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URBAN SAFARI アーバン サファリ

2021.11.20

Gastronomic City TOKYO
今行くべき東京の和食系レストランの最旬事情を探る。

オリンピックも無事終わり、コロナ禍における自粛も徐々に緩和され、ガストロノミー都市の日常を取り戻しつつある東京。このようなときだからこそ、和食の素晴らしさを再発見すべく、東京の和食系の新店をご紹介したい。

〈日本料理 ときわ〉は、2020年6月に東京・西麻布にオープンした。本格的な茶懐石料理店として、今私が東京で最も注目している新店舗のひとつである。総料理長の西塚茂光氏は、この道四十余年の和食の達人。2000年に銀座に構えた〈馳走 啐啄〉では、多くの美食家や茶人たちを魅了してきた。その店が手狭だったこともあり、理想の店として西塚氏が一からつくり上げたのが、この〈日本料理 ときわ〉である。

数寄屋造の店内は、吉野檜の一枚板のカウンターを中心に、赤杉や椿や栗などの天然木がふんだんに使われ、窓の外には坪庭を設える。まるで“市中の山居”といった趣である。料理がまたいい。茶懐石の精神に基づきながら、伝統だけにとらわれない自由な発想で、新たな味覚体験を提供する。

たとえば卵白や塩で固めた“塩釜”の料理は、ゲスト自身に割ってもらうことで、ライブ感とともに五感と食欲を刺激する。これも、懐石料理の先入観や堅苦しいイメージを払拭し、五感を素にして味わってほしいという、西塚氏のもてなしのアイデアだ。日本料理にもまだまだ進化の余地があることを知るうえでも訪れてほしい店である。

今年の6月に渋谷区幡ヶ谷にオープンした〈鮨 東京 よし田〉も挑戦的な店。高級店でありながら、幡ヶ谷駅近くの“六号通り商店街”の中という、立地からして意外性がある。真新しい黒壁、そして店内は寿司店とは思えぬ規模のワインセラーを備え、輪島塗の作品群が壁を飾る。豪奢な演出や銘醸級のワインリストは、コロナ禍の閉塞感すら吹き飛ばしてくれそうだ。

しかし、私がここを推薦する一番の理由は、料理長の藤本大輝氏の腕前と人柄である。香港でも腕を振るった藤本氏の切れ味のいい所作や技術からは、ストレートな美味しさが伝わってくる。接待やデートはもちろん、海外のゲストも安心してお招きできると確信する。

アフター・コロナに行くべき店として、是非この2店舗を候補に入れてほしい。

TOKIWA
[日本料理 ときわ]
東京における茶懐石の新たなスタイル。


茶道における茶懐石とは、堅苦しい“型”にはまったものではなく、融通無碍な創意工夫こそが楽しみどころ、味わいどころであったはず。この店は、その本来の醍醐味を追求する稀有な店。玄人筋はもちろんだがむしろ、茶の湯に興味のない人こそ体験してほしい。

名物の“塩釜焼”。塩釜で包むことで、素材に適度な塩味をつけ、旨味を閉じこめて焼き上げる

コースのひとつ、“炊き合わせ”の一例。鯛を模した器の中には、最適調理で仕上げた旬の食材が美しく盛られる 

シメに出される御飯は、新鮮なウニをはじめ、時季の美味しい素材で炊き上げたもの

店内の設計は、気鋭の建築家の佐野文彦氏によるもの

総料理長の西塚茂光氏(右)と料理長を務める松本一樹氏(左)。松本氏は、西塚氏が仕切る茶懐石も長年手伝う実力者

SUSHI TOKYO YOSHIDA
[鮨 東京 よし田]
絢爛豪華な内装と切れ味いい技が両立。


銀座ではなく敢えて渋谷区幡ヶ谷というのがいい。店内に一歩踏みこめばそこは別世界。贅を凝らした空間づくりに目を遊ばせ、ワイン通ならワインリストや日本酒のラインナップに心躍るはずである。なにより、藤本大輝料理長の洗練された技が光る。

鮪の握り三種。鮨は仲卸〈やま幸〉の山口幸隆社長が監修

握りの前に出される“鮪の突先巻”は、藤本料理長が香港時代に得意とした一品

カウンターは2階層にわかれている。こちらは2階のカウンターで、奥には琳派を思わせる絢爛な日本画が描かれている

藤本大輝氏は香港の〈鮨とかみ〉で修業を積む。国際的な接客経験も豊富だ

 
Information

●日本料理 ときわ
住所:東京都港区西麻布1-9-7 シュウエツレジデンスII 1F
営業時間:17:00~23:00
定休日:日曜・祝日
TEL:03-3405-1237
URL:https://www.tokiwa-nishiazabu.jp/

●鮨 東京 よし田
住所:東京都渋谷区幡ヶ谷2-5-5
営業時間:12:00~14:00、17:00~21:00(最終入店19:00) 要予約
定休日:日曜 ※状況に応じて変動。
TEL:03-3320-5401(10:00~21:00)
URL:https://sushi-yoshida.jp/

『Urban Safari』Vol.23 P43掲載

取材・文=中村孝則 text:Takanori Nakamura
美食評論家。1964年神奈川県葉山生まれ。ファッションからカルチャー、美食などをテーマに新聞や雑誌、テレビで活動中。主な著書に『名店レシピの巡礼修業』(世界文化社)がある。2013年より“世界ベストレストラン50”の日本評議委員長も務める。今春より、JR九州が運行する「ななつ星in九州」の公式ムービーに主演している。
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