狩りのターゲットは、人間!? 『ザ・ハント』
ここ数年、ハリウッド映画でひとつのブームを形成しているのが、あるプロデューサーが手掛ける低予算ホラー。まさかのアカデミー賞作品賞にノミネートされた『ゲット・アウト』や、古典の名作を復活させた『透明人間』など、ヒットを連発するその人の名は、ジェイソン・ブラム。大胆な仕掛けと強烈なインパクトで観客を夢中にさせる彼の持ち味が、最大限に発揮されたのが今作だ。
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『ザ ・ハント』
胸アツなポイントは?
“激しすぎるサバイバルゲームに心臓がバクバクッ!”
この『ザ・ハント』、とにかくシチュエーションが衝撃的。森の中で目覚めた男女12人が、富裕層による“人間狩り=ザ・ハント”のゲームの標的となり、次々と命を落としていくことに……。
全米では2019年9月に公開が決まっていたが、テキサス州やオハイオ州で銃乱射事件が相次いで起こり、公開がいったん中止になったという、いわくつきの作品。トランプ大統領もツイッターで作品批判をするなど物議を醸したが、それほどに現実とリンクしてしまう問題作なのだ。
冒頭からターゲットになる者たちの悲惨な運命が、畳みこむように展開。正視できないほどショッキングな描写も用意され、心臓のバクバクは止まらない。次に誰が犠牲になり、そしてどんな敵が目の前に現れるのか、まったく予想がつかない緊張感もある。それでも、ところどころにユーモアが挟まれるので、“作り物”として冷静に観れば、意外に作品の流れにノッていけるはず。
ターゲットのひとりで、クリスタルという名の美女の予想外の反撃や、サバイバルゲーム以上に激烈なクライマックスなど、アクション映画としてスカッとする瞬間も多いので、覚悟を決めて観れば楽しめるだろう。映画マニアには、『ストリート・オブ・ファイヤー』で女戦士を演じたエイミー・マディガンの、今も変わらぬ過激な活躍も必見。
『ザ ・ハント』
製作/ジェイソン・ブラム 監督/クレイグ・ゾベル 出演/ベティ・ギルピン、ヒラリー・スワンク、アイク・バリンホルツ、エマ・ロバーツ
2020年/アメリカ/上映時間90分
10月30日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
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文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito