最後の結末でまさかの展開を迎える、どんでん返し映画を5本セレクト。作品紹介の後半には【ネタバレ】が含まれているので、ラストを知りたくない人は記事を読まないようにしてください。なお「あの作品が紹介されていない!」「もっと、どんでん返し映画を知りたい!」という人は、既出の記事“【まとめ】まさかのエンディングに驚愕! どんでん返し映画50本!”のチェックをお願いします!
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』
製作年/2019年 監督:ライアン・ジョンソン 出演:ダニエル・クレイグ、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス
こんな展開あり!? 奇想天外な推理劇の幕が上がる!
一風変わった語り口で観る者を心酔させる”アガサ・クリスティ風”のサスペンス。一代で富を築いた推理作家ハーラン・スロンビーが、家族を交えた誕生日パーティの翌朝に死体で発見される。捜査を託された探偵ブノワ・ブランは、聞き取りの結果、家族の誰もがハーランとの間に問題を抱えていたことを知る。その後、公表された遺言書には「全財産を(看護師の)マルタに与える」とあり、当のマルタは、事件当夜、いつも注射する鎮痛剤の瓶と間違えて多量のモルヒネをハーランへ投与し、それをかばって彼が自殺した事実に思い悩んでいた……。
【ここからネタバレ】
事件にはハーランの孫ランサムが絡んでいた。彼はハーランから遺言内容を聞かされ、ならばマルタに医療ミスを起こさせ相続を阻止しようと、こっそり薬品の中身をモルヒネとすり替えていた。が、いつも親身にハーランを看護していたマルタは、自ずと液体の色や質感で薬品を見分けて投与する癖がついており、瓶は違っても投与した中身は鎮痛剤だったことが判明する。ランサムは別の殺人容疑でも逮捕さて、晴れてマルタは、移民の娘から億万長者へと思いがけない変貌を遂げるのであった。
『バタフライ・エフェクト』
製作年/2004年 監督/エリック・ブレス&J・マッキー・グルーバー 出演/アシュトン・カッチャー、エイミー・スマート
タイムリープの傑作、ここにあり!
“バタフライ・エフェクト”という言葉をいち早く広め、なおかつタイムリープを駆使した独創的なストーリーで観客を唸らせたヒット作。主人公のエヴァンは幼い頃からしょっちゅう記憶喪失に見舞われていた。そんな彼に医師は「日記を書くように」と勧め、やがて大学生になったエヴァンはふと日記を読み返すうち、自分がその記述を介してタイムリープできることを発見。かつて思いを寄せていた少女ケイリーが自殺したのを機に、過去へ戻って、彼女の人生を狂わせた父親の虐待をやめさせるようとする。が、ひとつ過去を変えると別の悲劇が巻き起こり、事態は思いがけない方向へと転がっていき……。
【ここからネタバレ】
クライマックス、彼は終わりのないジレンマの連鎖を断ち切るべく、幼少期のケイリーとの出会いの瞬間へとタイムリープし「彼女を拒絶する」という行為に打って出る。こうして二人がずっと他人のままであり続けることで、未来の悲劇は抑止され、大人になった二人はニューヨークですれ違うも、一瞬振り返るだけで各々の道を歩いていく。ちなみにDVDには別エンディングも収録されており、作り手の側にも幾つもの世界線の試行錯誤があったことが窺える。
『スプリット』
製作年/2016年 監督/M・ナイト・シャマラン 出演/ジェームズ・マカヴォイ、アーニャ・テイラー=ジョイ
謎が謎を呼ぶ、シャマラン・ワールドの魅力が全開!
お馴染みシャマラン監督が「映画を作りはじめた頃の純粋な気持ちに戻って撮った」と語る異色作。ある日、フィラデルフィア郊外で3人の女子高生が謎の男に連れ去らわれる事件が発生。地下室に閉じ込められた彼女らを前に、この男はコロコロと人格を豹変させながら「君たちは”人間を超越した存在”のための聖なる食料だ」と告げる。果たしてその真意は何なのか? そして彼女たちは生き残れるのか?
【ここからネタバレ】
やがて時が来て、彼の肉体には24番目の人格”ザ・ビースト”が降臨。強靭な肉体、壁を軽々とよじ登る身軽さで少女たちに次々と襲い掛かる。いざ最後まで生き残った少女ケイシーの身に飛びかかろうとするビーストだったが、彼女の体に無数の傷跡があるのを見てハッと動きを止める。自分と同じく、虐待による心の痛みを抱えた仲間だと認識したのだ。その後、ケイシーは無事保護されるが、最後のワンシーンで本作が『アンブレイカブル』(2000年)の16年ぶりの続編であることが判明。この物語は3人の超人たちが集う『ミスター・ガラス』(2019年)へと受け継がれていく。
『透明人間』
製作年/2020年 監督/リー・ワネル 出演/エリザベス・モス、オリバー・ジャクソン=コーエン
目に見えない恐怖から逃げられるか!?
これまで幾度も映画化されてきた古典的題材を、見事な手腕で現代に蘇らせた怪作。物語は主人公セシリアが、彼女をがんじがらめに束縛する光学研究家の恋人エイドリアンのもとから逃げ出すシーンで幕を開ける。その後、彼が自殺したとの報が届くも、同時期にセシリアの身の回りでは不可解な現象が起こりはじめ、彼女はかつて怯え続けた恋人がまだ生きているのではと睨む。その予感は当たっていた。ある日、ついに姿を現したのは、特殊開発された透明スーツに身を包んだエイドリアンだった……。
【ここからネタバレ】
姿を消し、あの手この手でセシリアを追い詰めるエイドリアン。彼の兄トムもその仲間で、透明スーツを着て彼女らを襲撃するが、返り討ちに遭って命を落とす。終盤、意を決したセシリアはエイドリアンと対峙。会話の途中でセシリアが席を外し、部屋に一人残った彼はやがて、監視カメラが見つめる中、ナイフで自らの首をかき切って絶命してしまう。どうやらセシリアが透明スーツを使って忍びより、自殺に見せかけて復讐を遂げたらしい。こうして彼女は恋人の束縛と暴力から解放され、ついに念願の自由を手に入れるのだった。
『母なる証明』
製作年/2009年 監督/ポン・ジュノ 出演:キム・へジャ、ウォンビン
光と闇をさらけ出す重厚さに心底圧倒される
『パラサイト〜』のポン・ジュノ監督が、母なる存在が放つ強烈な”光と闇”に迫ったサスペンス。とある小さな街で女子高校生の殺人事件が発生し、現場周辺で所有物が見つかったことからトジュンが容疑者として逮捕される。この子に限ってそんなことは絶対にないと信じる母は、息子のために駆け回る中、殺された少女が多くの男と関係を結び、その全員の写真を携帯電話に保存していたことを知る。ならば事実を知られたくない誰かが、少女を殺したのだろうか……?
【ここからネタバレ】
事件解決まであと一歩かという中、トジュンの母は、犯行場面を目撃したという廃品回収業の男を見つけ出す。だが、彼が口にしたのは「犯人はトジュンで間違いない」という最初の入り口に戻ったかのような真実だった。母は激情と混乱のあまり男を殺し、その場に火を放つ。全ての真相は闇に葬られ、やがてトジュンは釈放。だが真犯人は紛れもなくトジュンであり、母もまた殺人を犯した事実は消えない。ここまでして息子を守るのは愛か、それとも狂気か。心のつかえを無くすツボに自ら針を打ち、母は狂ったように踊り続けるのだった。
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photo by AFLO