過去に「生存者は居ない」という誤った情報から救命救急現場で人を、それも同僚の弟を死なせ、懲戒免職となった元EMS(緊急医療班)隊長のキット・ラトゥーラ。この主人公をシルヴェスター・スタローンが演じる、ニューヨークの地下トンネルを舞台に展開するサバイバル・アクション映画が、1996年の『デイライト』。
その映画のトリビュートモデルが〈パネライ〉のダイバーズ・クロノグラフ“ルミノール クロノ デイライト”。“ルミノール”という名称の通り、ルミノールの最大の特徴、レバーロック式リュウズプロテクター機構を搭載したブラックダイヤルの自動巻きクロノグラフだ。
だがスタローンが撮影中に実際に着用したのは“プレヴァンドーム・デイライトRef.5218-201A”と呼ばれるもの。2020年の年末にオークションハウス・フィリップスのオークションにスタローンの自身が出品し、落札予想価格8万ドルの3倍近い21万4200ドルで落札されている。“プレヴァンドーム”というのは、この映画に使われたこのモデルが、〈パネライ〉がまだ現在のリシュモン・グルーブ(当時の名称はヴァンドーム・グループ)傘下になる1997年以前に開発・発売されたモデルだから。
スタローンはハリウッドスターの中でも、この時代からいち早く〈パネライ〉を愛用してきた、いわゆる“パネリスティ”。たしかにタフでマッチョなスタローンに、このモデルはピッタリだ。
サバイバル・アクションの舞台になるのは、ニューヨークとニュージャージーを繋ぐ1920年代に建設された海底の自動車トンネル内。危険な爆発性の産業廃棄物を満載にしたトラック3台に、宝石強盗たちのクルマが追突してトンネル内で大爆発が起こる。
閉じ込められた生存者を救うためラトゥーラは、単身トンネル内に救助に向かうのだが、火災、崩落、浸水、はたまた毒ガス発生と危機の連続。深い水の中に潜って脱出のルートを探すなど困難を乗り越えていく。そんな過酷な状況下で、彼を手元で支えるプレヴァンドーム・デイライトRef.5218-201Aも、実にタフな存在でカッコイイ。
ちなみに、本作がひとつのきっかけとなり、〈パネライ〉は世界に名が知られるようになったと言われている。
『デイライト』
製作年/1996年 監督/ロブ・コーエン 脚本/レスリー・ボーエム 出演/シルヴェスター・スタローン、エイミー・ブレネマン、ヴィゴ・モーテンセン
photo by AFLO