる本作。ベサニーの失意からの復活、ライバルとのシビアな争い、親友との絆、そしてもちろん家族の支えなどが過不足なくストーリーに散りばめられている。心に残るセリフも多い。「人生はサーフィンに似ている。波に飲み込まれたら、また次の波に乗ればいいのだから」などは、ベサニーの思いとひとつになれば、大いに勇気づけられるはず。そしてハワイのカウアイ島やオアフ島で撮影を行った、雄大な海や大自然の映像も、物語の感動を倍増。サーフィンのシーンではベサニー本人がスタントも務めているし、こうした実話映画によくある、モデルの人物を紹介するエンドロールも、本作は爽やかな後味を残す。
『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命』
製作年/2012年 原案・監督・脚本/デレク・シアンフランス 出演/ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパー、エヴァ・メンデス、ローズ・バーン
親子二代に及ぶ、うねりに満ちた運命!
バイクショーのスタントマン、ルークは昔の恋人が自分の子を産んでいたことを知り、彼らを養うために堅気の仕事に就くがままならず、銀行強盗を画策。しかし逃走に失敗し、若い警官エイブリーに射殺される。十数年後、エイブリーは司法長官選挙に出馬するほどの出世を遂げていたが、子の親であるルークを射殺したことへの後悔の念を抱き続けていた。一方、高校生となった彼らの息子が、たがいの親のことを知らぬまま高校で友人同士となり……。
“親の因果が子に報う”ということわざがあるが、本作はまさにそれを連想させる。警官も強盗も、どちらも息子を愛しているが、彼らが因縁で結ばれ、その息子たちの運命にも影響をあたえる。それは皮肉な結果をもたらしてしまうのか!? ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパーら人気俳優たちの熱演に注目しつつ、親子二代に及ぶ、うねりに満ちた運命の行方を見届けてほしい。
『僕のワンダフル・ライフ』
製作年/2017年 監督/ラッセ・ハルストレム 出演/デニス・クエイド、ペギー・リプトン、K・J・アパ
犬の想いが伝わる演出に感服!
犬のベイリーが何度も生まれ変わって元の飼い主イーサンの元へ帰るまでを時代の変遷と共に描くラッセ・ハルストレム監督作。ベイリーはゴールデンレトリーバーやジャーマン・シェパード、コーギーなどさまざまな犬種に生まれ変わり、そのつどの飼い主との“使命”(犯人逮捕や人命救救助、飼い主が家族を作るまでを見守ったり……)を果たして、また次の”犬生”を送るべく生まれ変わる。そして最後はセントバーナードとオーストラリアン・シェパードのミックス犬に転生して、ついにイーサンに巡り合う。
ハルストレム監督は『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』『HACHI 約束の犬』と本作を入れると、これまで3作の犬映画を監督するほど大の犬好き。
『HACHI』では犬の目線として彩度を落とした映像を用いるなど(犬は一般的に赤緑があまり判別できないよう)、犬の気持ちがわかっているかのような演出を披露。本作でもまた犬の想いが伝わってくる演出やナレーションが随所に盛り込まれている。もし飼い犬がこんなにも一途に自分を探してくれていたら……と思うと、胸がアツくなる感動作だ。
『グリーンブック』
製作年/2018年 監督・脚本/ピーター・ファレリー 出演/ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリニ
真逆な2人のロードムービー!
実話の映画化と聞くと、すべて正確に再現されているかと思われるが、あくまでも映画は“作り物”。実際の出来事にインスパイアされ、かなり脚色された作品も多数。『グリーンブック』はその代表例だ。1960年代、人種差別の意識が色濃いアメリカ南部を、黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーがツアーで巡る物語。ピアニストのドライバー兼ボディガードとして雇われたのが、イタリア系のトニー。天才アーティストで裕福、知的で育ちの良さも感じさせるシャーリーに対し、トニーは気が短く、相手に遠慮しないタイプ。何もかも真逆な2人のロードムービーは、予想どおり彼らに育まれる絆にフォーカスしていく。
『グリーンブック』は基本、コメディ。とくに前半は、シャーリーとトニーのまったく噛み合わない会話やカルチャーギャップで笑わせていく。監督は『メリーに首ったけ』などのピーター・ファレリーなので、きわどいギャグも楽しさに変えるテクニックは抜群だ。しかしツアー先で、シャーリーが黒人であることから不当な扱いを受け、そこにトニーが不満を感じる中盤あたりから胸が痛む瞬間も相次ぎ、温かさと切なさが入り混じったクライマックスが導かれる。トニー役のヴィゴ・モーテンセン、シャーリー役のマハーシャラ・アリが、終盤にかけてドラマチックな演技の変化をみせ、感動を盛り上げる。トニーの息子が製作を手がけ、2人の生涯にわたった友情の事実が映画に刻まれた。
【まとめ】絶対に泣ける感動映画45本!
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