ワルな色気に憧れる!
ジョン・トラボルタ映画5選!
最新作『ファナティック ハリウッドの狂愛者』が公開されたジョン・トラボルタ。で、その名前を聞いて、思い浮かべるのがダンスと悪役。特に、後者は『パルプ・フィクション』で復活後、トラボルタの代名詞となったほど。セクシーで、危ない魅力は66歳になった今も健在。そんな彼の魅力が凝縮された5作品をどうぞ!
『パルプ・フィクション』
製作年/1994年 監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 共演/ユマ・サーマン、サミュエル・L・ジャクソン
復活を果たした大ヒット!
カンヌ映画祭でパルムドールを受賞したクエンティン・タランティーノ監督のクライムストーリー。ギャングのボスの妻ミア(ユマ・サーマン)と、彼女の世話を頼まれた手下のヴィンセント(ジョン・トラボルタ)、ボスと八百長試合の取引をしたボクサー、ブッチ(ブルース・ウィリス)、ボスを裏切った若者を始末に行くヴィンセントとジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)。3つのエピソードが時系列をバラバラにして語られていくスタイルは当時としては斬新で、今も圧倒的支持を誇るエポックメイキング的な作品。
トラボルタはちょうどキャリアが低迷していた頃。トラボルタの大ファンだった映画マニアのタランティーノが主人公ヴィンセントに彼を熱烈に推し、結果、キャリアの大復活となった。トラボルタといえば出世作『サタデー・ナイト・フィーバー』や『グリース』で踊れるスターというイメージがあったので、それを逆手にとって(?)、ミアとふたりでオールドスタイルのツイストダンスを披露するシーンがあり。トラボルタの凄みと愛嬌が同居したギャング像はまさに唯一無二!
『フェイス/オフ』
製作年/1997年 監督/ジョン・ウー 共演/ニコラス・ケイジ、ジョーン・アレン
どっちがトラボルタ?
凶悪テロリストのトロイ(ニコラス・ケイジ)に息子を殺されたFBI捜査官のショーン(ジョン・トラボルタ)は執念の捜査の末についにトロイを逮捕する。ところが意識不明の重体に陥ったトロイがどこかに細菌爆弾を仕掛けていたことが発覚。ショーンは仲間から情報を聞き出すためトロイの顔を移植して彼になりすますことに。一方、意識を取り戻したトロイはショーンの顔を移植して……。
正義と悪の顔が入れ替わると言う奇想天外なアイデアで、トラボルタ、ケイジともに善悪両方の魅力を味わえるアクション。白い鳩、善悪対峙の二丁拳銃などジョン・ウー印のケレンミもたっぷり! テロリストの顔をした男を夫と信じられるのか、夫の顔をしているのに不穏な雰囲気の男は誰なのか。ショーンの家族を巻き込んだやり取りもハラハラ。トラボルタはジョン・ウーと初めてタッグを組んだ『ブロークン・アロー』でも悪役を演じていたが、悪役時の妙な色気と華が印象的!
『サタデー・ナイト・フィーバー』
製作年/1977年 監督/ジョン・バダム 共演/カレン・リン・ゴーニィ、バリー・ミラー
ブームを巻き起こした出世作!
トラボルタが白いスーツに身を包み、両足を広げて右手を挙げているポーズは見たことがある人が多いはず。それが彼のこの出世作。舞台はニューヨーク。週末、ディスコで踊る以外は冴えない日々を送る青年トニーは、ある時、年上の女性ステファニーと出会う。ペンキ屋で働くブルックリン育ちのトニーと、マンハッタンで働く洗練されたステファニーとは話が合わないものの、ふたりはダンスでパートナーを組んでコンテストに出場することになる。
タイトルからすると“クラブで週末フィーバーする若者たち”のようなアッパーイメージを持つかもしれないけれど、鬱屈した現状を乗り越えようともがく姿や、ままならない想いが交錯する恋模様など、ビターな青春が綴られる。ビー・ジーズを中心としたサントラ、トラボルタの華麗なステップや70年代のファッションなど、カルチャーに注目して見ても面白い。
『フェノミナン』
製作年/1996年 監督/ジョン・タートルトーブ 共演/キーラ・セジウィック、フォレスト・ウィテカー
優しいトラボルタならコレ!
トラボルタのソフトな声と温かそうなタレ目という持ち味がストレートに活かされたのが本作。小さな田舎町で平凡に静かに生きてきた心優しい男ジョージが、謎の閃光を目撃したことから覚醒。急にスペイン語を話せるようになり、謎の暗号を解読し、町のみんなに役立つようなものを発明し、地震を予知。驚異的な能力を得たジョージの頭脳を巡ってFBIまでやってくる。しかしジョージにはある悲しい異変が起きていて……。
町の人たちの好奇の目や異質なものを嫌がる大衆心理、そんな中でも変わらず温かく接してくれる友人たち……。人間ドラマも惹き込まれる点が多いけれど、ジョージが想いを寄せているシングルマザーのレイス(キーラ・セジウィック)との淡いラブストーリーがいい。レイスがジョージのヒゲを剃る描写は、美しく温かい名シーンだ。エリック・クラプトンとベイビーフェイスの劇中歌「チェンジ・ザ・ワールド」も◎!
『ソードフィッシュ』
製作年/2001年 監督/ドミニク・セナ 共演/ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー
カリスマ性を存分に発揮!
天才ハッカーのスタンリー(ヒュー・ジャックマン)が、謎の美女ジンジャー(ハル・ベリー)とガブリエル(ジョン・トラボルタ)からハッキングによる大金強奪計画に参加するよう脅される。ガブリエルはこれまでも多くのハッカーを計画に引き入れては殺すような冷酷な男だった。計画は成功したかに思えたが、土壇場でスタンリーがガブリエルを裏切り……。
全編に数々の“ミスリード”が張り巡らされた予測不可能でスピーディな展開にぐいぐい惹き込まれるクライムアクション。ガブリエルが「ハリウッド映画はクソだ」と語り始める冒頭。そして、その次には『マトリックス』でも用いられた撮影手法“バレットタイム”での大爆発がスローモーションで映し出される。この開巻数分が白眉! トラボルタは本作でもカリスマ性ある悪役を圧倒的存在感で演じている。
photo by AFLO