なんとな〜くカラダがビジネスモードに戻りきらず、倦怠感を覚えている人も多いのでは? そんなときこそ、次の休暇に想いを馳せられるような(?)ハッピーなクルマに乗りたくなるってモノ。ならば、“バカンスのために生きている”なんていわれるフランス人を見習って、こんなフランス産SUVはどう?
それが〈ルノー〉カジャーだ。キャッチフレーズも魅惑的で、ズバリ“人生にアクティブバカンスを”というもの。バカンスのことばっかり考えて生きている人種が、バカンスのためのクルマを作っちゃったらこうなりました、ってこと? だったらこれほどゴキゲンなパケージはないかも。
大体、“カジャー”って名前自体が、どことなく無国籍で、旅情を誘う響きだと思いませんか? 実はこれ、完全なる造語なのだ。SUVといえば四駆、ということでquad(4つ)をイメージさせるKAD(ただし日本導入モデルはFFのみ)にフランス語のagile(機敏)、またjaillir(湧き出る)からJAR、それらを組み合わせてKADJAR=カジャー。なんとも不思議な余韻を持っている。
ルックスもまた個性的だ。他国製のSUV(日本のソレを含め)が、直線基調で男性的なデザインに追従する中、カジャーはまるで同社のコンパクトハッチバックである“トゥインゴ”を連想させるような、丸みあるボディラインが特徴。ボンネットや前後フェンダーのあたりなんて、ちょっと有機的なほどに曲線を使用して、かわいらしさすらも感じさせる。
しかし、足元には19インチホイールを標準装備。サイドビューはかなり勇ましい。ただかわいいだけで終わらせず、ピリッとスパイシーなエッセンスを加えるあたりはさすがフレンチらしいセンスだ。
対して、インテリアはシンプルで硬派。ブラックレザーに覆われたコクピットは余計な装飾を排除していて、なんとナビも車載のモノは用意なし。オーナーのスマートフォンに依存して、Apple CarPlayもしくはAndroid Autoに絞るという割り切りっぷりだ。とはいえ、高価な車載ナビなんて必要ないと考える若年層ユーザーが増えているのも事実で、考えようによっては無駄を省いた賢い装備だともいえる。
“アクティブバカンス”を推奨するカジャーだが、ちなみにフランスでは今、トレイルランニングのようなエクストリーム・スポーツが大人気。そんな彼らの多彩なギアを飲みのむために、ワンタッチでシートバックが倒せてラゲッジスペースを拡大出来るレバーを用意。また様々なサイズのモノが収納できるように、備え付けのフロアボードを使ってアレンジが可能だったり、工夫がなされている。
そしてCセグメントSUVだというのに、搭載されたエンジンがわずか1,2ℓということに驚いてほしい。“エコノミー”をクルマに求める、実に合理至上主義なフランス生まれらしいパワートレーンだ。
しかし、数字だけを見て非力を嘆くのは早とちりというもの。むろんターボチャージドがなされているこのエンジン、驚くほどにパワフルだから!
その秘密は、このカジャーから新搭載になった7速の湿式多板クラッチの賢さ。エンジンの足りないところは下のギアの選択で素早くカバーし、登坂も高速もソツなくこなす。このシフトアップ、ダウンのあざやかさは拍手モノだ。
もちろんそもそものエンジンサイズが小さいのだから、燃費も上々。ランニングコストもご心配なく、と来ているんだから、気兼ねなく遠出できそうなところも嬉しい。
★DATA
●全長✖️全幅✖️全高:4455✖️1835✖️1610
●エンジン:1.2ℓターボチャージャー付き直列4気筒DOHC
●トランスミッション:7速AT
●最高出力:96kW(131ps)/5500rpm
●最大トルク:205N・m(20.9kgm)/2000rpm
●駆動方式:FF
●ハンドル:右
●税込み価格:347万円