【映画まとめ】アラン・パーカー監督作品3選!
『Safari Online』で配信してきたアラン・パーカー監督作品をまとめてご紹介!
『ミッドナイト・エクスプレス』
製作年/1978年 原作・ウィリアム・ホッファー、ビリー・ヘイズ 監督/アラン・パーカー 脚本/オリバー・ストーン 出演/ブラッド・デイビス、アイリーン・ミラクル、マイク・ケリン、ジョン・ハート
海外で収監されるとどうなる!?
実話を基にした映画は、大きな波紋を起こすこともある。映画を面白くするために、事実に反するエピソードをどこまで入れていいのか? つまり“脚色”が許されるかが問題になるが、本作はそんな一本。アメリカ人旅行者のビリー・ヘイズが、麻薬不法所持のためにイスタンブール空港で拘束される。トルコの刑務所に入れられた彼は、所内で過酷な試練を強いられたうえに、刑期が30年に決定。脱獄を試みることに……。原作となったのは、事件の当事者となったビリーの手記。1970年に逮捕され、1975年に脱獄を決意。そして映画が1978年に完成と、時代をリアルに再現した作りは、いま観ても色褪せない。
ビリーが看守に性的暴行を受けるなどショッキングな描写も多いが、このあたりはビリーの手記の真偽が論争になった。ただ、麻薬に厳しい国での過ちは人生を台無しにするという教訓を、この映画が日本をはじめ世界に知らしめたのは事実。その意味で公開当時は大きな話題になった。ビリーが恋人と面会するシーンは、今も語り草。異様なレベルで心をざわめかせるので、ぜひその目で確認してほしい。本作がきっかけではないが、完成直後に、アメリカとトルコの犯罪人引き渡し条約が締結され、その意味でも重要な“実話映画”である。
『ミシシッピー・バーニング』
製作年/1988年 監督/アラン・パーカー 出演:ジーン・ハックマン、ウィレム・デフォー
骨太な視点で激動の時代を描く一作!
1964年、ミシシッピー州でアフリカ系の青年と公民権運動家らが行方不明になり、後に射殺体で発見された事件を基にしたサスペンス。これに対処すべくFBIが送り込んだのは、ウィレム・デフォー演じる若手エリートと、ジーン・ハックマン演じるベテラン捜査官だ。片や北部出身の理想に燃える男で、片や南部出身でこの地の社会や人々の心理も知り尽くした男。このなかなか噛み合わないタッグぶりが物語を力強く加速させる。
当時はアフリカ系アメリカ人の権利獲得のため公民権運動が激しさを増していく時代だが、それに対してKKKなどの過激な差別主義者たちは猛烈に反発。舞台の街では保安官までもがその古くからの考えに固執し、秘密を漏らした者には肌の色に関わらず容赦なき制裁が振るわれていく。度重なる暴力、殺人、放火。それに対応してFBIからは更なる大要員が配備され、さながら戦争のごとき“大炎上”へと転じていくさまは壮絶だ。この事件に出口はあるのか。鍵を握るヒロイン役として、若手時代のフランシス・マクドーマンドが好演しているのも見逃せない。
『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』
製作年/2003年 製作・監督/アラン・パーカー 出演/ケヴィン・スペイシー、ケイト・ウィンスレット
事件の裏に隠された衝撃の真実!
名匠アラン・パーカーが監督を務め、死刑制度に疑問を投げかけるサスペンスドラマ。同僚女性をレイプし、殺害した罪で死刑判決を下された元大学教授のデビッド・ゲイル(ケヴィン・スペイシー)。彼の手記を作るため呼び出された記者ビッツィー(ケイト・ウィンスレット)は、彼の話を聞くうちに冤罪の可能性を感じはじめ……。
<ここからネタバレ>
物語の鍵となるのは、デビッド・ゲイルも、死去した同僚女性も死刑廃止論者であること。ビッツィーの懸命な調査により、同僚女性はデビッドに殺害されたのではなく、自ら死を選択したのだと分かる。目的は、デビッドに罪を着せて死刑へと導き、冤罪と死刑制度の関係性に疑問を呈すること。しかも、デビッド自身もその思惑を承知していたことがラストのラストで発覚! どんでん返しのオチが作品の放つメッセージに直結する秀作。