現在のハリウッドで、アクション映画の最高峰といえる監督は誰か? その答えに、ルッソ兄弟の名を挙げる人は多いのではないか。『アベンジャーズ/エンドゲーム』などマーベルのメイン作品を手がけ、プロデューサーや脚本として参加した大作も多数。アンソニー(兄)とジョー(弟)のルッソ兄弟が、満を持して挑んだ最新監督作が『グレイマン』だ。
2009年の発刊以来、シリーズ化された人気スパイスリラー小説を、ネットフリックスでも最高額の製作費といわれる2億ドルを投じて映画化。主人公は“シエラ・シックス”というコードネームで呼ばれるCIAの工作員。服役中にリクルートされ、無敵の暗殺者として活動していたが、ある重要な機密を手に入れたことで、身内であったはずのCIAから命を狙われる。バンコク、トルコ、ウィーン、香港、プラハにクロアチア……と、まさに世界を股にかけた攻防が展開。あの『007』も彷彿とさせるスケール感だが、孤高の主人公の闘いが徹底してクールに、リアリティ満点に描かれる点が『グレイマン』の持ち味だ。
全編、アクションの演出にサプライズと興奮が確約される。過去のどんな映画でも体験したことのないシチュエーションが用意され、中盤の見せ場となる市街戦は、まさに怒涛のスペクタクル感。アクション映画のさまざまな魅力が凝縮されたシークエンスにひたすら息をのむ。シックス役のライアン・ゴズリングは、あの憂いを含んだ顔で無敵暗殺者のテクニックを披露し、最高のハマリ役。一方でシックスを執拗に追う、かつての同僚ロイド役のクリス・エヴァンスは、キャプテン・アメリカとは真逆の冷酷非情ぶり。さらに『007』では出番がわずかだったアナ・デ・アルマスが、その不満を解消するかのように今回は有能なスナイパー役として大活躍と、キャストの見どころも充実。全体に夜のシーンが多く、日中でもダークな画面が印象的なので、できるだけ外から遮断された暗い空間での鑑賞をオススメしたい。
『グレイマン』7月15日公開(7月22日からネットフリックスで配信)
原作/マーク・グリーニー 製作・監督/アンソニー&ジョー・ルッソ 脚本/ジョー・ルッソ 出演/ライアン・ゴズリング、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス、ジェシカ・ヘンウィック
2022年/アメリカ/上映時間122分
Netflix映画『グレイマン』7月22日(金)独占配信開始