〈ベル&ロス〉の創業者に聞いた、新作BR-X5とブランドの今後!
去る10月下旬にフランス発の高級時計ブランド〈ベル&ロス〉の創業者兼CEOのカルロス=アントニオ・ロシロ氏と創業者兼クリエイティブ・ディレクターのブルーノ・ベラミッシュ氏が、新作となるBR-X5の発表のために揃って来日。四角いケースに丸の文字盤を持つBR 03、BR 05などのコレクションはすでにお馴染みの存在だが、今回は気になる新作を含め、あらためてブランドの取り組みについて聞いてみた。
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写真左が、創業者兼CEOのカルロス=アントニオ・ロシロ氏。右が、創業者兼クリエイティブ・ディレクターのブルーノ・ベラミッシュ氏
――さっそくですが、新作となるBR-X5はどんな時計なのでしょうか?
ブルーノ・ベラミッシュ(以下ブルーノ):まず2005年に〈ベル&ロス〉のアイコニックなモデルBR 01が出ました。そして2019年にはBR 05が登場しましたが、これは都市をテーマにしたコレクションとして現在でも人気となっています。そして今年2022年に発売となった新作がBR-X5です。こちらはBR 05をもっと洗練させてハイテクを意識したものとなります。ケニッシ社とのパートナーシップで生まれたCOSC認定マニファクチュール・ムーブメントを使用していて、パワーリザーブは約70時間。ケースは複数の部品からなっており、複数の素材の無限のコンビネーションを意識しています。いうなれば、より洗練されたケースの中により洗練されたムーブメントを入れているということです。さらに従来の2年間を大幅に上回る、5年間の保証がついています。
カルロス=アントニオ・ロシロ(以下カルロス):2019年にBR 05を発表した時点で、BR-X5への進化は頭の中にありました。それを少しずつ、時間をかけて現実化に向けてきたという感じです。BR 05とBR-X5は違うコレクションであり、BR 03はタイムレスなアイコニックモデルで、BR 05はとにかく現代的であること。そしてBR-X5は未来を見据えたものとなっています。ケニッシ社とのムーブメント開発はさらに進めていきたいと思っています。もちろん今後も、新しい時計に新しいムーブメントを搭載して発表するというインパクトも考えています。それに関しては、ちょうど今現在から5年までの計画を、ケニッシ社と練っているところです。是非今後とも期待してほしいですね。
サファイヤクリスタル仕様のケース裏から、キャリバーBR-CAL.323が覗く。世界有数のムーブメント製造会社であるケニッシ社と共同で開発した新ムーブメントは、COSC(スイス公認クロノメーター検定協会)認定のクオリティ。ブランドのサインが施されたスケルトンの振り子式自動巻きローターほか、ムーブメントの細部が鑑賞できる
〈ベル&ロス〉の時計は、スイスのラ・ショー・ド・フォンに構える製造拠点で時計の開発から組み立て、最終調整などを行っている
航空界にインスパイアされ、高い装着感と美的感覚を併せ持つ新作BR-X5。この新作のリリースを機に、さらにブランドの魅力を高めようとする〈ベル&ロス〉だが、今後の展開はどうなっていくのだろうか?
――〈ベル&ロス〉の今後の大きな挑戦とは?
カルロス:ブランドを国際的にさらに発展させていくにあたり、それぞれの国によってお客様の受け入れ方が違うという困難があります。それを乗り越えていくためには、お互いがわかり合えるように、もっとコミュニケーションをとる必要があります。それが私たちにとってはいつもチャレンジです。日本に来て、私たちは様々な刺激を受けますが、日本の方にどのように商品を伝えていくかをさらに考えていく必要がありますね。
――パンデミック以降、大阪でブティックを出すなど、フィジカルな体験ができる場を広げていますが、それ以外でどんな体験が大事だと感じていますか?
ブルーノ:パンデミックになる前はすべてがフィジカルだったわけですよね。ところがパンデミック以降はそれが贅沢なものになりました。今、少しずつフィジカルな体験が戻ってきましたが、やはりデジタルの台頭は目覚ましいものがあります。そんな状況の中で、この2つの体験が将来的に同時に起こりえることがあったらいいなと思っています。たとえば、今よりも短い時間でいろんなところにいられるような体験。そのような体験が将来加速するかもしれませんし、それがもたらすものが最良のものか、最悪なものかはわかりませんが……。今はデジタルでいろんなことが受けられる時代ですが、今後はその人に合わせた固有の体験がより必要だと感じています。
――予測が難しい時代に「永続する価値を持つ美しい時計を作らなければいけない」と以前カルロスさんがおっしゃっていましたが、現在、ブランドの価値を高めるような時計を挙げるなら、それはどんなモデルでしょう?
カルロス:とにかく“時計にまつわる気持ち”という面が大切だと思っています。私にとっては、昔作っていたジャンピングアワーが思い入れの強いアイテムです。すべての〈ベル&ロス〉の商品に関していえるのが視認性の高さですが、この時計には美的感覚を満足させるものもあります。また、時計と気持ちの結びつきという点のほかにも、自分の子供へと受け継いでいくという価値もあると思っています。
ブルーノ:2つの象徴的な時計があります。ひとつがステンレススチールとセラミックを使ったBR 03で、もうひとつがステンレススチールケースで黒文字盤のBR 05です。この2つを選んだ理由は、ブランドの哲学を集約しているからです。ともに、四角いケースの中に丸い文字盤があるというアイコニックな時計となります。時計業界での自分たちの役割というのは、航空機からインスパイアされたオリジナリティを大切にしていくということと、四角の中に丸というアイコニックなデザインをずっと継承していくということです。それを続けていくことで、ブランドの価値を高めていけたらと思います。
創業者の2人にお話を聞いたのは、2021年にオープンした〈ベル&ロス〉の銀座ブティック。ブランドの世界観がフィジカルに体験できる場として、役割を果たしている。2022年7月には、大阪・心斎橋にも新たにブティックをオープンした
●ベル&ロス 銀座ブティック
TEL:03-6264-3989