臨場感あふれる圧倒的な戦場シーン!『アウトポスト』
戦争アクション映画になにを求めるかは人それぞれ。ド派手バトル、衝撃映像、武器へのこだわり、そして人間ドラマ……。それらすべてがハイレベルで揃った作品に遭遇して、予想外の満足感が得られることもたまにあるのだが、この『アウトポスト』は、そんなパターンとなる可能性大だ。
- SERIES:
- 今週末は、この映画に胸アツ!
- TAGS:
- 今週末は、この映画に胸アツ! Culture Cinema 映画5選
『アウトポスト』
胸アツなポイントは?
“突如はじまる戦闘、終わらない攻撃に息もできない!”
2009年のアフガニスタン北東部。アメリカ軍の補給経路を維持するための重要な前哨基地(これが、タイトルの“アウトポスト”の意味)を舞台に、兵士たちの日常と戦いが描かれる。しかしこの基地には欠点があった。四方を山に囲まれているので、敵であるタリバンから集中攻撃を受ける危険をはらんでいたのだ。
アフガニスタン紛争で最も過酷といわれた戦いを再現した本作。ほぼ全編、その基地の周辺のみで展開されることで、観ているわれわれも完全に兵士たちの気分になっていく。基地内での彼らの日常もテンポよく描かれるので、たとえ入り乱れる登場人物の区別がつかなくても、雰囲気で入りこめるので問題なし。で、その没入感覚は、アクションシーンで一気に加速!
戦争映画らしい突発的な攻撃、アクシデントはお約束とはいえ、タイミングが絶妙。シャワーを浴びていた兵士が真っ裸で応戦するあたりも、前哨基地のリアルさか!? そしてメインの戦闘では、恐ろしいほど的確なカメラワークとアングル、映像の切り替えで、臨場感が半端じゃない。
かつてリドリー・スコット監督の『ブラックホーク・ダウン』が、観客への臨場体験で戦争映画の歴史を変えたが、同作に匹敵するかも。しかも限定した空間なので、生死を分けるスリルや、逃げ場を失う閉塞感もたっぷりだ。
何人も登場する上官の個性や、アフガニスタンの住民との複雑な関係、兵士たちの濃い絆も物語にうまく機能。名優&名監督の息子、スコット・イーストウッドを中心に、オーランド・ブルームらキャストも役と一体化!
『アウトポスト』
原作/ジェイク・タッパー 監督/ロッド・ルーリー 脚本/ポール・タマシー、エリック・ジョンソン 出演/スコット・イーストウッド、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、オーランド・ブルーム 配給/クロックワークス
2019年/アメリカ/上映時間123分
3月12日より、新宿バルト9ほか全国ロードショー。
(C)OUTPOST PRODUCTIONS, INC 2020