映画の変革期を描く傑作『バビロン』は、ブラッド・ピットの集大成!
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映画にはいろいろなジャンルがあるが、成功確率の高いものが、ひとつある。それは“映画の世界を描く映画”。ジャンルと呼ぶのはやや強引だが、監督たちが自分たちの生きる場所を描くわけだから、面白くならないはずはない。この『バビロン』は、まさにそんな一本。
監督を務めたのは、デイミアン・チャゼル。あの『ラ・ラ・ランド』で史上最年少のアカデミー賞監督賞に輝いた天才。『ラ・ラ・ランド』でも映画の世界をロマンチックに切なく取り入れていた彼が、今回の『バビロン』では強烈なエピソードもぎっしり詰め込んだ。いい意味での“どぎつい”センスも炸裂する。
背景は1920年代のハリウッド。映画がサイレントからトーキーに移る過渡期に、映画製作やスターを夢みる若者たち、大物俳優や監督、プロデューサーが、超濃厚な人間ドラマを繰り広げる。CGが使えない戦争アクション大作はどう撮影されたのか。華やかさを競ったパーティでは、どんな乱痴気騒ぎが起こっていたのか。観ているこちらを当時のハリウッドのド真ん中に放り込む作り。“超強烈”な描写ではじまるオープニングから、ただならぬ作品であることを予感させてくれる。
物語は、映画の製作をめざす青年マニーの視点で描かれるが、キャストで注目なのは現代の2大スター。まずはマーゴット・ロビー。セクシーな魅力も利用する野心メラメラの新進女優ネリー役で、彼女には体当たりな見せ場が多数。
そしてサイレント映画のトップ俳優ジャックを演じたのがブラッド・ピット。我が物顔で撮影に臨む姿や、豪華なプライベートを満喫する余裕の表情、さらに終盤のドラマチックな場面まで、オスカーを獲った『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』とは、また別の次元のカッコいいブラピが立ち現れる。もちろん映画ファンには、約100年の歴史を壮大なレベルで振り返るオマケもついており、3時間9分という長尺で予想外の満腹感をもたらす力作と断言できる。
『バビロン』2月10日公開
製作総指揮・出演/トビー・マグワイア 監督・脚本/デイミアン・チャゼル 出演/ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、オリヴィア・ワイルド、ジーン・スマート 配給/東和ピクチャーズ
2022年/アメリカ/上映時間189分
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