休日はアートで自分磨きをしてみよう!
〈シャネル・ネクサス・ホール〉が贈る、個性あふれるフォト・パフォーマンス!
桜の季節も去り、徐々に暖かい日が増えてきたこの頃。休日は自然と外出をしたくなってきた。アクティブ好きにとっては海や山などアウトドアが楽しめる季節だが、たまにはゆっくりと頭と心を落ち着かせて自分磨きをする休日があってもいい。そんな気分にフィットするのが、アートだ。そこで、昨年20周年を迎えた“シャネル・ネクサス・ホール”が主催する個性的な写真展を見に行くのはどうだろう。
その展覧会の主役が、インド出身のアーティスト、プシュパマラ N。プシュパマラの作品の特徴は、自らが様々な役柄に扮して物語を作り上げるフォト・パフォーマンスが中心。それらは、女性像の構築や国家の枠組みといったものがテーマであり、美術史、アーカイブ資料、大衆文化から象徴的なイメージをもとに再現するというものだ。それにより、見るものに深く考えるきっかけを投げかけ、新たな視点を生み出している。今回、このプシュパマラの作品を京都と東京の2拠点で展開。
こちらでは、近年テート・モダンで展示された“The Arrival of Vasco da Gama”に加え、“Mother India”、“Avega~The Passion”を含む3つの主要作品シリーズが見られる。
©Pushpamala N
プシュパマラが自ら男性の主役に扮した作品。ベースとなった絵画は、ヴァスコ ダ ガマの公開400周年を記念して製作されたポルトガルの画家、ヴェローゾ サルガドの『Vasco da Gama perante o Samorim de Calecute(カリカット王ザモリンの前のヴァスコ ダ ガマ)』(1898)。出演者はオリジナルをほぼ再現。この再演という方法によって、プシュパマラはサルガドの想像による創作が、後に歴史的正当性を付与されたという過程を逆転させ、フィクション、プロパガンダの粋にまで戻している。
©Pushpamala N
“Mother India”は、インドの最も通俗な歴史を連想させるひとつ。イギリスの支配下にあった時代、その支配から国民意識を奮い立たせるシンボルとして広まったもの。プシュパマラは2000年代初頭から、歴史を通して登場した様々なイメージを再現している。たとえば、家父長制が根強く残る社会では女性抑圧が行われているのが現状だが、このシリーズを通して、インドは母であり女神、勇ましく力強い姿として表現している。
©Pushpamala N
紀元前3~2世紀にサンスクリット語で書かれた古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』のフェミニスト的批評を表現した作品。見過ごされがちな3人の主要な女性登場人物の役柄を演じることで、プシュパマラはこの物語における男性人物に焦点を当てるという、伝統的な手法に挑んでいる。
いかがですか? プシュパマラ自身が作り上げた幻想的な空間を舞台にしたこのシリーズは、それぞれ異なる視覚表現が楽しめる。3つに分かれた、プシュパマラの綿密な歴史研究と政治的論評を含んだフォト・パフォーマンス。各セクションで見て感じる自分の思考と感性をブラッシュアップしてみるのも、いい休日の過ごし方ではないだろうか。
京都に続き、6月27日(金)からは、東京。銀座の“シャネル・ネクサス・ホール”で展覧会を開催。プシュパマラがフォト・パフォーマンスを手掛けた最初のシリーズや、インド美学における9つの感情“ラサ”をテーマに演出されたセルフポートレイト作品など、日本国内初展示作品がずらりと揃うから、この機会に是非、足を運んでほしい。
●KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭
Dressing Up: Pushpamala N presented by CHANEL Nexus Hall
会場:京都文化博物館 別館
住所:京都府京都市中京区三条通高倉西入菱屋町48
会期:2025年4月12日(土)~5月11日(日)
開館時間:10:00~19:00
休館日:4月14日(月)、4月21日(月) 、5月7日(水)
入場料:1200円
https://nexushall.chanel.com/program/2025/kyotographie2025/
●Dressing Up: Pushpamala N
会場:シャネル・ネクサス・ホール
住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
会期:2025年6月27日(金)~8月17日(日)
開館時間:11:00~19:00(最終入場18:30)
入場料:無料・予約不要
https://nexushall.chanel.com/program/2025/dressingup/