ローレル・キャニオンに魅了されたミュージシャンたちが奏でる『エコー・イン・ザ・キャニオン』!
ローレル・キャニオンに集まったミュージシャンたちに時空を超えて会いに行く! 音楽と映画、両方の魅力が合体した珠玉のドキュメンタリー!
- SERIES:
- 思わず誰かに伝えたくなる映画! vol.2
太陽がきらめくロサンゼルスには、どんな音楽が似合うのか? “カリフォルニア・サウンド”、“ウエストコースト(西海岸)・ロック”と呼ばれるそのジャンルの源をたどると、行き着く場所がある。それがローレル・キャニオン。ハリウッドの観光地からクルマでわずか5分の場所に位置するこの土地は、1960~’70年代に多くのミュージシャンが住みつき、アメリカ西海岸の空気を楽曲で表現していた。
ビーチ・ボーイズ、ママス&パパスといった伝説のバンドから、エリック・クラプトン、ベック、ノラ・ジョーンズら現在も一線で活躍する面々までの超レアな証言で、その知られざる歴史を振り返っていく。たがいの家で寝泊まりしながらメロディや歌詞を考えた懐かしい思い出、「夢のカリフォルニア」をはじめ名曲の制作秘話、さらに彼らが実はザ・ビートルズに影響を与えていた事実……と、貴重なエピソードがぎっしりのドキュメンタリーだ。
プロデューサーで、インタビューの聞き手を務めたのがジェイコブ・ディランというのも、本作を成功に導いたポイント。あのボブ・ディランの息子なので、大御所たちも心を開いてしまう。そのジェイコブが、何人ものミュージシャンと共演するステージ・パフォーマンスも挿入されるので、ライブの興奮も満点。有名なキャピトル・レコードのビルなどを背景に、ジェイコブが街をクルマで駆け巡る。そこにカリフォルニア・サウンドが重なると、映画を観ているこちらもLAの乾いた空気を感じた気分になる。そこも本作の大きな魅力。
タイトルは“キャニオン(峡谷)に響くエコー(こだま)”だが、上のイラストで描かれたように、ジェイコブが結びつけたミュージシャンたちが、時を超えて美しいエコーを奏で、ひとつの作品を形成する。この映画は、そんな奇跡の時間を体感させてくれる。
© 2019 Echo In The Canyon LLC ALL RIGHTS RESERVED.
『エコー・イン・ザ・キャニオン』
監督:アンドリュー・スレイター
製作・出演:ジェイコブ・ディラン
出演:トム・ペティ、エリック・クラプトン、ブライアン・ウィルソン、リンゴ・スター
5月27日(金)より全国公開
配給:アンプラグド
Story
1960年代後半から1970年代にかけ、ロサンゼルスのローレル・キャニオンには多くの人気ミュージシャンが生活していた。ボブ・ディランの息子であるジェイコブ・ディランが当時のキャニオンを知る伝説のミュージシャンたちにインタビューを敢行。名曲誕生の秘話や、カリフォルニアの音楽の歴史を明らかにする。
今月は傑作揃い!
『a-ha THE MOVIE』
監督:トマス・ロブサーム、アスラーグ・ホルム
5月20日より全国公開中
配給:クロックワークス
人気バンドの衝撃の真実に迫る!
「テイク・オン・ミー」で知られるノルウェーのa-ha。その偉業からバンド内の絆と確執、今も続く進化を追う貴重な一作。
『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』
製作:ジョニー・デップ
監督:ジュリアン・テンプル
6月3日(金)より全国順次公開
配給:ロングライド
破天荒アーティストの生きざま!
イギリスの人気バンド、ザ・ポーグズ。そのヴォーカルの豪快な人生に驚きの連続。親友ジョニー・デップも登場。
映画や音楽に関するオススメ記事はコチラ!
◆映画を巡る旅に出よう!
◆クリス・ペプラーが選曲! シーン別聴きたいプレイリスト
雑誌『Safari』7月号 P195掲載
“思わず誰かに伝えたくなる映画!”の記事をもっと読みたい人はコチラ!
text : Hiroaki Saito illustration : Kaoru Sato