美しい風景を旅気分で楽しむ!『コロンバス』
多くの観客を満足させるエンタメ王道の映画もいいけれど、“こってり系”が続いたら、その合間に“さっぱり系”もほしくなるもの。大事件や過激なアクションとは無縁の、静かな時間の流れの中で、人生の意味がしみわたってくる。そんな魅力を放つのが、『コロンバス』だ。
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『コロンバス』
胸熱なポイントは?
“新たな一歩を踏み出す勇気が湧く!”
タイトルは、インディアナ州の都市。アメリカには、同じくコロンバスという街名が多いが、今作の舞台は人口が約4万人という小さな都市。薬物中毒の母親の世話という“表向き”の理由で、大都市に出ていこうとしないケイシーと、著名な建築学者の父が倒れたことで、見舞いのために戻ってきたジン。
この2人がコロンバスのあちこちを歩きながら、ゆっくりと心を通わせ、新たな人生へ踏み出す決意を固めていく物語。立ち止まって人生を考え直したい人には、うってつけの作品なのは間違いない。
では人生に迷ってない人には退屈な映画なのか? いや、違う。コロンバスはモダニズム建築が有名で、教会や図書館、病院、庭園、ガラス張りの家など、映画に登場するあらゆる建築物が、刺激的なまでに美しいデザイン。風景を観ているだけで、妙に幸せな気分になっていく。
ケイシーは建築オタクで、ジンは建築学者の息子なので、2人の会話がガイドブックのような役割も果たしてくれる。とにかく今作を観たら、ほとんどの人がコロンバスを訪れたくなるはず。ジン役は『スター・トレック』などでおなじみのアジア系スター、ジョン・チョーなので、父親との微妙な関係など共感しやすいのもポイントだ。
『コロンバス』
監督/コゴナダ 出演/ジョン・チョウ、ヘイリー・ルー・リチャードソン 配給/ブロードウェイ
2017年/アメリカ/上映時間103分
3月14日(土)より、イメージフォーラムほか全国順次ロードショー。
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