祖母に余命がバレないようにするには?『フェアウェル』
『ミッドサマー』や『mid90s ミッドナインティーズ』など新作の公開が続く、話題の映画スタジオ“A24”。ほかのスタジオにはない、エッジの効いた新しさも魅力なのだが、この『フェアウェル』は、また違った印象の“A24”作品だ。シチュエーションは斬新ながら、感動はかなりストレートだったりする!
- SERIES:
- 今週末は、この映画に胸アツ!
- TAGS:
- 今週末は、この映画に胸アツ! Culture Cinema
『フェアウェル』
胸アツなポイントは?
“誰もが経験する親族の看取りに胸が詰まる”
主人公のビリーは、両親とNYに暮らす中国系アメリカ人。中国の長春に暮らす祖母のナイナイがガンで余命3カ月と聞かされ、ビリーの一家は長春へ向かうことに。しかし帰国の口実は、あくまでも親戚の結婚式。長春の家族が、絶対にナイナイにガンの事実を知らせたくないからだ。
余命短いガンを本人に告知するべきか? 最後まで嘘をつきとおすのか? アメリカで育ったビリーと、中国の親戚の価値観がぶつかり合うドラマだが、基本的にノリは軽やか。“おばあちゃんが大好きな孫”という設定に、誰もがすんなり共感してしまう。
ナイナイに嘘がバレないようする周囲の気使いが、ときにシリアスに、ときにコミカルに展開。なにも知らないナイナイが、久々に会った孫娘のビリーに伝える言葉は、やたらと心にぐっときたりする。結婚式の花嫁が日本人というのも妙に親近感(演じるのは中国を拠点に活躍する水原碧衣)がわくはず。
中国らしく大盛り上がりの結婚式では日本の曲も歌われたりして、ややカオスと化していく様も楽しい。物語が物語だけに当然、感動も待っているが、不意打ちで涙腺を刺激する演出が見事。監督は中国系アメリカ人のルル・ワンで、彼女自身の実話が基になっており、“実話”というポイントが感動を倍にさせるはず。その理由は、是非劇場で確かめて!
『フェアウェル』
監督・脚本/ルル・ワン 出演/オークワフィナ、ツィ・マー、ダイアナ・リン 配給/ショウゲート
2019年/アメリカ/上映時間100分
10月2日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
(C)2019 BIG BEACH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED