少女の成長物語が一転する『Pearlパール』は恐怖と映像センスがズバ抜けてる!
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暑さも本格的になってきたこの時期。涼しい映画館で体温が上がるような強烈な体験をしたい人も多いはず。そんな欲求に応えてくれるのが『Pearlパール』だ。ちょっぴり怖い世界が予感されるも、さまざまな方向から“楽しませる”仕掛けに、思わず前のめりになっていく!
舞台は1918年のテキサス。農場で暮らす少女パールにとっての楽しみは、映画だった。映画館のスクリーンを見つめ、そこで踊るスターたちに憧れ、仕事の合間にミュージカルの真似事をするのが日課。そんな彼女が、地方を巡回するオーディションの話を聞きつけ、是が非でも参加しようとする。基本は少女の成長ストーリーっぽいのだが、このパールという主人公は、昨年公開されたホラームービー『X エックス』に登場した老婆の殺人鬼。将来、冷血&残虐な人格となる彼女の原点が描かれる。ただ、『X エックス』を観ていない人も問題なし。むしろ未見の方が、シンプルに物語に没入できるかも!?
夫が出征し、農場で画スターの夢をみるパールは、思いどおりにいかないと暴走行為にも出る。どう考えても常識ハズレなのだが、だからこそ映画の主人公としては面白い。パール役は『X エックス』で老婆メイクもしていたミア・ゴスが演じているが、突飛なキャラに完全憑依。ある重要なシーンでの彼女のアップの演技に誰もが平伏すことだろう。もう一人の注目キャストは、パールの欲望をめざめさせる映画館の映写技師を演じたデヴィッド・コレンスウェット。先ごろ彼は、次期スーパーマン/クラーク・ケント役への抜擢が発表された。製作は、いまアメリカ映画界で最も勢いのあるスタジオ、A24。思わぬ瞬間に観る者を引きずり込むセンスは、今回もハイレベル。100年前の物語だが、当時流行していたスペイン風邪や、パールの“毒親”の問題など、現在に通じるトピックも多い。恐る恐る足を踏み入れたら、いつの間にか心を持っていかれる、最強の怪作だ!
『Pearl パール』7月7日公開
製作・監督・脚本/タイ・ウェスト 製作総指揮・出演/ミア・ゴス 出演/デヴィッド・コレンスウェット、タンディ・ライト、マシュー・サンダーランド 配給/ハピネットファントム・スタジオ
2022年/アメリカ/上映時間102分
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