フカヒレで満腹になるという口福体験をフカヒレ専門店〈鰭華(きっか)〉で!
中国料理の高級食材の代表といえば、フカヒレ。独特の食感と豊富なコラーゲンがあり、スープの旨味をたっぷりと吸って、抜群の存在感がある。そんなフカヒレだけを用いたコースを味わえるのが〈鰭華(きっか)〉。2024年10月23日、世田谷区深沢の住宅街にオープンした1日1組限定の隠れ家レストラン。上質なフカヒレを堪能できるということで、さっそく食通の話題となっている。
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- アレが食べたいからこの店へ! vol.64〈鰭華(きっか)〉
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- アレが食べたいからこの店へ! Gourmet Culture
店内は全6席、1日1組限定という贅沢さ
オーナーシェフは平野鉄夫さん。フカヒレ料理の名店〈筑紫樓〉で6年経験を積んだ後、都内のシンガポール料理店で料理長を務めた。2015年に独⽴して〈東京夜市〉をオープンし、よりフカヒレにフォーカスするために今回のリニューアルに至った。
気仙沼産の肉厚なフカヒレを使用
フカヒレを知悉した平野さんが紡ぐのが、全8品の“おまかせコース”(2万9700円)。信頼できる生産者から名産地である気仙沼のフカヒレだけを仕入れている。まる一日かけて丁寧に下処理をしているので、状態も非常にいい。
“ふかひれキャビア”
“ふかひれキャビア”はシャンパーニュとの相性が抜群のファーストディッシュ。ヨシキリザメの尾びれをきれいにほぐし、光沢のある中国四川省のキャビアをたっぷりとのせた。下には、贅沢にもキャビアを裏ごしした蠱惑的なソース。キャビアに挟まれたフカヒレを適度に混ぜてから食すと、その快味がより堪能できる。
ほかではお目にかかれない珍味が“ふかひれのお刺⾝”。ヨシキリザメの腹ビレを蒸してから煮凝りにして、昆布出汁でまる一日かけて味を入れた。ゼラチン質のフカヒレだからこそ感じられる、繊細な佳味。台湾醤油、揚げたニンニク、エシャロットのソースを途中で付けたり、下に敷かれた大葉で巻いたりすれば、味変できるから試してみて。
“ふかひれ⼩籠包”
“ふかひれ⼩籠包”は、驚くほどたっぷりのフカヒレが包まれた小籠包。汁はコラーゲンたっぷりで、口に含むと幽香が広がる。フカヒレの食感を楽しめるようにと、小籠包は大きめに作られているのが、平野さんならではのひと工夫。黒酢生姜を好みで添えるといい。
“ひれオ・フィッシュ”
茶目っ気あるクリエイティブな一品が、“ひれオ・フィッシュ”。アオザメの肉をフリットして、自家製のブリオッシュ風バンズでサンドした。隠し味にスイートチリソースを加えたタルタルソースを合わせている。バンズのほんのりとした甘みが、アオザメの慎ましやかな上味に奥行きを与えている。
“ふかひれ焼きそば”は、ダイナミックに目の前で作られる。モウカザメの尾ビレの真ん中部分はしっかりとした繊維なので、まさに“そば”のよう。春雨やビーフンを食べているかのような食感で、ありえないくらいの口福。雲丹のペーストと生雲丹の濃厚な味わいに、葱油と四川の花山椒の香りが重なって、これまた箸が進む。青梗菜の茎もしゃきしゃきとしてよい食感。
“ふかひれ鍋・⻩ニラ・モヤシ炒め”
旨味たっぷりなのが“ふかひれ鍋・⻩ニラ・モヤシ炒め”。モウカザメの尾ビレの真ん中部分と、蝦夷鮑をじっくりと煮込んだ。14時間かけて作った白湯(パイタン)スープを存分に含んだフカヒレと蝦夷鮑は、妙妙たる味わいに仕上がっている。フカヒレのシャキッとした食感と蝦夷鮑の弾力あるテクスチャーのコントラストが出色。別添えで提供される、モヤシと黄ニラの炒め物もまた白眉の味わい。
“ふかひれご飯”
“ふかひれご飯”が締めの一品。ゼラチン質なモウカザメの尾ビレの端を用いているので、米の穏やかな甘みにぴったり。おかわりもできるので、たくさん食べて!
最後の“デザート”はヨシキリザメの腹ビレをトニックウォーターで戻して加えたマンゴースープ。高級中国料理のデザートでは燕の巣が定番なので、ここでフカヒレを体験できるのはかなり貴重。繊維質なフカヒレのおかげで、マンゴースープのやわらかさと弾力が際立ち、目が覚めるような“甜点(ティエンディエン)”に仕上げられている。
平野さんは2022年にソムリエ資格も取得したという才能あふれる料理人なので、料理とお酒のマリアージュも素晴らしい。
料理とお酒のマリアージュもポイント!
“カン・クレド セラー・クレド 2015”(1280円)はスペイン・カタルーニャの白ワイン。ミネラルなアロマで柑橘系の香りがあるので、小籠包やバーガーをさっぱりとさせる。日本ではなかなか流通していない辛口の紹興酒が、“会稽山 干純18”(1880円)。ドライでありながらも、旨味とコクがしっかりとある。濃厚な煮込み料理にも負けず、ロックで飲めばさらに香りが立って閑雅な味わい。
フカヒレ尽くしというだけでもサプライズなところ、ほかでは味わえないような料理ばかり。席数はかなり限られているし、すぐ予約困難店になりそう!
●おまかせコース全8品 2万9700円
※予約は2〜6名(2名の場合はチャージ料あり)
ふかひれキャビア
ふかひれのお刺身
ふかひれ小籠包
ひれオ・フィッシュ
ふかひれ焼きそば
ふかひれ鍋・黄ニラ・モヤシ炒め
ふかひれご飯
デザート
●鰭華(きっか)
住所:東京都世⽥⾕区深沢5-6-16 グリーンハイツ深沢1F
営業時間:18:00〜20:00の間に入店
定休日:土・日・月曜
TEL:03-6411-6873
URL:https://www.instagram.com/kikka_fukahire
※サービス料込み
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1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。