『推定無罪』
製作年/1990年 製作/シドニー・ポラック 監督/アラン・J・パラク 出演/ボニー・ベデリア、ラウル・ジュリア
苦い後味が残る大どんでん返し映画!
敏腕検事補のラスティと愛人関係にあった女性検事補が何者かに殺害される。ラスティに疑いの目が向く中、捜査の過程で浮かび上がってくる証拠は彼に不利なものばかりで……。法律家でもあるスコット・トゥローの同名小説を、『大統領の陰謀』のアラン・J・パクラが映画化。
良き父、良き夫でありながら甘い誘惑の罠に陥り、殺人犯に仕立て上げられた男をハリソン・フォードが演じている。淡々とした語り口の中に極度の緊張感がまとわりつく良質なサスペンスで、前出演作『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』のインディと本作の“追い詰められる主人公”のギャップも見どころ。苦い後味が残る大どんでん返し映画としても出色。
『今そこにある危機』
製作年/1994年 原作/トム・クランシー 監督/フィリップ・ノイス 脚本/ドナルド・スチュワート、スティーヴン・ザイリアン、ジョン・ミリアス 出演/ウィレム・デフォー、アン・アーチャー、ヨアキム・デ・アルメイダ
ハリソンらしい正義の存在感に唸る!
麻薬撲滅を掲げてきた大統領が、コロンビアの麻薬組織の一掃を指示。だが、その渦中で奔走するCIA情報担当官ジャック・ライアンはやがて、幾多の人間の思惑が絡み合う巨大な陰謀を目の当たりにすることに……。ベストセラー作家トム・クランシーの小説を、シリーズ前作にあたる『パトリオット・ゲーム』も手掛けたフィリップ・ノイス監督が映画化。ハリソン・フォードも『パトリオット・ゲーム』に続き、ジャック・ライアンを演じている。麻薬組織を巡る攻防に政治家たちの謀略が絡み合う緊迫過多な展開の中、インディ・ジョーンズに並ぶハマリ役、ジャック・ライアンと化したハリソン・フォードの“正義の存在感”が光る。
『逃亡者』
製作年/1993年 原作/デヴィッド・トゥーヒー、ロイ・ハギンズ 監督/アンドリュー・デイビス 出演/トミー・リー・ジョーンズ、ジュリアン・ムーア、セラ・ウォード
ハリソンのサスペンスといえば、この1本!
優秀な外科医リチャード・キンブルが、妻殺しの容疑で逮捕される。身に覚えのないキンブルは、護送途中に起こった事故に乗じて逃亡。自らの潔白を証明するため、真犯人だとおぼしき“片腕の男”を捜しはじめる。一方、連邦保安官補のサミュエル・ジェラードは、そんなキンブルを徹底的に追いはじめ……。往年の人気テレビドラマを映画化し、ハリソン・フォードがキンブルを、トミー・リー・ジョーンズがジェラードを熱演。決死の逃走劇を繰り広げながら真犯人を追うキンブルと、冷静かつ非情にキンブルを追い詰めていくジェラードの攻防が見どころ。ハリソン・フォード主演サスペンスを1本だけ見るなら、まずはこの作品を。
『K-19』
製作年/2002年 原案/ルイス・ノーラ 製作・監督/キャスリン・ビグロー 脚本/クリストファー・カイル 出演/リーアム・ニーソン、ピーター・サースガード
偏屈で厳格すぎる艦長を熱演!
米ソ冷戦下の1961年、ソ連の原子力潜水艦K-19が厳格なボストリコフを艦長に、部下からの信頼があついボレーニンを副艦長(リーアム・ニーソン)に出航する。しかし、艦内で放射能漏洩事故が発生。第三次世界大戦を引き起こしかねない状況の中、乗組員たちは死と隣り合わせの奮闘を強いられることに……。『ハートロッカー』のキャサスリン・ビグロー監督が、ソ連の原子力潜水艦で実際に起こった事故を映画化。好感度の高いスターたるハリソン・フォードが一見偏屈で厳格すぎる艦長を演じ、物語に緊張感をもたらしているのもポイント。潜水艦という閉鎖空間がスリルを加速させ、“潜水艦映画にハズレなし”を裏づけている。
『刑事ジョン・ブック目撃者』
製作年/1985年 原作/パネラ・ウォレス 原作・脚本/ウィリアム・ケリー、アール・W・ウォレス 監督/ピーター・ウィアー 出演/ケリー・マクギリス、ルーカス・ハース、ダニー・グローバー
真相を追う人間味ある刑事役を好演!
アーミッシュの村に住む少年が旅行中、立ち寄ったフィラデルフィア駅で殺人事件を目撃する。事件を担当することになった刑事ジョン・ブックは少年とその母親に捜査の協力を頼むが、意外な事実が明らかになり……。『いまを生きる』のピーター・ウィアーが監督を務め、アカデミー賞脚本賞に輝くなど、名作として愛され続けている1本。ハリソン・フォードがタイトルロールのジョン・ブックを演じ、“目撃者”となった少年とその母を守りながら事件の真相に迫っていく。文明から距離を置いて暮らすアーミッシュの女性と都会の刑事が立場を超えて繰り広げるロマンスも切なく、ハリソン・フォードが人間味を滲ませながら魅せる。
Photo by AFLO