1997年の『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』から8年後、バットマンの実写作品を改めてスタートさせたのは、クリストファー・ノーラン監督だった。『メメント』(00)や『インソムニア』(02)での独創的な演出で、映画ファンの間で一気に知名度が高まっていたノーラン。その作風から、バットマンのシリーズは、以前の作品と違ってシリアス&ダークに進化すると予感された。
新たにバットマン/ブルース・ウェイン役を任されたのは、クリスチャン・ベール。スティーヴン・スピルバーグ監督の『太陽の帝国』(87)で主役に抜擢されて以来、演技派スターの道を進んできたベール。直前の『マシニスト』(04)では役作りのため、骨と皮の肉体へ激痩せするなど、演技へのこだわりはハリウッドでもトップクラス。このベールのキャスティングも、バットマンの新たな方向性を示すことになった。
大富豪の家に生まれたブルース・ウェインは、幼い頃に井戸でコウモリの大群に出会う。さらに目の前で両親が殺害され、そのトラウマを抱えたまま成長した彼は、犯罪者の心理を知るために旅立ち、ヒマラヤの奥地に潜む“影の同盟”で心身を鍛える。その後、ゴッサムシティに戻ったブルース。悪と戦う自分の使命を認識し、バットマンのマスクとコスチュームを身につけると決意するのだった……。
タイトルの“ビギンズ”が示すように、バットマン誕生のストーリーが描かれる本作。悩める青年がヒーローとして覚醒するストーリーなのだが、安易にシンパシーを感じさせないところも作品の魅力になっている。ゴッサムシティの風景も徹底してダークなビジュアルで再現されるし、ブルースの“お金持ち”としての傲慢な振る舞いなども描かれ、前シリーズとは明らかに違う不穏な空気が漂う。
共演者にも超実力派スターが集結。ブルースの親代わりとなった執事のアルフレッドに、マイケル・ケイン。バットマンのアーマーや車といった装備を開発するルーシャスにモーガン・フリーマン、ゴッサムシティの警部補でバットマンに協力するゴードンに、ゲイリー・オールドマンと、オスカー俳優が勢ぞろい。公開当時、日本で話題になったのは、ヒマラヤで出会う“影の同盟”のラーズ・アル・グール役。『ラスト サムライ』(03)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた渡辺謙が演じたからだ。
ゴッサムシティのマフィア組織ともつながる精神病院の医師で、宿敵となるスケアクロウとの闘いや、ブルースと、幼なじみであるレイチェルのラブストーリーも、とことんシリアス。多くの人が、それまでのアメコミヒーロー映画の常識が変わったと感じたのも無理はない。クライマックスのバトルは破格のスケールだし、終盤には、あのジョーカーの存在も予告され、次回作への期待を大いに高めた。“ダークナイト・トリロジー(3部作)”の中で本作を絶賛する人は少ないものの、バットマンの基礎を知るうえで最適な一本なのは間違いない。改めて観れば、後の展開へのさまざまな伏線も発見できる。
『バットマン ビギンズ』
監督・脚本/クリストファー・ノーラン 出演/クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、ケイティ・ホームズ、ゲイリー・オールドマン、渡辺謙、モーガン・フリーマン
2005年/アメリカ/141分
世界興行収入/3億7366万1946ドル
※Box Office Mojo調べ
ふりかえっておきたい! 1989年『バットマン』
ふりかえっておきたい! 1992年『バットマン リターンズ』
ふりかえっておきたい! 1995年『バットマン フォーエヴァー』
ふりかえっておきたい!1997年『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』
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『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
監督/マット・リーヴス 脚本/マット・リーヴス、マットソン・トムリン 出演キャスト/ロバート・パティンソン、コリン・ファレル、ポール・ダノ、ゾーイ・クラヴィッツ、ジョン・タトゥーロ、アンディ・サーキス、ジェフリー・ライト
photo by AFLO