『パパVS新しいパパ』
製作年/2015年 製作・出演/ウィル・フェレル、アダム・マッケイ 監督/ショーン・アンダース 出演/マーク・ウォールバーグ、リンダ・カーデリニ
継父VS実父! 子どもが懐くのはどっち!?
シングルマザーと結婚し、彼女の連れ子であるふたりの子どもの継父となった、子煩悩なブラッド。子どもたちがようやくなついてきたある日、彼らの実父ラスティが現われる。彼の望みは家族との生活をやり直すことだった。
ワイルドでセクシーで、子どもを喜ばすことも上手なラスティの横やりに、ブラッドは幸せが脅かされそうで気が気ではない。そんな焦りが、やがて思わぬ騒動を引き起こし……。
家庭事情が離婚によって複雑化する、そんな現代の風潮を背景にしたファミリーコメディ。父親として、そして夫として認められたい実父と継父の争いがドラマの主軸。タフガイの実父はルックスも魅力的で、気弱な継父はそんなライバルにコンプレックスを抱き、不器用な性格も手伝ってミスを多発。
子どもを思う気持ちは負けていないが、やることなすことうまくいかないのが歯がゆい。人気コメディ俳優ウィル・フェレルと、『テッド』のマーク・ウォールバーグの絶妙のかけ合いともども注目!
『ボルグ/マッケンロー氷の男と炎の男』
製作年/2017年 監督/ヤヌス・メッツ 出演/スベリル・グドナソン、シャイア・ラブーフ、ステラン・スカルスガルド
ライバルを倒すには冷静であるべきか? 情熱的であるべきか?
1980年、テニス界最高峰の競技会ウィンブルドンは、スウェーデンの天才ビョルン・ボルグが5連覇を果たすのかに注目が集まっていた。最大のライバルは、世界ランキング2位にまで上り詰めた二十歳のジョン・マッケンロー。コートでの多くの暴言で“悪童”と呼ばれていた彼はウィンブルドンでも態度を変えず、観客のブーイングを浴びながらも勝ち続ける。一方のボルグは調子が上がらないながらも連勝。そして決勝戦、両雄が激突する!
絶対王者と天才的な挑戦者、冷静沈着なヒーローと素行不良の悪者……テニス史に残るライバル、ボルグとマッケンローにはそんなイメージがつきまとっていたが、本作は必ずしもそれが正しくないことを明かす。
試合時にはクールなボルグはプレッシャーに弱く、愛する者を傷つけることもある。一方、コートの悪童マッケンローはホテルに戻ると遊びにも行かず、ひとりで黙々と次の試合のプランを練っていた。そんな両者の勝利への執念がぶつかるクライマックスは、まさしく圧巻。手に汗握って見守るべし!
『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』
製作年/2018年 監督/ジョージー・ルーク 出演/シアーシャ・ローナン、マーゴット・ロビー
ライバルだからこそ、わかりあえることがある!?
1561年、フランス国王の逝去により、未亡人となったメアリーは帰郷し、故国スコットランドを統治することに。イングランドの女王エリザベスは、これを脅威に感じていた。というのも、メアリーは正当なイングランドの王位継承権を持つ血筋だったから。
ただでさえ封建的な世では女性による国家の統治はままならない。エリザベスとメアリーは、それぞれの国の問題に対処しながら、政治的な駆け引きを繰り広げる。
分割統治されていた中世イギリスの女王たちの葛藤を描いた歴史ドラマ。当時のイングランドとスコットランドは敵対国というわけではないが、国益次第では意見を異にすることもあった。
そんな難しい状況下で女王という大役を担ったふたりの女性をクローズアップ。政治という男社会のなかで、彼女たちがどれほど苦闘してきたか? 同じような経験をした彼女たちでしかわかりえない経験。ライバルでありながら、共鳴によって生じる絆が印象深い。
『エジソンズ・ゲーム』
製作年/2019年 監督/アルフォンソ・ゴメス=レホン 出演/ベネディクト・カンバーバッチ、マイケル・シャノン、ニコラス・ホルト
駆け引きに裏工作! 勝つためなら手段も選ばず!?
テクノロジーの進化が進む1880年代のアメリカ。実業家のジョージ・ウェスティングハウスは電力社会の未来を考え、天才発明家トーマス・エジソンと面会の約束を取り付けるが、傲慢なエジソンはこれを拒絶。これが両者の因縁の始まりだった。
やがて電力供給の方式をめぐり、エジソンは直流こそが安全な方式と主張。一方、ウェスティングハウスは安価な交流式に可能性を見出す。両者は主張を譲らず、自説を証明すべく、実験・開発を重ね……。
歴史に名高い“電力戦争”の裏側を事実に基づいて描いたドラマ。エジソンもウェスティングハウスも送電開発に対して並々ならぬ情熱を持っているが、性格は正反対だ。リベラルで人情家の後者に対して、前者は独善的。ライバルを激しく非難して陥れることもいとわない。
そう、ここで描かれるエジソンは偉人ではなく、むしろヴィラン。もちろん、その偉業が消えるわけではないが、伝記には載らない複雑な人間性が出ている点が面白い。
『対決』
製作年/1990年 監督/ジョン・フランケンハイマー 出演/ロイ・シャイダー、ユルゲン・プロホノフ
対決もほどほどにしないと大事に発展することも!
舞台は東西冷戦末期、米ソ両軍がにらみ合っている西ドイツとチェコの雪深い国境地帯。チェコから亡命しようとした者を目の前で射殺された米軍指揮官の大佐が、メンツをつぶされたことにいらだち、ソ連軍の陣地に潜入してイタズラを仕掛ける。
これに怒ったソ連軍の大佐が、今度は逆に米軍基地に潜入してジープを破壊。この指揮官ふたりの大人げない(?)対立は、どんどんエスカレートし……。
『影なき狙撃者』などの硬派な作品で鳴らしたジョン・フランケンハイマー監督による異色戦争ドラマ。といっても、合戦も戦火もない。あるのは頑固な米ソ指揮官の対立のみ。冷戦終結が見えたことで平和への気運が高まる中、コチコチの軍人精神を持つ彼らは過去の遺物になりつつあった。
しかし、売られたケンカは買わねばならない。そう、これは当事者たちがたまたま敵国の軍人であった……というだけの、ただのケンカ。そこにドラマを見出した点に、フランケンハイマーの硬派な視点を感じる。
Photo by AFLO