映画『ARGYLLE/アーガイル』は奇想天外なスパイアクションに夢中になる!
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このジャンルなら、こういう結末になるだろう……。映画にはそんな“お約束”が存在する。しかし時としてルールを破るような展開で驚かせてくれるのも、これまた映画の魅力。本作はスパイアクションというジャンルながら、とんでもない仕掛けが備わった快作だ。
監督はマシュー・ヴォーン。あの『キングスマン』シリーズを手がけ、スパイアクション映画を革新した人。この新作『ARGYLLE/アーガイル』では、世界を股にかけてミッションをこなすエージェントのアーガイルが主人公ということで、監督の得意ジャンルでの演出に期待してしまう。
しかし設定は、ちょっと特殊。そのアーガイルの活躍を、作家のエリーが執筆している、というストーリーなのだ。田舎町で静かに暮らすエリーが新作のアイデアに行き詰まり、愛猫を連れて列車の旅に出たところ、何者かに命を狙われる。スパイ小説の作家がなぜ? というサスペンスが、とんでもない方向&スケールへとなだれ込んでいき、観ているこちらは呆気に取られながら、映画のマジックにかけられる。そんな奇想天外な体験が本作の持ち味。
主人公の書くスパイ小説の世界が、現実に入り込んでくる感覚なので、ちょっと混乱に誘われるものの、マシュー・ヴォーン監督らしい豪快なノリに身を任せれば心配不要。『キック・アス』や『キングスマン』でも発揮されたように、見せ場のアクションに軽快なポップソングを重ねるヴォーンの演出は、シンプルにこちらの気分を爽快にさせる。
相変わらず色使いも派手だし、過去のどんなアクション映画でも観たことのない超絶シーンも用意。視覚で楽しませる、この監督のセンスを満喫したい。「この人が、こんな役?」という意外性のあるキャストが多いなか、一人注目を挙げるとしたら、グラミー賞ミュージシャンのデュア・リパ。ふだんの黒髪の彼女が、ブロンドの国際的テロリスト役で、出てくるなり場をさらう。『バービー』にも人魚役で異彩を放っていた彼女の、俳優としてのオーラを浴びまくってほしい!
『ARGYLLE/アーガイル』3月1日公開
製作・監督/マシュー・ヴォーン 脚本/ジェイソン・フュークス 出演/ヘンリー・カヴィル、ブライス・ダラス・ハワード、サム・ロックウェル、ブライアン・クランストン、キャサリン・オハラ、デュア・リパ、アリアナ・デボーズ、ジョン・シナ、サミュエル・L・ジャクソン 配給/東宝東和
2024年/イギリス・アメリカ合作/上映時間139分
© Universal Pictures