子役として活動し、早くから監督や脚本も手がけてきたベン・アフレック。ハリウッドを代表する若手スターとなるもののアルコール依存症になるなど、私生活では順風満帆とはいかなかった。とはいえ、定期的に出演作がヒットするなど、着実にステップアップ。監督業の手腕も認められ、今後クリント・イーストウッドのような存在になる可能性も。そんな彼の出演作を5本セレクト!
『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』
製作年/1997年 監督/ガス・ヴァン・サント 脚本・出演/マット・デイモン、ベン・アフレック 共演/ロビン・ウィリアムズ、ステラン・スカルスガルド、ミニー・ドライバー
アカデミー脚本賞を獲得!
無名だったマット・デイモンとベン・アフレックが共同で執筆した脚本を、名匠ガス・ヴァン・サントが映画に。天才的な頭脳を持ちながらも非行に走る青年ウィル・ハンティング(デイモン)が、最愛の妻に先立たれて失意の底にいる心理学者(ロビン・ウィリアムズ)に出会い、心の成長を遂げていく。
アフレックが演じるのは主人公ウィルの親友で、やさぐれた人生からの脱却を後押しする役どころ。製作当時、デイモンにウィル役を託し、脇役に回ったアフレックの“いい人”感とリンクする。本編はもちろん、アカデミー賞授賞式の壇上で、脚本賞を受賞した彼らが喜びを爆発させる光景を覚えている人も多いはず。
『パール・ハーバー』
製作年/2001年 製作/ジェリー・ブラッカイマー 製作・監督/マイケル・ベイ 脚本/ランダル・ウォレス 共演/ジョシュ・ハートネット、ケイト・ベッキンセール、キューバ・グッティングJr.
切ない役柄を好演!
日本軍による真珠湾攻撃を中心に、第2次世界大戦の荒波に翻弄される者たちの運命を描く戦争大作。親友同士のレイフ(アフレック)とダニー(ジョシュ・ハートネット)が、戦闘機のパイロットとして陸軍航空隊に所属。レイフは看護師のイヴリン(ケイト・ベッキンセール)と愛し合うようになるが、ヨーロッパ戦線に参加することになり……。
その後、レイフは戦死したと思われ、悲しみに暮れるダニーとイヴリンが急接近。しかし、実はレイフは生きており……という戦争ものにありがちな展開の中、気の毒なアフレックの絶望した表情が印象深い。勇猛果敢なヒーローよりも、ちょっぴり切ないキャラこそがお似合い。
『ザ・タウン』
製作年/2010年 監督・脚本・出演/ベン・アフレック 共演/レベッカ・ホール、ジョン・ハム、ジェレミー・レナー、ブレイク・ライブリー
監督としての手腕が認められる!
大絶賛された初監督作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』に続き、アフレックが監督を務めた犯罪スリラー。原作は、チャック・ホーガンの小説『強盗こそ、われらが宿命』。全米で最も強盗発生率の高いボストン北東部の街チャールズタウン、通称“ザ・タウン”で生まれ育ち、当然のように強盗を生業として生きてきた男の葛藤と宿命を、ある女性とのロマンスやFBIとの攻防を交えながら描いていく。
監督のアフレック自ら主人公のダグを演じ、生まれながらにして決められた運命と対峙する男を熱演。監督としての手腕もすこぶる好評で、監督第2作めにして“ベン・アフレック監督”に大勢が信頼を寄せるようになった。
『アルゴ』
製作年/2012年 監督/ベン・アフレック 脚本/クリス・テリオ 出演/ブライアン・クランストン、アラン・アーキン、ジョン・グッドマン
オスカー3部門を制覇!
ベン・アフレック監督への評価を決定的にした1作がコレ。イランで実際に起きたアメリカ大使館人質事件を題材に、同国からの脱出を目指すアメリカ人の苦闘がスリリングに展開する。1979年、テヘランで過激派がアメリカ大使館を占拠。CIAのトニー・メンデス(アフレック)は6人の大使館員を国外へ脱出させるため、大胆不敵な作戦を立てる。それは、架空のSF映画をでっち上げ、6人を映画の撮影スタッフに偽装させるという作戦だった…。その年のアカデミー賞で作品賞、脚色賞、編集賞の3部門を受賞。アフレックは監督賞への候補入りを逃したが、製作者として颯爽と作品賞受賞トロフィーを受け取った。
『最後の決闘裁判』
製作年/2021年 監督/リドリー・スコット 脚本/ニコール・ホロフセナー 脚本・出演/ベン・アフレック、マット・デイモン 共演/アダム・ドライバー、ジョディ・カマー
マット・デイモンと久々の脚本タッグ!
アフレックとマット・デイモンが『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』以来、脚本家として再タッグ。百年戦争下のフランスで、騎士カルージュの妻が、夫の旧友ル・グリに強姦されたと訴える。だが、当のル・グリは無罪を主張。カルージュとル・グリは決闘裁判を行うことに…。
カルージュをデイモンが演じ、アフレックはカルージュとル・グリの主君にあたるアランソン伯ピエール2世役で登場。カルージュとは険悪、ル・グリ贔屓という立場で物語をかき乱す。明るい金髪のアフレックが、派手好きで酒池肉林を好むアランソン伯を陽気に怪演。脚本家として腕を振るう一方、俳優としてもいい仕事をしている。
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