クリント・イーストウッド×SF=『スペース カウボーイ』
製作年/2000年 製作・監督・出演/クリント・イーストウッド 出演/トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド
老人たちが宇宙を目指す!
旧ソ連時代からロシアが使用していた通信衛星が、故障により制御不能に。当時の技術を知る技術者のほとんどが世を去っており、元米空軍パイロット、フランクに、そのミッションが回ってくる。若い頃、宇宙開発に貢献するも、史上初の宇宙飛行士になる夢を断たれたフランクは当時の飛行士仲間3人と再び手を組み、ミッションに取り組む。彼ら4人の老人たちは、過酷な任務に向けて猛特訓を積み重ね、ついに宇宙へ飛び立つが……。
老雄クリント・イーストウッドが宇宙飛行士という意外な役に挑みつつ、監督を兼任。元宇宙飛行士候補生だったとはいえ、そもそも老人たちを宇宙に飛ばすのは現実的ではない。しかしイーストウッドは、宇宙に飛ぶのが彼らでなければならない設定を用意。腰痛や老眼といった老いをユーモアに転化しつつ、それを乗り超えて50年来の夢をかなえようとする男たちの熱きドラマを紡ぐ。飛行士のひとりに扮した、こちらもベテラン、名優トミー・リー・ジョーンズの名演も忘れ難い。
デンゼル・ワシントン×SF=『バーチュオシティ』
製作年/1995年 監督/ブレット・レナード 脚本/エリック・バーント 出演/デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ
デンゼルとラッセルが共演!
犯罪者の人格をデータ化し、撃退法を研究する画期的なバーチャルリアリティ装置から、凶悪犯罪者のAIモデル、シド6.7が実体を得て現実世界へと逃亡。この脅威を排除すべく、かつて装置の実験台としてシドと戦ったことがある囚人バーンズが特赦と引き換えに、追跡にあたることに。パーチャルリアリティの世界から抜け出した不死身の悪党を逮捕することができるのか!?
全編アップテンポで、よい意味でB級感たっぷりの佳作。アカデミー賞俳優デンゼル・ワシントンが主人公バーンズを演じているのがミソ。かつて妻子を殺されたバーンズは、その犯人の人格を宿すシド6.7に怒りを燃やす。そういう意味では復讐のドラマでもあり、デンゼルらしい人間味も活きる。一方で注目したいのが、当時売り出し中で、のちに『グラディエーター』でアカデミー賞俳優となるラッセル・クロウの、シド役の妙演。息を吸うように悪事を重ねる軽やかなヴィラン像は、今では想像できない!?
シャーリーズ・セロン×SF=『イーオン・フラックス』
製作年/2005年 監督/カリン・クサマ 脚本/フィル・ヘイ、マット・マンフレディ 出演/シャーリーズ・セロン、マートン・ソーカス
シャーリーズの初々しいアクションが光る!
新種のウイルスにより人類の99%が死滅してから400年後の25世紀。復興したように見える世界で、人々はワクチン開発者の子孫による圧政に人々は苦しめられていた。妊娠中の妹を政府によって殺された女性イーオン・フラックスは反政府組織最強の戦士となり、復讐のための戦いに乗り出す。しかし、彼女には独裁者をどうしても殺すことができなかった。そこには驚くべき秘密が……。
MTVで放映されたアニメシリーズに基づくヒロインアクション。シャーリーズ・セロンは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』をはじめとするアクション映画でタフな女性を演じているが、その原点は『モンスター』でアカデミー主演女優賞を受賞した後に主演した本作だ。抜群の身体能力を誇る女戦士を、しなやか、かつスピーディな立ち回りとともに熱演。意外な事実を受け入れ、さらなる戦いへと突き進むヒロインの姿は、『ブラック・ウィドウ』などの強いヒロイン像にも連なる。
リーアム・ニーソン×SF=『ダークマン』
製作年/1990年 原作・監督・脚本/サム・ライミ 出演/リーアム・ニーソン、フランシス・マクドーマン
怒りの超人パワーでスーパーヒーローに変身!
主人公は人工皮膚の研究に勤しむ天才科学者ペイトン。弁護士である恋人が絡んだ事件に巻き込まれ、ギャングに襲撃された彼は、身元の判明ができないほどの大火傷を負い、特殊治療を受ける。火傷の痛みは消えたが、感情の制御ができず、怒りだけが増幅され、それは彼に超人的なパワーを宿らせることに。やがてペイトンは正体不明のスーパーヒーロー、ダークマンとなり、恋人を危機から救うために壮絶な戦いに身を投じる。
『シンドラーのリスト』のような重厚なドラマの一方で、『96時間』などのアクションもこなすベテラン、リーアム・ニーソンだが、そんな彼のアクションヒーローの原点といえば、やはりこの作品。いら立ちや怒りなどの感情の起伏を表現し、異形のスーパーヒーローに説得力をあたえた。ちなみに監督のサム・ライミは後に『スパイダーマン』シリーズで売れっ子になり、ヒロイン、フランシス・マクドーマンドは3度のアカデミー賞に輝くなど、ニーソン以外にもブレイクスルー映画人を輩出。
エイドリアン・ブロディ×SF=『プレデターズ』
製作年/2010年 製作/ロバート・ロドリゲス 監督/ニムロッド・アーントル 出演/エイドリアン・ブロディ、アリシー・ブラガ
エイドリアンがタフな男を熱演!
謎の閃光に導かれ、どこかもわからないジャングルにパラシュートで着地した人々。見ず知らずの彼らは兵士や工作員、暗殺者、殺人犯で、殺人を得意にしていることに共通点があった。実は、この場所は狩猟エイリアン、プレデターの母星で、彼らは地球から拉致された狩りの標的だった。傭兵のロイスは絶望的な状況下で、プレデターへの抵抗を続け、サバイバルとともにこの星からの脱出を図る。
SFシリーズの人気キャラであるエイリアン、プレデターを題材にしたシリーズの第3作。抵抗する人類に扮した俳優の中でも、『戦場のピアニスト』でアカデミー主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディが、その繊細な個性とは逆を行く、タフな傭兵ロイスに扮しているのが面白い。観察力に優れ、リーダーシップを発揮するばかりか、銃やナイフ使いも鮮やかにサバイバルを図る男。まさにアクションヒーローそのものの大熱演!
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