なぜ、悪役ジョーカーが誕生したのか? 『ジョーカー』
8月のヴェネチア国際映画祭で、アメコミを原作にした映画として初のグランプリ=金獅子賞に輝いた『ジョーカー』。ご存知のとおり、バットマンの宿敵で、これまでもジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ジャレッド・レトが超インパクトある熱演を見せてきた。そして今作では、そのキャラクターに、ホアキン・フェニックスが挑み、早くもアカデミー賞受賞“当確!”なんてニュースまで出てきている。今回はジョーカーがゴッサムシティに君臨する以前の物語。悪の原点について描かれている!
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『ジョーカー』
ムネアツなポイントは?
“壮絶な人生のジョーカーに思わず共感!”
ピエロメイクの大道芸人であるアーサー。彼は、“余計なことを口に出す”、“関係ないところで笑ってしまう”という障害を抱え、社会から不適合者とみなされている。実際に暴行を受けるなど、その日常はかなり悲惨。そんなふうに社会から疎外された男が鬱憤(うっぷん)を高め、狂気の行動に出るドラマに、なぜか共感してしまうのが本作の怖さ! そして注目したいのが、1976年の名作『タクシードライバー』への濃厚なオマージュを感じる、ロバート・デ・ニーロが登場するシーン。テレビショーの司会者役なのだが、アーサーの運命を大きく変える役割を果たす。その展開は、あまりにショッキング……!
これまでのジョーカー像を、本作でさらに昇華させたホアキン・フェニックス。ほとんど全編にわたり出ずっぱりで、アーサーの孤独と豹変を見事に表現。奇怪なダンスまで披露し、ひたすら観客の目をクギづけにするはず。役のために24kgもの減量に挑み(このあたりもデ・ニーロっぽい?)、痩せ細った背中は怪人そのもの。ゴッサムシティの格差社会に苦しむ人々を扇動するアーサーの存在は、まるで現在の世相を反映しているようで、このあたりも戦慄! とにかくアメコミ映画の歴史を変えるのは間違いない大力作。この衝撃、絶対にスクリーンで体験すべき!
『ジョーカー』
製作・監督・共同脚本/トッド・フィリップス 出演/ホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロ、ザジー・ビーツ 配給/ワーナー・ブラザーズ映画
2019年/アメリカ/上映時間122分
10月4日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
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