異世界からの脱出方法を教えます!?
大人も楽しめるファンタジー映画5選!
何が起こるかわからない、この世の中。扉を開けたら、あるいは路地を曲がったら、突如光に包まれて異世界に迷いこむ、なんてことが起こらないとは限らない。そのため、異世界からの脱出方法を身につけておくのが大人の嗜み。そこで、脱出方法が学べるファンタジー映画を5本セレクト。これさえ学べば、異世界は怖くない?
『アリス・イン・ワンダーランド』
製作年/2010年 製作・監督/ティム・バートン 出演/ジョニー・デップ、ミア・ワシコウスカ、アン・ハサウェイ
【迷い込む場所:不思議の国】
まずは勝負に勝つこと!
“異世界へ入る”というのは、ファンタジーの鉄板要素。この設定を使って19世紀に名作文学となったのが、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』。ディズニーのアニメを経て実写になった今作では、めくるめくる異世界の冒険にキモかわいいキャラも多数登場し、カラフルに展開していく。物語は原作およびアニメ版の13年後。19歳になったアリスが、白ウサギを追って久しぶりに入り込んだ不思議の国は様変わり。自分が不思議の国の救世主だと知ることになる。
監督はティム・バートンなので、ファンタジックな世界が、どこかダークで不気味なテイストも放ち、大人も魅了。劇場公開時は日本でも興収118億円という、まさかの特大ヒットを記録した。帽子屋の怪人キャラ、マッドハッターを、ジョニー・デップが特異な役作りで演じたことも大きな話題に。強烈な女王たちのインパクトや、声優を担当したスターたちをモーションキャプチャーでCGキャラにした映像など見どころが多い。
【どうやって現実へ戻ってきた?】
救世主のアリスは、恐るべき怪物との戦いに勝利。不思議の国に残るという選択肢もあったが、自らの意思で怪物の血を飲むことで、現実世界へ戻った。戦いの勝利が脱出の条件。
『ジュマンジ』
製作年/1995年 監督/ジョー・ジョンストン 出演/ロビン・ウィリアムズ、ジョナサン・ハイド、キルステン・ダンスト
【迷い込む場所:ボードゲーム】
ゲームのクリアを目指すしかない!
異世界は異世界でも、この映画が描くのはボードゲーム(盤上ゲーム)の世界。しかもゲームを始めると、その世界が現実になるという、公開当時は超斬新なシチュエーションで観客を驚かせた。引越し先の屋根裏部屋で見つけたボードゲーム『ジュマンジ』。幼い姉弟が駒を使って遊んでみたところ、ジャングルの動物たちが出現。26年前にジュマンジで遊んで、その世界に取り残されたまま大人になったアランとともに、ゲームを封印しようと奮闘する。
ライオンや象など猛獣が屋敷の中を暴走したりと、90年代の作品としては先進的だったパニック映像は、いま改めて観ても古くささを感じない。そして26年前のアランの運命は、ちょっと心を締めつける部分があったりして、大人のドラマとしても輝きを放っている。26年後のアランを演じるのが、今は亡きロビン・ウィリアムズなのも感慨深いのだ。2017年にはドウェイン・ジョンソン主演でリメイク。こちらはゲーム世界に“入り込む”感覚を強調して映像化。続編も作られた。
【どうやって現実へ戻ってきた?】
ゲームのゴール地点で“ジュマンジ”と唱えることで、ゲームから現れた動物やキャラクターが元の世界に吸い込まれ、封印。ルールをクリアすれば脱け出せる、ということ。
『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』
製作年/2005年 原作/C・S・ルイス 監督・脚本/アンドリュー・アダムソン 出演/ティルダ・スウィントン、リーアム・ニーソン
【迷い込む場所:ナルニア国】
“来た道で戻る”方法も忘れるな!
「異世界に入る」という行為が、あまりにもストレートに使われ、世界的なファンタジー文学となったのが『ナルニア国物語』。映画版はシリーズ3本が製作されたが、この1作めがすべての原点として際立っている。戦争のために田舎に疎開してきた4人の兄弟姉妹が、疎開先の屋敷から別世界のナルニア国へ迷い込んでしまう。ナルニアに通じているのが、古いクローゼットの扉。いかにも異世界への入り口という設定が絶妙で、観ているこちらも子供たちの目線になってしまうのだ。
ナルニア国には、下半身が動物のタムナスさんや、邪悪な白い魔女、王として君臨するライオンのアスラン、サンタクロースなど、まさにファンタジーの住民というキャラクターが総登場。しかもナルニアで経過する数年の時間が、現実では数分しか経過していなかったりと、異世界の不思議な感覚を届ける作品になっている。子役たちの名演技とともに、まっさらな気分で壮大な世界観と意外なまでに大スケールのアクションを味わってほしい。
【どうやって現実へ戻ってきた?】
ナルニア国で4つの王座に就いた4きょうだいが、大人に成長した後、森でクローゼットの扉を発見。それを開けると現実の世界で、彼らは子供に戻る。“来た道を戻る”というシンプルな脱出法。
『トロン:レガシー』
製作年/2010年 原案/アダム・ホロウィッツ 監督/ジョセフ・コシンスキー 出演/ギャレッド・ヘドランド、ジェフ・ブリッジス、オリヴィア・ワイルド
【迷い込む場所:コンピューター・システム】
頭脳と体力をフル回転させろ!
『ジュマンジ』では“ゲーム”という異世界が現れたが、それをさらに進化させたような世界観が、この作品。主人公のサムが入り込むのは、コンピュータ・システムの世界だ。入り口となるのが、失踪したサムの父親が営んでいたゲームセンター。そのゲームセンターの電話番号から、ポケベルに謎のメッセージが届く。閉鎖されたゲームセンターへ向かったサムは、地下にある秘密の部屋から異世界“グリッド”へ移動し、命がけの危険なゲームを強制され、クリアしていくことになる。
1982年、長編映画としては初めてCGを本格的に使った映画『トロン』の続編ということで、この作品にも3Dを意識したスペクタクルで革新的な映像世界が展開。最新型のアミューズメントパークを疑似体験しているようだ。ライトサイクルやディスクを駆使したバトルは、暗闇に輝くネオンがカッコよく、ゲーム好きな人のマニア心をくすぐるのは確実。物語としてはツッコミどころもあるのだが、デジタルワールドの映像美という点では、期待を裏切らない一作だ。
【どうやって現実へ戻ってきた?】
グリッドと現実世界を行き来できる“ポータル”という出入口は、現実側からした開くことができない。グリッド側から開くにはサムの父が持つディスクが必要。体力&頭脳プレーが脱出を左右する!?
『マルコヴィッチの穴』
製作年/1999年 監督/スパイク・ジョーンズ 脚本/チャーリー・カウフマン 出演/ジョン・キューザック、キャメロン・ディアス、ジョン・マルコヴィッチ
【迷い込む場所:ジョン・マルコヴィッチの脳内】
ある一定の法則を見つけ出せ!
異世界の映画の中でも、とくにシュールな感覚を味わえる、珍作にして傑作として語り継がれている一本。定職を探す人形使いのクレイグが面接で訪れたのは、7階と8階の間にあり、腰を屈めないと歩けないほど天井が低いフロアにある会社。書類整理の仕事をもらった彼が、会社のキャビネットの裏に扉を発見。その奥の穴に吸い込まれたクレイグが着いたのは、なんと、俳優ジョン・マルコヴィッチの“脳内”だった!
その騒動を知ったジョン・マルコヴィッチ本人が現れて穴に入ろうとしたり、さらに無数のマルコヴィッチが出てきたりと、呆気にとられる展開の連続。クレイグとマルコヴィッチが一体化することで、中盤からはさらに奇想天外なドラマへとなだれ込み、ややポカーンとする後味も、これはこれで独特。ブラッド・ピットが本人役で登場するなど遊び心たっぷりの演出は、『her/世界でひとつの彼女』などの鬼才、スパイク・ジョーンズ監督が手がけた。
【どうやって現実へ戻ってきた?】
マルコヴィッチの脳内からは、ある一定の時間が過ぎれば現実に戻されるのだが、その方法は謎。空中に放り出されて、関係ない場所に落下する、という感じ。異世界からの脱出に、ルールは存在しない!
Photo by AFLO