天才シェフと新人シェフが凌ぎあう『ハンガー:飽くなき食への道』は緊張感がたっぷり!
- SERIES:
- 今週末は、この映画に胸アツ!
- TAGS:
- 今週末は、この映画に胸アツ! Culture Cinema
料理がテーマになっている映画は、それだけで鑑賞意欲がソソられる。ドラマ自体を超えて、食欲が刺激される感覚を求めている人が多いからかも……。ここ数年、意外な傑作映画が次々と登場している国、タイで作られた本作も、その欲求を完璧に満たしてくれるはずだ。
バンコクの旧市街にある、家族経営の小さな食堂。そこで料理を任されているのが、20代のオエイ。ある日、食堂を訪れた客にその腕を見込まれた彼女は、超高級料理を提供することで知られるシェフチーム“ハンガー”で働くことに。
一流シェフへの道が約束されたオエイだが、ハンガーを仕切るポールは、独創的レシピの開発者ながら、スタッフには完璧を求め、その指導はスパルタ的。過酷な状況でオエイは自身の限界に挑んでいく。数々のハードルを乗り越える“スポ根”的なノリもあり、理想と現実、同僚や家族との関係など、主人公の気持ちに入り込みやすいのが、この『ハンガー』の魅力だ。
もちろん大きな見どころは、斬新なレシピの数々。ロブスターを石に載せ、灰色のソースで仕上げる、ちょっぴり怪しい見た目の料理も冒頭から登場するが、それを食べる人々の感激の表情から、味へのイマジネーションが止まらない!
ハンガーは基本的に出張で料理をサービスするので、暗号資産で儲けた若者のパーティーや、大金持ちの自宅、ワケありの場所など行く先々での工夫やアレンジでも楽しませてくれる。
映画の後半は、オエイの運命も意外な方向へ進み、料理修行の向こう側にあるメッセージも浮かび上がってくる。お金さえ払えば、本当に美味しいものが食べられるのか。仕事で成功すると大切な何かを失っていないか。そんなテーマが物語にすっきり溶け込んだ印象。
オエイ役は、高校生のカンニング犯罪を描き、日本でも話題になった『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』でも主演を務めたチュティモン・ジョンジャルーンスックジン。そのクールな表情に誰もが魅せられることだろう。
『ハンガー:飽くなき食への道』ネットフリックスで配信中
原案・監督/シティシリ・モンコルシリ 脚本/コンデート・ジャトゥランラッサミー 出演/オークベープ・チュティモン、ノパチャイ・チャイヤナーム、ガン・スワスティ、ブミバット・タウォンシリ
2023年/タイ/視聴時間130分
Netflix映画「ハンガー 飽くなき食への道」4月8日より独占配信