映画『カラーパープル』は冒頭からノリノリのダンスナンバーに圧倒される!
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名作が、新たなキャスト、スタッフで再生される。この“リメイク”は時として賛否両論を呼ぶが、オリジナルの“精神”が受け継がれているかがカギとなる。38年前の作品を監督したスティーヴン・スピルバーグが、今回は製作として参加。リメイクというより、新たなスタイルによる復活が、この『カラーパープル』だ。
1985年の『カラーパープル』は、アカデミー賞で作品賞など10部門11ノミネートを達成。それまで『ジョーズ』や『E.T.』など娯楽大作で成功を収めてきたスピルバーグが、ヒューマンドラマで傑作を放ったことが当時、大きな話題になった。『カラーパープル』は2005年にブロードウェイでミュージカル化。今回は、そのミュージカル版の映画化である。「あのシリアスな物語が、歌とダンスで描かれる?」と疑問に感じる人もいるかも。ところが、映画を観てみると、そんな不安はすぐに消し飛んでしまう。人種やジェンダーの差別という本作のテーマが、軽やかでテンション上げるミュージカルシーンとともに描かれることで、むしろ違和感なくスッキリと心に突き刺さり、本能的に感動してしまう。そんな映画のマジックが起こるのだ!
1909年、アメリカのジョージア州ではじまる物語。主人公のセリーは父親から虐待され、結婚した後も夫から屈辱的な扱いを受ける。さらに妹のネティと引き離され……と、過酷な人生を送りながらも、やがて出会った女性たちとの関係で、彼女は自立への道を見出していく。こうして物語を書くと、たしかにハードなのだが、冒頭からノリノリのダンスナンバーが展開し、一気に20世紀初めのジョージア州にトリップ。その後も要所で、日常の動きがダンスに変わる、斬新でカッコいい振付に目を奪われまくる。溜まりに溜まった鬱憤を、ついにセリーが晴らそうとする瞬間など、キャストたちの名演技もスーパー級。そして38年前の映画に感動した人も、この『カラーパープル』が伝えるメッセージが、むしろ今の社会に必要なのだと気づくはず。まさに意味深い、名作の復活劇として必見だ。
『カラーパープル』2月9日公開
原作ミュージカル/マーシャ・ノーマン 製作/スティーヴン・スピルバーグ 監督/ブリッツ・バザウーレ 出演/ファンテイジア・バリーノ、タラジ・P・ヘンソン、ダニエル・ブルックス、コールマン・ドミンゴ 配給/ワーナー・ブラザース映画
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