ニコラス・ケイジが自身を投影したどん底の俳優を演じる『マッシブ・タレント』に抱腹絶倒する！
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ハリウッドスターの代表格としてトム・クルーズやブラッド・ピットがすぐに頭に浮かぶが、この人の名前を聞くと妙に胸騒ぎが起こる映画ファンは多い。その名は、ニコラス・ケイジ。アクション映画で大活躍しつつ、その主演作は当たりハズレもあったりして、だからこそ予想不能の味わいがある。一部からは“ニコケイ”として偏愛されている彼の最新作は、ある意味で“彼そのもの”の逸品だ。
ニコラス・ケイジが演じる主人公は、ニック・ケイジという俳優。“本人そのもの”とツッコミを入れたくなる設定のうえに、仕事に行き詰まりを感じて引退も考え、家庭の問題や借金返済にも悩み……と、明らかに自虐的パロディなのだが、それを楽しそうに演じているニコケイに、観ているこちらも幸せ気分になってしまうから不思議。
“パーティに来てほしい”と大富豪のハビから目もくらむギャラを提示され、スペインの孤島へ向かうニック。ハビは犯罪者としてマークされている男で、ニックはCIAからスパイの任務も託される。しかしニックとハビは仲良くなってしまい、潜入捜査劇は二転三転！
陽光きらめくリゾートアイランドが舞台なので、緊迫の攻防もどこかのんびりとしたムードで、そこがまたニコケイにぴったり。崖からの落下アクションやカーチェイス、銃撃戦にはニコケイの過去の主演作へのオマージュが捧げられ、アカデミー賞主演男優賞に輝いた『リービング・ラスベガス』のパロディも登場。
さらにニック・ケイジの大ファンであるというパピの屋敷には、抱腹絶倒の秘密が隠されていたりも！ 自分の出演作に対するネガティヴな批評に、本気で怒りをぶつけるニコケイにも笑える。
以前から私生活や作品チョイスで問題もあったニコラス・ケイジだが、本作をはじめ、ここ数年は出演作や演技が絶好調。プライベートでも日本人のリコ・シバタとの5度目の結婚で幸せいっぱい。そんな“余裕”があるからこそ、こうしたセリフパロディもこなせるわけで、ファンならずとも彼のことを愛さずにいられなくなる。そんな特別な一作だ。
『マッシブ・タレント』3月24日公開
監督・脚本／トム・ゴーミカン 出演／ニコラス・ケイジ、ペドロ・パスカル、シャロン・ホーガン、アイク・バリンホルツ 配給／フラッグ
2022年／アメリカ／上映時間107分
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