今年はトム・クルーズ主演の『トップガン マーヴェリック』が大ヒットを記録。トムの“スターパワー”を見せつけられた印象だが、そんなトムにカリスマ性で対抗できるスターといえば、やはりこの人、ブラッド・ピットではないか。ブラピの最新主演作は、なんと日本が舞台。期待値も上がってしまう!
伊坂幸太郎の小説『マリアビートル』を、ハリウッドが映画化した本作。日本のコミックやアニメのハリウッド実写化はこれまで何度もあったが、小説からというパターンは珍しい。原作では東京発/盛岡行の新幹線で、プロの殺し屋やワケありの面々が激しい攻防を繰り広げるが、この映画版は東京発/京都行の超高速列車が舞台。ブラピが演じるレディバグ(てんとう虫)が、列車内のブリーフケースを奪ってくるように指令を受ける。しかし車内には何人もの殺し屋や、恨みを晴らそうとする者、罠の仕掛け人が乗り合わせており、簡単に終わると思ったレディバグの仕事は、とんでもない闘いへと発展していく。とにかくキャラが濃い殺し屋たちが、激闘アリ、騙し合いアリ、何でもアリ(!?)で、走る列車と同じくノンストップで入り乱れ、痛快そのもの。
日本が舞台ながら撮影はロサンゼルスのセットで行われたので、新幹線そっくりの列車“ゆかり号”も独自のデザイン。車内販売や食堂車、照明、トイレ、さらに駅のホームの設備が微妙にアレンジされつつ、停車駅や日本語表示はけっこうリアル。ハリウッド作品にありがちな“変な日本描写”は少なめ。ビジュアルを素直に楽しめるのが本作の魅力だ。監督は『デッドプール2』などのデヴィッド・リーチ。意外なスターのカメオ出演など遊び心たっぷりの演出も用意する彼は、もともとブラピのスタントマンも務めていた人。アクションにはブラピの持ち味が生かされているし、何より現在58歳とは思えないブラピのキレキレの動きに惚れぼれ! トム・クルーズと同じく、スターの輝きがまったく消えていないブラピの勇姿に誰もが感激するはずだ。
『ブレット・トレイン』公開中
原作/伊坂幸太郎 製作・監督/デヴィッド・リーチ 脚本/ザック・オルケウィッツ 出演/ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、真田広之、サンドラ・ブロック 配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2022年/アメリカ/上映時間126分